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ザ・ノース・フェイス ハイパーエアーGTXジャケット 軽量で保水しづらいレインウェア

ザ・ノース・フェイス ハイパーエアーGTXジャケット 軽量で保水しづらいレインウェア

ゴアテックス製品はいろいろあれど、共通していえるのは『防水機能として申し分なく、透湿能力もしっかりしているから、山で使うのには抜群の安心感がある』ってこと。だから様々な種類があるゴアテックスの中から目的に応じてその性能を知り、自分のアクティビティに合致した防水ウェアを選ぶことはとっても大事なこと。

他には類をみない特徴ハイパーエアーGTX

ザ・ノース・フェイス「ハイパーエアージャケット」

今回紹介するザ・ノース・フェイスのハイパーエアーGTXジャケットは、ゴアテックスウェアではあるんだけど、非常に面白い発想で作られた今までにない作りなんだ。現時点では北米でザ・ノース・フェイスとアークテリクスでしか販売していない素材で、日本にはまだカタログラインナップとしては入ってきてない。それをさかいやスポーツで、まずはザ・ノース・フェイスのみ先行的に発売をしているというもの。

ゴアテックスファブリックの作りと照らし合わせながら、なんでハイパーエアーGTXジャケットが面白いのか?またどんな機能に優れているのか話していくね。

ゴアテックスウェアの作りを紐解く

ゴアテックス3層

ゴアテックスの3層ものは、メンブレン(フィルムね!)の外側に織り物の表地があって、その生地に撥水加工を施しているのね。そこが雨を浴び続けて汚れが付着すると、だんだんと撥水が効きづらくなってしまって雨を弾かなくなり、水滴がベタッと付着してしまう。水滴が付着すると表地の透湿性が著しく下がってしまうので、そうすると中が蒸れ初める。そういう現象が考えられるよね。

ウェアの撥水加工

撥水メンテナンスをしっかりすれば裏地のトリコットはサラサラドライ感も強く、生地全体の耐久性があるから登山用として3層はとても優れているといえる。

ただ、万が一大雨、大嵐の状態で稜線に出続ける状況があったとすると、表からの浸水がなかったとしてもフードの横からや袖先、裾から雨が吹き込んできちゃうことがあるんだよね。最初のうちは裏地も撥水が効いていればいいんだけど、しばらく雨の吹込みが続いていると裏地で採用されているトリコットって呼ばれる編み物が厚みがあって凹凸がある分、水を吸って広がっていっちゃう。

内側がびちょびちょに濡れている状態は、山では身体の熱を奪い続けることになるから大変だよね。

3層のゴアテックスウェア

真木川でのテンカラ釣り

そもそもゴアテックス3層のトリコットは肌触りがいいしサラサラドライ感が強いので、普通の縦走とかでは問題なく快適だし耐久性もあるから安心感が高いのだけど、アドベンチャーレースのような嵐の中でも山の中に出て行かなくてはいけないような、ぐちゃぐちゃな天候で長時間行動しなければならないシチュエーションがあったときには、こういう心配が付きまとうんだよね。だからシーンやアクティビティに応じたゴアテックスの使い分けをするのがとても大事だと思っている。

表地も裏地も水を保水した状態になってしまうとゴアテックスメンブレンによって雨は通さないんだけど、透湿がなくなり体の体温が奪われ続けるという状態に陥ってしまう。

そうしてテント場についても、天気が優れなければ衣類は乾かしづらい。一度保水してしまっている状態から、雨の降っている山の中でこれをドライにすることはすごく難しい。そうすると次の日の朝も、濡れたウェアを着続けなくちゃいけない。そうして体を冷やしてしまうという、非常にリスキーな事が起きてしまう。

日々進化するゴアテックス

ザ・ノース・フェイス「ハイパーエアージャケット」

特に激しく厳しい環境で身体を守るアクティビティでは『保水しないウェアがいい』というのが割と最近言われるようになってきて、ゴアテックスのパックライトっていう2.5層の素材があらためて注目されだした。

ゴアテックスパックライト2.5層

これは裏地のメンブレンはほぼ保水しない。表地は撥水加工を施した織り生地だから撥水が効かなくなれば水を吸ってしまう。だけどしっかりメンテナンスを行えば裏生地がない分、軽くしなやかで3層よりも保水しづらい。だから先述したような嵐の中でも動き続けるアドベンチャーレース的要素が強いアクティビティには2.5層が最適と感じていた。今までは・・・・

そんな中「お~!なるほどね!」っていうウェアが登場したんだ。

ザ・ノース・フェイス「ハイパーエアージャケット」


使われている素材は、ゴアテックスのパーマネントビーディングというもので、これはパックライトの裏地を表地に、裏地はゴアテックスプロでも採用されているマイクログリッドバッカーという、極薄・超軽量な織り物で、トリコットよりも凹凸が少なく、これに撥水がかかっていると非常に水を吸いづらい。

パーマネントビーディングの特徴

ザ・ノース・フェイス「ハイパーエアージャケット」

表地はメンブレンだからほぼ保水しない。多く雨にあたっても、これが水を吸うことはほとんどない。だから透湿性が損なわれない。水をパッと切ればすぐにドライになるという今までにないメリットが存在するんだよね。

ザ・ノース・フェイス「ハイパーエアージャケット」

そうして裏地のマイクログリッドバッカーも生地が極薄だから保水しづらい。しっかりと撥水メンテナンスすればなおさらだ。そうすると次の日のアクティビティの時に、限りなくドライに近い状態になっているから体の熱も奪われにくい。こういうことからも特殊な状況においては非常に理にかなった防水ウェアなんじゃないかと思うんだよね。

パーマネントビーディングのデメリット

ザ・ノース・フェイス「ハイパーエアージャケット」

でもやっぱりデメリットもあって、表地で採用されているメンブレンはそもそも強度が低いので、重いザックを背負った時の磨耗や藪こぎなんかをするには弱い。だから一般登山用の防水ウェアか?っていわれると登山用としては足りないところがあるかな。

重いザックを背負った縦走で、冷たい雨や風から身を守るっていうのであれば表地も裏地もしっかりある3層のゴアテックスウェアを選んだほうが快適だし無難。裏地がトリコットであるというのは肌面がサラサラして気持ちがよく蒸れ感も少ないから、特に激しく厳しい環境で楽しむアクティビティなどでなければ通常のゴアテックスウェア(3層やパックライト)が断然使いやすいと思う。

だからこのハイパーエアGTXジャケットは特殊な用途向きかな。時として生地の弱さによるデメリットやリスクよりも、保水しづらく軽いメリットが上回ると感じるアクティビティであれば、これからもどんどん使っていきたい注目のウェアだと思っている。

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