高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    登山をする人の誰もが憧れ、人気の山塊となっている「北アルプス」。だからこそ様々な書籍が溢れる中、本書はテント泊で北アルプスを楽しむ人に向けた珍しい書籍である。

    テント泊未経験者から経験者まで

    テント泊での登山となると重量のある荷物を背負い山に入る事になるから、それだけのリスクも生じるし、自由度が増す分、自己責任の範囲も広くなる。だからこそ躊躇する人も多い中、本書を読む事で具体的なリスクや難易度が図れ、何より登山経験豊富な「高橋庄太郎」という人の体験を通した感想とアドバイスが書かれているから、テント泊未経験者から経験者まで幅広い人に新しい発見をもたらしてくれる内容に仕上がっている。

    プロローグで解る登山計画の立て方

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    まずプロローグとして、テント泊で北アルプスを登山をする時に、どのような点に気を配るべきかという、「計画の立て方と考え方」がポイントで示されている。
    「グループなのか、ひとりなのか?」「現実的な行動時間のこと」「水の入手方法」等々、事前に知っておく事で、安全で楽しい登山をもたらしてくれる。

    北アルプスの登山ルート

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    そして本書の核となる北アルプスの登山ルートの紹介なのだが、これが非常に面白い。

    まず1つ目にコース紹介を、登山のスタイル別に紹介してくれているという点だ。
    「北アルプス入門の山」「百名山最楽往復法」「大定番・長距離縦走ルート」「挑戦的長距離縦走ルート」「山頂を通らない山の旅」「北アルプス南北全踏破」と北アルプスの知識が少ない人でも、どんなスタイルで登山を楽しみたいか?という切り口でコースを探す事ができる。

    登山をテントを背負う前提で

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ
    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    2つ目にコース紹介の情報が、テント泊で登山をする人向けにデータが整理されているという点だ。
    「標準的な必要日数」「疲労度と危険度で判断された難易度」「コースタイム」。こういったデータが全てのコースに記載されているから、自分の体力や必要な日数を鑑みて、コースを見比べながら、計画を立て易くしてくれている。そして何よりも「高橋庄太郎」という1人の人物の体験からデータが整理されているから、示されているデータの信頼、相対的に判断する時のブレのなさが、この書籍の魅力の1つとなっている。

    登山を奥行きのあるものに

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    3つ目にコース紹介の情報に付与された、その登山を奥行きのあるものにしてくれる情報源だ。

    「この山(コース)の面白さ」がコース毎に記載されているが、例えば白馬岳では
    「山頂での見所は、風景指示板が埋め込まれた大きな石。なんと188キロの重量をひとりの男が人力で担ぎ上げたものだ。そのあたりは新田次郎の小説『強力伝』に詳しい。」とある。
    この情報を事前に得ていれば、白馬岳頂上できっとその石を気にして目にするだろうし、行く前に小説を読んでおけば、違った視点で歩いている景色を拝む事ができるだろう。

    高橋庄太郎氏の体験談

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    また「僕の体験から」というのがある。白馬岳では高橋庄太郎氏が軽アイゼンを忘れた時のエピソードが書かれているが、装備の準備に一役買う事もあれば、もし忘れてしまっても別の手段を検討する事が出来る。知っておくとありがたい情報だ。

    登山を安全に楽しむ為に

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    「このコースの安全な歩き方」では歩くルートの環境についての情報が記されている。例えば「落石の恐れ」「見落とし易いルート上のポイント」「渋滞による時間のロスの可能性」等々、可能性のある情報を得る事で、最悪の場合のエスケープを考えておく事ができるから、いざ登山中にこれらに遭遇しても、冷静な判断で行動できる可能性が格段にあがる。

    これらの情報を得て山行することで、「奥行きある登山になるだろう」と容易に推測することができると思う。

    登山が山旅になるコラム

    高橋庄太郎 北アルプス テントを背中に山の旅へ

    最後に登山ルートの紹介の合間に出てくるコラムだ。
    このコラムは北アルプスを俯瞰した情報で、「登山口」「山小屋」「ロープウェイ」と北アルプスを楽しむ上での利便性に関する情報。
    「温泉」「雪渓」「キレット」「急登」とルートを決める際、決めた後でプラスαの楽しみや驚きを提示してくれる情報。
    そして締めくくりのコラムでは、高橋庄太郎氏の個人的ベストと題して、テント場や水場などを紹介してくれている。これらの情報から登山計画をたてるのも面白い。

    以上、本書の紹介だったが、日本の山のよさ全てを内包する北アルプスをよりいっそう楽しむ為に、間違いなくおすすめできる1冊である。
    ガイド本としてパラパラめくってチェックするというより、じっくり読みこむ事で、北アルプスの魅力を様々な角度で知る事ができ、次の登山計画のヒントを得る事ができる。

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