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鷹取山（たかとりやま）は神奈川県の横須賀市と逗子市の境にある標高139mの山です。垂直に切り立った岩壁の景観が群馬県の妙義山に似ていることから「湘南妙義」とも呼ばれ、断崖絶壁を利用したロッククライミングのメッカとして知られています。
この鷹取山と逗子市の古刹、神武寺とをつないだ「神武寺・鷹取山ハイキングコース」は、初心者向けの日帰りハイキングコースとして親しまれており、子供連れやシニアの気軽な1DAYハイクにおすすめです。
鷹取山の基本情報と魅力
鷹取山の特徴ともいえる切り立った断崖は、明治中期から昭和初期にかけて、石材として切り出された跡です。採取された石は家屋の基礎や土蔵、かまどとして用いられたり、東京湾の護岸に使われたりしていましたが、昭和に入ってコンクリートが登場すると、鷹取山の石材採取は下火となり、徐々に衰退していきました。
その後、残された岩壁は、垂直面を利用したロッククライミングの練習に活用され、日本の名だたるクライマーたちがここで訓練を重ねました。現在も愛好家たちが練習に訪れ、週末ともなると多くのクライマーでにぎわっています。
そんな鷹取山という山名の由来は、かつて太田道灌がこの地で鷹狩りを楽しんだからとか、鷹を猟師から献上されたため「鷹取山」と名付けたとか、もともと鷹が多く生息していたからなど諸説あるようです。
鷹取山は標高139mと低山のため舗装道路を利用すれば散歩がてらに登れますが、山歩きとしては、鷹取山と逗子市の神武寺とを結んだ「神武寺・鷹取山ハイキングコース」を歩くのが一般的です。
神武寺～鷹取山ハイキングは年間を通じて楽しめますが、桜が咲く春と冬枯れの時期は特におすすめです。真冬の晴天日、山頂から遠く房総半島や富士山まで見渡せるのは、このハイキングの見どころの1つといえるでしょう。
| 山の名前 | 鷹取山（たかとりやま） |
| 標高 | 139m |
| 都道府県 | 神奈川県 |
| エリア | 関東 |
| 山域 | 三浦半島 |
| 地図・天気など | 詳細情報 |
魅力その①：富士山も見える！展望台からの好展望
鷹取山の山頂にある展望台に上ると東京湾が一望できます。また、晴れた日には東京湾に浮かぶ海ほたるのほか、房総半島、箱根、伊豆、富士山まで見え、雄大な景観が楽しめます。
魅力その②：クライミングトレーニングのメッカ
鷹取山山頂の岩壁は、ロッククライミングの練習地として知られており、週末はもちろん平日でも無心に岩をよじ登るクライマーの姿を見ることができます。
垂直に切り立った岩肌には、打ち込まれたハーケンの跡である穴が無数に開いており、この山のクライミングスポットとしての歴史を感じさせます。
ただし、鷹取山のクライミングは原則として禁止されており、希望者は事前に鷹取山安全登山協議会（046-825-2350）に登録しなければなりません。鷹取山にハイキングに来ても、そのままクライミングに挑戦することはできないのでご注意ください。
魅力その③：岩山に掘られた迫力ある摩崖仏
鷹取山の岩石は柔らかで加工しやすいため、山頂付近の岩山には摩崖仏（まがいぶつ）の弥勒菩薩像（みろくぼさつぞう）が掘られています。横須賀市在住の彫刻家、藤島茂氏が昭和40年頃制作したもので、鷹取山の名所の1つとなっています。迫力ある菩薩像はまるでガンダーラ遺跡のようです。
鷹取山の難易度別おすすめ登山コース
神武寺・鷹取山ハイキングコースは、JR東逗子駅から神武寺へ入る表参道ルートと、京急線の神武寺駅から神武寺へ入る裏参道（池子参道）ルート（2023年8月現在通行止め）があります。
神武寺から鷹取山までの登山道は1つしかありませんが、途中岩に挟まれた細い隙間を通ったり、岩場やクサリ場を歩いたりとなかなか歩きごたえがあります。鷹取山からは京急線の追浜駅へ降りるルートと、京急田浦駅へ降りるルートの2つがあります。
ここではおすすめの2コースを紹介します。
【縦走】東逗子駅～神武寺鷹取山登山口～神武寺～鷹取山～追浜駅コース
JR東逗子駅から表参道を通って神武寺へ行き、神武寺から鷹取山に登って京急線の追浜駅に降りるコース。このハイキングコースのスタンダードルートです。
ルート紹介
