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山とダムの密接な関係を楽しむ『登山と一緒に楽しむダム』

山とダムの密接な関係を楽しむ『登山と一緒に楽しむダム』

皆さんには「山登りと一緒に楽しんでいるもの」って、ありますか?例えば写真を撮ることだったり、動画撮影だったり。山の上でビールを飲んだり、コーヒーを飲んだり。あるいは、下山後の温泉や、地元のグルメを楽しみに山に向かう人も多いと思います。

僕も、山で飲むビールは大好きですし、下山後の温泉もかかせません。荒島岳に登った後はソースカツ丼を食べますし、中央アルプス登山で駒ヶ根に行けばソースカツ丼を食べます(ソースカツ丼ばかり…)。

こういう楽しみは、同行者にも共感してもらえるもので、多くの場合は一緒に楽しんでいるものと思います。ただ、僕には1つ、なかなか共感してもらえない山プラスαの楽しみが。

それは「ダム」です。

登山で楽しむダムの魅力

最近はインフラツーリズム人気の高まりや、単純に集中豪雨の増加などもあり、色んな意味で注目を集めているダムですが、「見に行こう!」と言うと、「何言ってんの?」というような目を向けられることもしばしば。なかなか共感してもらえないプラスαな楽しみなのです。

しかし、ダムは川の上流、つまりは山の近くに建設されることが多いので、登山口の近くや道中でよく見かけます。ダム好きとしては、近くまで来たならば是非寄りたいと思ってしまうもの。どうにかこの趣味を理解いただきたく、筆を取った次第です。

登山で楽しめる有名なダム

黒部ダム

ちなみに、山登りとダム鑑賞の親和性は非常に高く、先ほども書きましたが、山の近くにはたくさんのダムがあるので、一緒に楽しめる機会が多いです。憧れの裏銀座縦走の登山口は高瀬ダムですし、その手前には七倉ダムもあります。農鳥岳の登山口である奈良田湖は西山ダム建設によってできたダム湖。秋限定ルートの下ノ廊下の起点であり、北アルプスの最奥を縦断する読売新道の北端は、かの有名な黒部ダム。黒部ダムは立山へ長野側から入る際に通るルートにもなります。

このように少し例を挙げるだけでも、山とダムの密接な関係が分かります。少しは親近感を持っていただけたでしょうか?

ここで、僕が実際に歩いた、ダムと山を楽しめるコースを1つご紹介します。

登山と一緒に楽しむダムの魅力を紹介

舞台は神戸のシンボル六甲山。六甲全山縦走路の一部を通るコースです。妙法寺駅をスタートし、高取山、菊水山、鍋蓋山と縦走し新神戸駅へ下山します。距離15km、累積標高差1250mとなかなかタフな縦走路です。僕のコースタイムは約4時間半でした。

モテるダム『石井ダム』

この道中にあるダムは2基、1基目は石井ダム。妙法寺駅から高取山の急登をクリアし、そこからいったん下山して、鴨越駅近くの林道を抜けます。沢沿いに舗装路を歩いていくと、茂みの奥に白亜のダムが現れます。これが石井ダムです。

大きさはそれほどでもないですが、色白で左右均等に整った面構えはまさにイケメン。その目的に「レクリエーション」を掲げており、展望デッキや多目的ホールなどがある珍しいダムになります。

ダム本来の目的だけでなく、それ以外にも対応できる柔軟さ、人間社会で言うなればコミュニケーション能力に長けたダムと言ったところでしょうか。

イケメンで、コミュ力もある。石井ダムはまさに「モテるダム」なのです。2008年竣工と若さもあります。うっかり写真を撮るのを忘れてしまいましたので、分かりにくい木越しのもので恐縮です。

国の重要文化財にも指定『布引ダム』

石井ダムから菊水山、鍋蓋山と縦走し、新神戸駅へと下山する道中、2基目のダムが姿を現します。布引ダムです。

こちらは石井ダムとは違い、古いダム。しかも並の古さではありません。日本最古の重力式コンクリートダムで国の重要文化財にも指定されています。竣工はなんと1900年。そこから長らく大都市・神戸の水源を守り続けてきた歴史を感じさせる風格のある佇まいです。

欧米から技術者を招き建設されたためか、どこかヨーロッパの城壁を思わせる作りとなっており、他のダムと違い温かみがあります。竣工当時は日本初の近代式ダムとして話題を集めたことでしょう。今でも摩耶山に登る登山客で賑わってはいますが、建設当時はもっと賑わっていたのではないでしょうか。

若かりしころは主役として数々の映画に出演し、年齢を重ねてからは名バイプレーヤーとして作品を支え、近年は短い登場シーンでも絶大なインパクトを残す大ベテラン俳優といった趣があります。そんな大ベテランダムに見守られ、神戸の街へと歩を進めます。布引の滝を経由し、30分ほど歩けば新神戸駅に到着です。

さて、少しダム愛が出過ぎてしまったでしょうか。拙文を読んでいただき、少しでもダムに興味を持ってもらえたならば幸いです。あなたと一緒に山に行った人が「ダムを見に行きたい」とお願いしてきたら、無碍にせず暖かく受け止めてもらえれば幸いです。川の流れを受け止めるダムのように。

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