北アルプス南部のこの山域、槍ヶ岳・穂高岳は、4月下旬の開山祭から登山シーズンが始まるといってよいだろう。しかし、山はまだまだ雪のなかで、雪山経験のある登山者の世界である。こちらでは槍ヶ岳・穂高岳の気象、動物、植物を紹介する。
槍ヶ岳・穂高岳の気象

4月頃の天候は高気圧に覆われた晴れた日が続くが、高気圧が去った後、天候は崩れ、雪が降ったりして冬山に逆戻りすることもある。

そして、6月の梅雨入りまでに少しずつ雪は消えてゆくが、沢筋のコースにはまだ多くの残雪がある。梅雨に入れば7月の中旬まで雨の日が多く、沢は雪解け水で増水する。

夏山シーズンは梅雨明けと共に始まり、太平洋高気圧に覆われて晴天の日が続くが、午後には夕立ちと雷がやってくる。そして、朝夕は気温も下がりフリースや防寒着が必要になる。また、ガスが出やすいのもこの頃だ。

お盆も過ぎれば稜線には秋の風が吹き始め、9月中旬頃の秋雨前線が、冷たい雨を降らすようになる。前線が通過した後には紅葉が始まり、秋の移動性高気圧におおわれ晴れた日が続く。10月に入れば早い年には雪が降ることもあり、山は次第に冬に近づいてゆく。そして、11月の初めには稜線の各山小屋も閉じられて長い冬を迎える。
槍ヶ岳・穂高岳の動物

山に入って一番見かけるのはライチョウとイワヒバリである。夏には稜線で数羽のヒナを連れたライチョウによく出会うし、山小屋ではイワヒバリが人なつこく近づいてくる。特別天然記念物のカモシカも数が増えているようである。ほかにツキノワグマ、ニホンザル、オコジョ、キツネ、タヌキなども多く生息している。
槍ヶ岳・穂高岳の植物

植物この山域では、だいたい標高2600mくらいが森林限界で、核線にかけてハイマツが一番多く、ダケカンバやシャクナゲ、ナナカマドなどが混じる。そして、草地には高山植物のお花畑が広がっている。