乗鞍岳は北アルプスの最南端に位置する巨大な独立山塊である。山頂間近の畳平まで道路が通じ、高山の雰囲気を、老若男女誰もが気軽に楽しめる。一方、山麓からの登山道は訪れる人も少なく、無垢な大自然が本当の山好きを歓迎してくれる。また、山麓には清々しい高原、美しい渓谷、趣ある温泉を随所に抱え、まさに万人のための一大山岳リゾート地帯を形成している。

    乗鞍岳・乗鞍の魅力

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    乗鞍岳は標高3026m、わが国では第19位の高山である。その乗鞍の魅力はまず何といっても、山頂近くまで整備された道路が通じ、どんなに体力のない人でも、老若男女、誰もが雄大な景観、群れなす高山植物の可憐な姿、清澄な空気と、高山の雰囲気を手軽に心ゆくまで味わえる点にあるだろう。また、山そのものだけでなく、山麓には魅力ある高原が広がり、四季ごとに美しい景観を展開し、湯量の多い趣ある温泉地を随所にもち、訪れる人の心と体をリフレッシュしてくれる。そんなわけで、乗鞍という山を訪れる人は四季を通じて絶えることがない。とりわけシーズン中は、どこかの繁華街かと見まがうばかりの賑わいを見せている。

    いまや乗鞍岳は、一大観光地と化している。マイカー利用で誰でも手軽に登れるがために、いつしか登山対象の山として見られなくなってしまった。しかしこれも、2003年実施の乗鞍岳マイカー規制により好転のきざしにある。シャトルバスやタクシーなど指定車両以外は乗鞍山上に上がれなくなったため、山はかつての静けさを取り戻しつつある。これにともなって乗鞍岳登山の魅力を見直そうという動きもあり、登山道の手入ればかりでなく、廃れていた昔ながらの道を復活したという事例もある。人々で賑わう畳平~山頂付近を一歩離れれば、無垢のままの大自然が訪れる人を歓待してくれる。乗鞍は、手軽な万人向けの山であるとともに、大自然を心から愛する本当の山好きのための奥深さをもつ山でもある。

    乗鞍岳の地形と地質

    乗鞍岳は標高3026mの剣ヶ峰を主峰とし、北に第一尾根へと延びる主稜線上に富士見岳、大黒岳、恵比須岳、大丹生岳、烏帽子岳、四ツ岳など多くのピークを有する。主稜からは東北に長大な十石尾根を派生し、また山頂から東南に県境尾根、西に千町尾根から丸黒尾根という、これまた長大な尾根を持ち、山域の面積はおよそ250平方kmにも及ぶ、独立峰としては膨大な山塊である。

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    このように雄大な広がりを持つ乗鞍岳はコニーデ型の火山で、新生代の第四紀(洪積世・沖積世)、地球全体で火山活動が極めて活発だった時代に誕生したといわれる。乗鞍岳の表面は火成岩に覆われ、山頂部一帯には爆発の傷跡を残す火口壁や火口湖が点在している。現在は活火山としての活動力は失われているが、湯川の上流で吹き出すガスや山ふところの温泉群は、往時の火山活動の名残をとどめるものである。

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    山麓にかけては広大な溶岩原が広がり、桔梗ヶ原、位ヶ原などの広大なハイマツが形成されている。溶岩原の末端部には、三本滝、番所大滝、平湯大滝、嶽谷滝、布引滝など数多くの滝がかかり、独特の景観を生み出している。溶岩台地である乗鞍高原には多くの凹凸があり、窪地には水がたまって牛留池、あざみ池などの湖沼が生まれている。乗鞍岳の火山活動はおよそ125~128万年も以前のことであるので、火山特有の荒々しい雰囲気はなく、今は美しく豊かな大自然がそこかしこに息づき、訪れるものを優しく抱擁してくれる。

    乗鞍の四季

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    乗鞍の春は遅い。山麓の高原に春の花が咲き、新緑が芽吹きはじめる4月にも、山頂付近は吹雪となる日も多く、まだまだ山は冬姿を見せている。5月になると残雪も次第に少なくなり、谷間に雪解けの水音が響く。樹木も若葉で装いを改め、小鳥のさえずりが春の訪れを告げる。

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    6月、3000mの山頂付近はまだまだ白銀の世界だが、やがて高山植物が萌えだして、夏への衣がえが始まる。7月も中旬を過ぎ梅雨も明けると、登山者や観光客が押し寄せ、夏山最盛期を迎える。幾多の高山植物がお花畑で一堂に咲き競う。山頂付近にはまだ残雪があり、大雪ではサマースキーも楽しむことができる。山麓の渓水は冷たく、空気は清涼で、乗鞍高原や奥飛騨温泉郷は、避暑地としても訪れる人が多い。8月も下旬になると、お花畑も枯れはじめ、山には秋の気配が漂いはじめる。

    9月下旬~10月中旬頃には、真っ赤に燃えるナナカマドや黄金色のカラマツなどの紅葉で、山は錦に飾られる。また、時を同じくして山頂付近には初雪が訪れ、山頂から山麓にかけて三段染が見られる。11月になると樹木も葉を散りつくし、冷気とともに冬が一気に訪れる。日に日に寒さが厳しくなり、山頂から山麓へと、一面の白銀の世界に変わっていく。やがて自然は冬の深い眠りにつくが、今度は待ちかねていたスキーヤー達が、山麓のスキー場に押し寄せる。

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    乗鞍の四季はそれぞれの趣をもつが、新緑と紅葉の頃の自然がいちばん美しく、深く胸打つものがある。

    乗鞍の動植物

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    乗鞍岳には高度によって樹相の異なる鬱蒼とした樹林や豊富な高山植物が見られ、そこには様々な獣や鳥、昆虫などが生息する。山麓には常緑の広葉樹は少なく、落葉広葉樹が多い。標高1200m~1500mでは、乗鞍高原や平湯峠付近などでシラカバが多く見られる。標高2500m前後までの亜高山帯ではブナやダケカンバ、ミズナラなどの広葉樹と、針葉樹の混交林となっている。2500m以上の高山帯には、オオシラビソ、ナナカマド、ダケカンバなどが灌木帯を形成し、位ヶ原、桔梗ヶ原などで全国有数規模の広大なハイマツ帯が形成されている。

    植物分布は山麓から高山帯まで多種多彩だ。まず高原の池塘や湿原にはミズバショウやヤナギラン、珍しいミツガシワなどが群落をなしている。高度を増すにしたがってイワカガミ、コバイケイソウ、ニッコウキスゲ、ゴゼンタチバナなどが姿を現し、頂上付近ではチングルマ、ハクサンイチゲ、ヨツバシオガマ、コマクサなど高山植物が咲き誇るお花畑がそこかしこに見られる。山中や山麓にはノウサギ、オコジョ、リス、ツキノワグマなど、数多くの獣類が生息する。

    画像提供:飛騨乗鞍観光協会

    ハイマツ帯のライチョウや、高山帯の空を飛ぶイワヒバリやイヌワシ、山樹林に住むカッコウ、ウグイス、ミソサザイなど、鳥類も数多い。頂上付近にはミヤマモンキチョウなどの高山蝶、高原の池塘にはルリイトトンボなどの高山性のトンポやモリアオガエル、沢筋にはハコネサンショウウオなど珍しい生物も見られる。

    乗鞍岳周辺の温泉

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