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大峯奥駈道を縦走-3日間の日程で約100キロを歩く

大峯奥駈道を縦走-3日間の日程で約100キロを歩く

大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)について

「大峯奥駈道」は、役行者が8世紀初めに開いたとされる吉野~熊野までの修験道の修行の道。平成16年7月に「ユネスコ世界文化遺産」に登録されており、日本での登録は12番目、道としての登録は世界でスペインとフランスを結ぶ「巡礼の道」とここだけとなります。※正式にはユネスコの世界遺産リストに「紀伊山地の霊場と参詣道」と登録され「大峯奥駈道」がこれに含まれています。

大峯奥駈道の主稜線沿いには、「靡」と呼ばれる修行場があり、ひとつひとつに番号が割り当てられています。熊野本宮大社の本宮証誠殿(1番)から、吉野川河岸の柳の宿(75番)です。

大峯奥駈道を歩く2つの方法

あと、大峯奥駈道を歩くには2つの方法が知られています。ひとつは、熊野から吉野に向かう順峯(じゅんぷ)、もうひとつは、逆に吉野から熊野に向かう逆峯(ぎゃくふ)で、それぞれに主宰する宗派が異なります。順峯は天台宗系の聖護院(本山派)が、逆峯は真言宗系の醍醐寺三宝院(当山派)がそれぞれ主導しています。今回はアクセスの関係から「逆峯」で歩いてきました。

大峯奥駈道を縦走:日程と距離

一日目は、吉野から楊子の宿まで

  • 約42キロ、16時間半

二日目は、楊子の宿から玉置神社まで

  • 約35キロ、15時間

三日目は、玉置神社から熊野本宮大社まで

  • 約20キロ、6時間半

女人禁制について

宗教上の理由から、山上ヶ岳の北「五番関」から南の「阿弥陀ヶ森」までは女人禁制です。

大峯奥駈道:1日目の縦走

初日は仕事の後、23:00に「吉野駅」をスタートしました。最初の一時間半ほどは舗装路を歩いて登ります。※本来のスタート地点は第七十五靡「柳の渡し」がある「六田駅」になります。

銅の鳥居(かねのとりい)

金峰山四門の一つ目「発心門」。吉野山の蔵王堂の北側に位置し、いままで暮らしてきた俗界を離れ、菩提心を発するところとされています。

蔵王堂

金峯山寺の本堂です。立ち寄りました。

スタートから一時間半、金峰山四門の2つ目「修行門」に到着。いよいよ登山道に入っていきます。

星が綺麗だったので地面にカメラ置いて星空撮ってみました。

二蔵宿小屋付近

最初の泊地で小屋は宿泊可能です。この日は夜中なので覗けず写真はありません。周りにテントも張れます。ここは大天井ヶ岳のすぐ手前です。右が山頂目指すルート。私は左の巻き道を歩きました。濡れた岩と木の根、左側がキレた痩せたトラバースで危険なルートでした。個人的には山頂を目指す事をオススメします。

スタートから約5時間で五番関に到着しました。女人結界門です。ここでも数名がテント張られてました。ここから山上ヶ岳の山頂を目指します。

少し進んで洞辻茶屋に到着しました。この辺りは雨風しのげる茶屋がいくつかあります。快晴予報でしたが、この時間はかなりガスが出ています。

「鐘掛岩」修行場の鎖場です。かなり高度感があり少しハング気味の岩を鎖を持って登ります。奥駈では普通は登りませんが、興味がある方は、ザックをデポして十分注意して登ってみてください。

