ここでは雲取山から甲武信ヶ岳へと続く主稜線と、その途中にある飛龍山、唐松尾山、笠取山、和名倉山、甲武信ヶ岳さらには十文字峠や雁坂峠などを網羅的にガイドする。なお甲武信ヶ岳へは川上村からの沢コースや十文字峠からの稜線コース、さらに国師ヶ岳から延びる主移線縦走コースなどがある。

目次
甲武信ヶ岳・奥秩父主稜の登山概要・難易度
- 難易度:中級
- 合計所要時間:8:35
- 累積標高:1704m
- 距離:約14.3km
甲武信ヶ岳・奥秩父主稜の登山ルート
1日目
- 西沢渓谷入口
↓20分約1.4㎞/△110m・▽76m - 近丸新道入口
↓10分約0.3㎞/△27m・▽13m - 徳ちゃん新道入口
↓140分約2.6㎞/△732m・▽21m - 合流点
↓110分約2.1㎞/△618m・▽8m - 木賊山
↓15分約0.4㎞/△4m・▽103m - 甲武信小屋
2日目
- 甲武信小屋
↓20分約0.4㎞/△108m・▽8m - 甲武信岳
↓40分約1㎞/△11m・▽285m - 水源地標
↓70分約2.7㎞/△47m・▽444m - 滑滝
↓90分約3.4㎞/△47m・▽400m - 毛木平
戸渡尾根より甲武信ヶ岳(徳ちゃん新道)
1日目西沢渓谷入口から甲武信小屋へ

奥秩父のほぼ中心にあり3つの川(信濃川、富士川、荒川)に水流を分け、三県(埼玉、山梨、長野)の境をなしている甲武信ヶ岳は各方面から多様な登路に恵まれている。ここで紹介する戸渡尾根は山梨県側から直接短時間で甲武信ヶ岳に至るコースであるが「急登」ということにかけては奥秩父随一といえる。
西沢渓谷入口~徳ちゃん新道入口

西沢渓谷入口バス停よりそのまま直進し笛吹川左岸治いの道をたどる。トイレや休憩舎のある子酉橋分岐を過ぎ2~3分歩くと右手に林道が分岐する。甲武信ヶ岳登山口の看板がある。近丸新道から戸渡尾根へ至るコースの入口である。ここを見送ってヌク沢を渡ると田部重治の文学碑の前、閉鎖された山荘の手前右に道標が立ち、登山道が分岐している。ここが戸渡尾根の末端であり徳ちゃん新道の入口である。
合流点(1869mの肩)
ササヤブを抜けカラマツの樹林下を登る。傾斜の落ち着いた馬の背状のヤセ尾根が終わると、急斜面をつづら折りの道が続き再び平坦地に至る。背よりもずっと高いシャクナゲのトンネルが続いたり、部分的に急登も出るが、やがて視界がきくようになるとヌク沢からのコースが合わさる1869mの肩はすぐである。6月には満開のシャクナゲが美しい。
甲武信小屋

ここからの登りは、やがて傾斜を強めてツガの原生林となり、花樹岩の露出した展望の良いザレに至る。はるか下に広瀬湖が望まれるところだ。この上は丈の低い樹林に邪魔され少々歩きにくいが、登りきって少し巻いて下ると奥秩父主脈縦走路に出る。左にほんのひと登りで展望のない木賊山山頂に出て、まっすぐに下ると今夜の宿、甲武信小屋に着く。
2日目甲武信小屋から甲武信ヶ岳、梓山へ下る

甲武信岳~水源地標
甲武信ヶ岳の山頂には、北面より十文字峠からの道が合する。西面のガレた道を下り尾根を進むと、鞍部に千曲川源流遊歩道を示す道標を見る。樹林下の急坂を下って行くと水流が現れ、やや平坦な地となり「千曲川信濃川水源地標」の標柱が建つ。この小さな流れが日本一の信濃川の源頭である。
滑滝~毛木平
急坂もここでひと段落し、ゆるやかに水流を巻きつつ、時には濡れない程度に沢を歩き、何度か丸木橋を渡り返しながら高度を下げて行く。やがてゆるいナメ滝を右手に見送り、窪を桟道で渡ったり、部分的に登り返したりするうちに林道終点に出る。
左手に大山祇神社の同を見送り、なおも下ると毛木平の駐車場に出る。ここから広い高原野菜畑の中を突っきる車道を1時間半ほどで、信濃川上駅行きのバスの発車する梓山に至る。