東逗子駅→（5分）→神武寺鷹取山登山口→（20分）→こんぴら山→（5分）→神武寺薬師堂→（10分）→神武寺山→（20分）→鷹取山→（40分）→追浜駅
※休憩時間：約1時間3分
| 必要日数 | 日帰り |
| 総距離 | 4.3㎞ |
| コースタイム | 3時間 |
| 累積標高 | 上り：188m 、下り：197m |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
詳細レポート
JR東逗子駅から踏切を渡り300mほど歩くと、右手に神武寺鷹取山登山口と書かれた案内板のある階段が現れるので登っていきます。徐々に苔むした、神秘的な雰囲気の参道になり、しばらく歩いていくと神武寺の総門に到着します。手前にはトイレもあります。
神武寺は奈良時代に建立された山岳信仰の霊場で、厳かな雰囲気が漂っています。逗子八景に選ばれている晩鐘や、立派な楼門、薬師堂、かながわの名木100選なんじゃもんじゃの木など見どころが多い古刹です。
薬師堂の左側にある石段が鷹取山に登る登山道の入口です。ここは明治時代の初期まで女人禁制の修験場であったため、勾配がやや険しくなっています。階段を登り切ると今度は岩場が増えていき、道も徐々に狭くなってくるので注意して進みましょう。
クサリ場を過ぎてしばらくすると鷹取山に到着します。
鷹取山公園は東屋やトイレがあり、昼食に最適なスポットです。
鷹取山公園からは標識に従って摩崖仏・追浜駅方面へ。摩崖仏を見学してから住宅街を通って京急線の追浜駅へ行きます。
駐車場
鷹取山登山者専用の駐車場はないのでJR東逗子駅前にいくつかあるコインパーキングに停めましょう。トイレや飲料水は、駅や駅周辺のコンビニを利用してください。
【タイムズ東逗子駅前】
- 収容台数：10台
- 料金：8:00～19:00 30分220円 駐車後24時間 最大料金1,100円、19:00～8:00 60分110円 最大料金440円
- 時間：24時間
【縦走】神武寺駅～神武寺鷹取山登山口～神武寺～鷹取山～京急田浦駅コース
京急線の神武寺駅から裏参道を通って神武寺へ向かうルートが通行禁止のため、表参道を通って神武寺、鷹取山へ向かい、帰りは追浜方面ではなく、京急田浦方面へと下山します。追浜へ向かうより山歩きが楽しめる下山ルートです。
ルート紹介
神武寺駅→（25分）→神武寺鷹取山登山口→（20分）→こんぴら山→（5分）→神武寺→（20分）→鷹取山→（40分）→京急田浦駅
※休憩時間：約20分
| 必要日数 | 日帰り |
| 総距離 | 5.1㎞ |
| コースタイム | 1時間57分 |
| 累積標高 | 上り：246m 、下り：248m |
| 難易度 | ★☆☆☆☆ |
詳細レポート
京急線の神武寺駅からJR東逗子駅方向に向かって舗装道路をしばらく歩くと「神武寺鷹取山登山口」に到着します。ここからは先に紹介した表参道を通って神武寺へ行き、鷹取山山頂へと向かいます。
鷹取山公園からは標識に従って浜見台・京急田浦方面の道へ。うっそうとした山道を歩いて行き、住宅街から京急田浦駅に向かいます。
駐車場
マイカーの方は池子の森自然公園の有料駐車場を利用します。池子の森自然公園は、広大な池子の森を活用した緑豊かな自然公園で、駐車場は第1、第2、第3駐車場まであります。
- 収容台数：70台
- 料金：入庫1時間まで100円、その後30分あたり50円ずつ加算。入庫30分未満は 無料。当日最大600円。
- 時間：8:45～21:00
- 休場日：月曜日、年末年始
- トイレ：あり
- 登山ポスト：なし
- 自販機：あり
鷹取山のQ＆A
鷹取山で多い質問は、通行止め、死亡事故、駐車場などです。回答と併せて紹介します。
Q1：鷹取山ハイキングコースに通行止めの箇所はありますか？
神武寺駅から逗子中学校脇を抜けて神武寺へと向かう裏参道ルートが、2023年8月現在、通行止めとなっており、登山口である神武寺・鷹取山ハイキングコース池子側入口には、「倒木のため通行止め」と書かれた看板が立っています。
現在倒木は撤去されていますが、落石などの危険があるため通行止めは解除されていません。神武寺駅から来られる方は、池子駐在所交差点で右折し、道なりに進むと東逗子駅から入るコースの登山口と合流するので、そちらの登山口をご利用ください。