鐘掛岩の直下から見た図です。

四門の3つ目「等覚門」です。写真は通りすぎてしまって後ろからになってます。

金峰山四門の4つ目「妙覚門」です。ここを越えると「大峯山寺本堂」です。

山上ヶ岳の山頂です。大峯山寺本堂(奥駈道)から少し外れたところにあります。視界が晴れないので先に進みます。※絶景ポイント「日本岩」があります。

僅か数十分で快晴に変わりました。

小笹の宿。一日目をここにする方が多い宿泊地です。風は入ってきますが、小屋にも泊まれます。毛布もありました。ここでスタートから7:30でした。

こちらが小笹の宿の水場。川なので枯れる事はほぼありません。

阿弥陀の森側の女人結界門を通過します。

先行者さん発見。ここから大普賢岳山頂までご一緒しました。いろんな方と少しずつ歩けるのもソロ縦走の良いところです。今回は途中同じ奥駈道を歩いている方6人と話しながらご一緒させていただきました。

続いて「大普賢岳」山頂です。

稲村ヶ岳、大日岳が綺麗に見えます。大普賢岳山頂付近で撮っていただいた一枚です。ザックはエクスぺドのブラックアイス30(完全防水)です。ULマット、キャリーザサンなどを外付けしてます。UL仕様で重さは水MAXで9キロです。

大普賢岳、小普賢岳、日本岳・・ 大普賢岳から行者還岳へ向かう途中で撮ってます。この辺りは鎖場が続きます。

行者還の水場。ルートのすぐ近くにあります。水量が少ない時は岩場を登らないとダメな時もあります。枯れてる事もあります。

スタートから11時間、行者還小屋へ到着しました。綺麗な小屋で15~20人ぐらいは泊まれます。毛布も沢山ありました。

行者還小屋から約2時間で弥山に到着しました。快晴のお昼時なので賑わってました。弥山小屋に泊まれます。(一泊2食8500円、要予約)カップ麺、パンなどの食料調達も可能。テン場は500円です。「弥山山頂」と、絶景の「国見八方覗」はルートから少し外れた場所にあります。どちらも、是非、立ち寄って欲しいスポットです。

「八経ヶ岳」近畿最高峰です。弥山から約30分です。この日は快晴で絶景でした。ここから明星ヶ岳方面へ向かい、分岐を前鬼方面へ進みます。

明星ヶ岳から楊子の宿へ向かう途中の崩落地。この辺りは崩落箇所が多いので慎重に進みます。前回歩いた時よりかなり崩れている気がしました。

15:30、やっと本日の宿泊地である楊子の小屋に到着しました。小屋の中は二階建てで10人ぐらいは楽に泊まれます。周りにテントは5~6張は張れそうです。

水場は5分ほど下ったところにあります。ここは枯れてることもあると思います。この日は寝ずに歩いてきたので、明るいうちに寝てしまいました。

大峯奥駈道:2日目の縦走

二日目は4:00に楊子の小屋をスタートしました。約一時間でここ「孔雀ノ覗」です。

続いてスタートから2時間で「釈迦ヶ岳」に到着。快晴のお釈迦様に会えました。

釈迦ヶ岳からしばらく下ると「深仙の宿」が見えてきました。ここも皆さんがよく利用される宿泊地です。テントも10張以上張れると思います。水場は少し下ったところにあります。

深仙の小屋の中です。4~5人でいっぱいになりそうです。ここから少し進むと大日岳がありますが、かなりルートから外れた岩場になります。奥駈中に行かれる方はザックデポして行かれてます。

スタートしてから約3時間で「太古ノ辻」に到着しました。ここから南奥駈道に入ります。公共交通機関を使った際の最終エスケープポイント「前鬼」へ下山する事が出来ます。が、バスは前鬼口から1日一本(土日祝15:22発)です。

