燧ヶ岳登山

尾瀬の主峰、標高2356mの燧ヶ岳山頂へは4本の登路が延びている。徐々に高度を上げて無理なく登って行けるのが長英新道。最も急な傾斜をクリアして一気に山頂へ飛び出すナデッ窪道。前半はゆるやか、後半は急登にかわる見晴新道。そして、美しい田代を点在させる日帰り登山が可能な御池からの裏道。この4つのルートを登山に必要な日数と難易度をふまえて紹介する。

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山旅

燧ヶ岳へ日帰り登山をする方法

燧ヶ岳頂上へ向かう登山道は全部で4つある。

  • 燧ヶ岳北面:日帰り登山可能(御池から熊沢代田)
  • 燧ヶ岳西面:1泊以上必要(見晴新道)
  • 燧ヶ岳南面:1泊以上必要(ナデッ窪)
  • 燧ヶ岳東面:1泊以上必要(長英新道)

日帰り登山が可能な登山ルートは燧ヶ岳北面の御池登山口からのコースのみとなる。御池までは直接マイカーでアクセスすることができるが、これ以外の登山道はいづれも尾瀬の湿原を歩いた後に、燧ヶ岳の登山を開始することとなるため、日帰りは困難である。

御池から燧ヶ岳-日帰り登山が可能な登山ルート

御池から燧ヶ岳-日帰り登山が可能

①御池駐車場→②広沢田代→③熊沢田代→④俎嵓(まないたぐら)

場所福島県・尾瀬周辺
必要日数日帰り登山
往復コースタイム※5時間20分
距離約8.5km
累積標高約946m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

燧ヶ岳へ北面から登ることができる唯一のコース。下山の所要時間を考えると御池を早朝に出発する必要がある。それには尾瀬御池ロッジに泊まるか、マイカーを利用して御池登山口から登山開始を行うかどちらかとなる。御池以外の登山口を利用する場合は、湿原を歩いた後に燧ヶ岳の登山を開始することになるため、日帰りは困難となる。

尾瀬御池ロッジ前から沼山峠への車道を左に見送り、駐車場を横切って燧裏林道を進む。御池田代の手前で燧小湿原が左に延びている。まずは暗い樹林の中をジグザグに登って行く。次第に急登になり、ときどき大きな石や木の根が現れる悪路をひたすら登りつづける。

ブナの林の中を進むようになると、傾斜もややゆるやかになってくる。やがて突然のように眼前が開けて、広々とした広沢田代の北端に飛び出す。湿原の中央に木道が延び、一面に池塘が点在している。7月下旬に訪れるとキンコウカの花が黄色に染めているはずだ。

広沢田代を進むうちに徐々に傾斜が増し、大きく右にカーブを描いて行く。湿原の南端で再び樹林の中へ入り、木道や階段道を交じえながら急斜面を登る。ほどなくして小ピークに登り着くと展望が開ける。前方にはなだらかな山容の燧ヶ岳と、その前景にふたつの池塘が印象的な熊沢田代が広がっている。わずかに下って木道をたどれば熊沢田代の中へと入って行く。

熊沢田代は広沢田代とほぼ同規模だが、池塘が少なく花の種類もそう多くはないようだ。それでも展望には恵まれ、燧ヶ岳や日光連山などの雄姿を望むことができる。また、さきほど見下ろしたふたつの池塘は中央の鞍部(ウダ)で木道を挟むように対称形に並び、田代の景観をひきしめている。

ふたつの池を過ぎると、ゆるやかに傾斜がついてくる。まもなく灌木帯に入るが、ふたたび小湿原に出る。小湿原の先で樹林帯に入るようになる。シラビソやダケカンバなどの混生林をぬければ、両側にササと低木が広がる中を登る。このあたりから上部にかけては、例年7月中ごろまで残雪のあるところ。悪天時にはルートファインディングを慎重に。わかりにくければ左寄りにルートをとって行くとよい。

水のない小沢を三回ほど渡り、赤茶けたガレ場をトラバースする。ところどころにロープが張ってあるので、これに従って進もう。周りのササ原にハイマツが見られるようになれば、燧ヶ岳の山頂もぐんと近づいてくる。振り返ると、さきほどたどってきた熊沢田代や、穏やかな山容の会津駒ヶ岳など、気持ちのよい展望が広がっている。

ふたたびガレ場を登り、左にトラバース気味に進む。最後に大きな岩を乗り越えれば俎嵓の頂に出る。狭い山頂は巨岩がゴロゴロし、小さな石の祠が祀られている。安嵓山頂の分岐を右にとり、少し下って再度急登すれば柴安嵓にたどり着く。また、安嵓山頂の分岐を左にとって少し下ると長英新道とナデッ窪道の分岐に出る。

見晴新道から燧ヶ岳-尾瀬ヶ原を背に登る登山ルート

見晴新道から燧ヶ岳-眺望を楽しめる登山ルート

①見晴キャンプ場→②見晴新道→③俎嵓(まないたぐら)

必要日数1泊2日登山
上りコースタイム※4時間5分
距離約4.2km
累積標高約992m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

見晴に入るにはどの登山口から歩いても半日以上はかかる。したがって、1日目にこのコースをとるのはきつくなるので、できれば見晴の山小屋に一泊しておき、翌日にトライするのが望ましい。