Q2：鷹取山で死亡事故があるのですか？
ロッククライミングトレーニングの格好の場となっている鷹取山では、かつてクライミング中に死亡事故が相次いだため、現在は一般の方のクライミングは原則禁止されており、クライミングを希望する方は鷹取山安全登山協議会（046-825-2350）に登録しなければなりません。
それでも事故は起こり、鷹取山安全登山協議会に登録済みの団体に所属していた方が、2022年5月クライミング練習中に転落し、重傷を負っています。
ハイキング中、安易な気持ちでクライミングをしないよう十分注意してください。
Q3：鷹取山公園に駐車場はありますか？
鷹取山がある鷹取山公園には、専用の駐車場がありません。周辺のコインパーキング等を利用してください。
- タイムズ横須賀鷹取：横須賀市鷹取2丁目13
- 三井のリパーク横須賀鷹取2丁目：横須賀市鷹取2丁目7-4
- タイムズ追浜第7：横須賀市追浜町1丁目46
- ショウワパーク追浜町1丁目：横須賀市追浜町1丁目37−6
登山口へのアクセス・各種情報
神武寺・鷹取山ハイキングコースは、神武寺と鷹取山にそれぞれトイレがあるので安心です。このコースは駅からアクセスしやすいため電車利用をおすすめします。
神武寺鷹取山登山口
JR横須賀線の東逗子駅から表参道を通って神武寺へ向かい、鷹取山に登るコースの起点となる登山口です。東逗子駅周辺には自販機やコンビニがあるので、準備が整います。
電車でのアクセス
JR横須賀線の久里浜行きに乗り、東逗子駅下車。改札口を出たら右に曲がり、線路に沿って歩くと踏切が見えるので渡ります。そのまままっすぐ歩いていくと、右手に「天台宗神武寺」と書かれた石碑の建つ階段が見えます。これが登山口です。石碑の下には「神武寺鷹取山登山口」と矢印が記された白い看板があるのですぐわかります。
駅から登山口までは、徒歩5分程度です。また、駅前にはハイキングコースのマップ看板があるので参考にしてください。
マイカーでのアクセス
横浜横須賀道路逗子ICから東逗子駅まで約2㎞、7分の距離です。登山者用の駐車場はないので、東逗子駅周辺のコインパーキングに停めてください。
神武寺・鷹取山ハイキングコース登山口
京急線の神武寺駅から裏参道を通って神武寺に向かい、鷹取山に登るコースの起点となる登山口です。2023年8月現在、神武寺駅からの裏参道ルートは通行止めのため、この登山口は利用できませんが、通行可能になった時のためご紹介します。
電車でのアクセス
京急線本線の金沢八景駅で京急線逗子線の「逗子・葉山」行きに乗り換え、神武寺駅下車。改札は2つありますが、1つは在日米軍関係者専用です。
一般用の改札を出るとハイキングコースのマップ看板があります。神武寺駅入口の信号がある大きな通りを左へまっすぐ進み、「神武寺・鷹取山ハイキングコース」と書かれた看板のあるT字路を逗子中学校方面に右折します。逗子中学校を左手に道なりに進むと特養老人ホーム「せせらぎ」があり、そこを通過すると登山口です。神武寺駅から徒歩約10分で到着します。
マイカーでのアクセス
池子の森自然公園の有料駐車場を利用します。横浜横須賀道路逗子ICから県道24号の逗子駅方面へ向かい、逗子警察署入口を右折、京急線の逗子線の踏切を渡った先にあります。駐車場からは歩いて神武寺駅へ向かい、電車でのアクセス同様、登山口に向かってください。駐車場から神武寺駅までは徒歩約6分です。
鷹取山周辺のおすすめ山旅スポット
鷹取山周辺には、おすすめの立ち寄りスポットがあります。
麺山椒（めんざんしょう）
京急線追浜駅近くの行列ができる担々麺専門店。メニューは担々麺と汁なし担々麺の2種類。挽きたての山椒にこだわり、しびれ、辛さを5段階から選べます。ライスは何杯でも無料なのが嬉しいサービスです！
五霊神社 （ごりょうじんじゃ）
JR東逗子駅から徒歩9分の場所にある、源義朝ゆかりの神社。境内には樹齢800年～1000年といわれる大イチョウの木がそびえ立ち、荘厳な雰囲気を醸しています。
リッラ・カッテン
京急線神武寺駅からすぐの場所にあるスウェーデン洋菓子専門店。日本人の口に合うようアレンジされており、おいしいと評判です。スウェーデンの絵本や小物の販売、スウェーデン語講座も行われています。