玉置山まで29キロ、熊野本宮大社まで45キロと記されています。水場事情も困難になってきますので、しっかり計画して歩きましょう。

しばらくは、南奥駈道の山々を見ながら気持ち良く歩きます。

太古ノ辻から3時間、持経ノ宿に到着しました。「新宮山彦ぐるーぷ」さんの小屋で予約可です。有料です。コーラ、ビール、コーヒーなど売ってます。

小屋の前に汲み置き水が並べられていました。ありがたいです。500補給させてもらいました。水場は400mほど下ったところにあります。

持経から50分ほど歩くと平治ノ宿です。こちらも新宮山彦ぐるーぷさんの小屋で綺麗で広いです。3つの中で一番空いてます。宿泊予約可、有料です。

さらに2時間歩くと「行仙岳小屋」です。こちらも新宮山彦ぐるーぷさんで、宿泊予約可、有料です。水場までは片道30分です。この日はこちらでコーラ購入しました。小屋番さんと話が盛り上がりましたが、玉置山目指して再スタートしました。この時間が13:20で玉置山へは19:00到着予定です。

笠捨山への登り途中で一枚。南奥駈で一番キツイ登りですがこの景色見ながら頑張ります。

笠捨山山頂です。第十八靡です。ここからは激下りの後、南奥駈最大の難所である地蔵岳へ向かいます。

地蔵岳の鎖場です。逆峯の場合はここを下りなければなりません。垂直に近い10m以上ある岩場を二本の鎖を持って下ります。ここ以外にも鎖場が続きます。

地蔵岳を越えてからは歩きやすい登山道になり、一気にペースが上がります。逆峯の場合、激下りからの緩やかな登り返しが続きます。

ここから21世紀の森キャンプ場へ行けます。水場もあります。

世界遺産の石碑。ここまでくれば玉置山は目の前です。

玉置山山頂付近ではシャクナゲがお出迎え。

18:55、玉置山に到着です。すっかり暗くなってしまいました。

この日の寝床です。パッキングし直した際にツェルトを忘れるというミスをしてしまいました。反省です。ULマット、エスケープヴィヴィ、上半身はダウン+レインを着込んで、下半身はザックに足を入れて寝ました。熟睡出来ました。もし雨予報なら1.8キロ手前の展望台まで戻れば、この装備でも屋根の下で寝ることが出来ます。

朝食はmont-bellのリゾッタとスープです。火器は固形燃料と台だけ。クッカーはシェラカップのみ。お湯沸かすだけの食材しか持ってきていません。

大峯奥駈道:3日目の縦走

玉置神社です。4:00に駐車場を出て参拝してからスタートしました。この日も20キロ近く歩くことになります。下りメインですが、登り返しもしっかりあります。激下りが多く、ロープが張られてますので、手袋必須です。

玉置神社をスタートしてから5時間、ようやく熊野本宮大社(大鳥居)が見えてきました。最後までアップダウンが続きます。

10:20、熊野川へ到着しました。昔の大峯奥駈道を歩いた修験者は、最後にこの川を渡り身を清めた後で熊野本宮の神域に入っていったそうです。今でも皆さん渡られています。

二年前の身を清めている私の写真です。今回は身を清めずに橋を渡りました(笑)

大斎原の大鳥居です。写真撮り忘れたので、少し前に来た時の写真になります。

世界遺産・紀伊山地の霊場と参詣道の石碑です。

熊野本宮大社です。さすがにGW中なので凄い人でした。

こちらは熊野本宮の近くにあるシュークリームの人気店です。11:00開店、甘い物が欲しくて並んで買いました。何度か立ち寄ってますが、11:15に売り切れてる日もありました。

お土産は熊野本宮大社御用達の「もうで餅」です。熊野本宮大社の鳥居前で売っています。

11:39発の大和八木行きのバスに乗りました。十津川温泉で10分休憩(足湯入れます)、谷瀬の吊り橋で20分休憩で、15:00頃に五条駅に到着して二駅電車に乗り吉野口に停めてあった車に戻りました。

大峯奥駈道、今回も沢山の方々と出会い、楽しく気持ち良く歩く事が出来ました。また、このレポートが、少しでもこれから奥駈を目指す方の参考になればと幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。※最後の写真は弥山(国見八方覗)からの眺望です。

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