山小屋が両側に建ち並ぶ見晴の広場から尾瀬ヶ原を背にして出発。はじめは尾瀬沼への道をたどって行く。三叉路に着いたら左の見晴新道へ入る。ゆるい登りはところどころに歩きにくいぬかるみをつくり、中央を通ろうものなら靴はたちまち泥だらけになってしまう。ちょっと大変だが、道の脇のササをつかんで潜らないように歩く。しばらくは樹林に囲まれた沢筋を進む。

傾斜が増してくると、露岩の多い沢道を急登するようになる。右に針葉樹に覆われた赤ナグレ岳の斜面、そして正面には岩場が見える。その右側の急坂を登りきって尾根に出ると、すぐに左側から温泉小屋道(廃道)が合わさる。ここまでくれば頂上は間近だ。

ナデッ窪道から燧ヶ岳-急峻な登山道が堪える上級ルート

ナデッ窪道から燧ヶ岳

①尾瀬沼キャンプ場→②オンダシ→③燧ヶ岳分岐(ナデッ窪登山道)→④ナデッ窪・長英新道分岐→⑤俎嵓(まないたぐら)

必要日数1泊2日登山
上りコースタイム※4時間
距離約5.1km
累積標高約708m
難易度★★★★☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

尾瀬沼畔の沼尻とミノブチ岳を結ぶナデッ窪道は、燧ヶ岳へのルートの中で最も急峻な道だ。ナデとは雪崩のことで、急傾斜の沢中道はいかにも雪崩がよく起こりそうに見える。それだけに残雪期には十分注意して登るようにしたい。

大江湿原を離れて長英新道を右に分け、浅湖湿原に出る。大入洲半島の樹林をぬけ、いくつかの湿原を過ぎると沼尻平に着く。

ここで道は変則十字路になり、ナデッ窪道へは右に折れて進む。湿原をぬけて沢沿いの道を行く。このあたり、増水時は道がそのまま沢になってしまうところだ。傾斜のゆるい樹林帯をぬけると、岩を乗り越え、そしてまもなく急登が始まる。

ただただ急登がつづいて高度を上げていく。ダケカンバ越しには尾瀬沼が大きく見える。ようやく傾斜が落ち、ササを分けて進むと右手から長英新道が合流してくる。ここで、さきほどまで見上げていたミノブチ岳が目の前の高さになっている。

左の斜面を巻きぎみに登り、最後の急登にひと汗かけしばやすぐらば俎嵓に着く。柴安嵓へは西側にいったん下り、鞍部から再び急登するとピークに飛び出す。

長英新道から燧ヶ岳-最もよく知られている登山ルート

長英新道から燧ヶ岳

①尾瀬沼キャンプ場→②浅湖湿原→③ミノブチ岳→④俎嵓(まないたぐら)

必要日数1泊2日登山
上りコースタイム※3時間15分
距離約5.2km
累積標高約710m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

燧ヶ岳への登路のうちで、最もよく登られているのが長英新道。その名が示すように、長蔵小屋の二代目主人、平野長英翁によって開かれた道だ。燧新道や浅湖新道とも呼ばれる。

長蔵小屋の前から大江湿原に入り、木道をたどり始めると、すぐに左に沼尻方面への道が分岐する。沼尻方面への道を進み、大江川を渡って小高い樹林帯へ登って行く。木の間越しに浅湖湿原が見えてくると、長英新道の分岐に出る。ここで右の長英新道へ入る。

鬱蒼と茂る樹林の中を、しばらくはゆるやかに登って行く。小さな涸沢を渡るあたりから、次第にはっきりとした尾根筋をたどるようになり、進路も北から西へと変わってくる。それにともない密な樹林を出て、ササ原の疎林帯を登る。眺望は開けてくるが、きつい急登はしばらくつづく。やがて傾斜がゆるくなって小沢の流れ出す小さな湿原に出る。周囲はダケカンバの巨木が美しく、ちょっと休憩したくなるところだ。

入り組んだ尾根を越え、急斜面をひと登りすると、森林限界を出てミノブチ岳に達する。尾根の肩のような山頂からは、真下にひろがる尾瀬沼と、それを取り巻くように連なる山並みが一望できる。

ミノブチ岳の山頂から北へ少し下ってトラバース気味に行くと、ナデッ窪道が左から合流する。分岐を右に進み露岩の多い急斜面を登りつめれば、2等三角点を置くの山頂に飛び出す。巨岩が重なったような山頂には数基の祠がまつられ、古くから信仰登山が行われていたことをうかがわせる。周囲を遮るものもなく、尾瀬沼の奥に日光連山、尾瀬ヶ原の奥には至仏山、ほかにも会津駒ヶ岳や平ヶ岳など、見事な山岳展望がひろがる。

俎嵓の登頂を果たしたことで満足してしまう登山者も多いが、やはり燧ヶ岳の最高点にあたる柴安も登っておこう。西面の岩場を下り、いったん鞍部に出たら、柴安嵓への登りにかかる。砂礫の急斜面を登りつめれば、広々とした柴安嵓の山頂に着く。俎嵓と同じように、展望は申し分ない。休憩スペースも、こちらのほうがゆったりとれるので、ランチタイムにも適している。

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