国内外から世界屈指のクライマーと評価を受けている山野井泰史氏。彼の登るという行為に対しての思い、それは様々な経験から見出せます。いつでもどこでも「集中」を怠らず、怖さを忘れて鈍感になるような事は微塵もなく、山と対峙する姿は美しいとさえ思えます。

垂直の記憶
2002年秋、山野井泰史は、ヒマラヤの難峰ギャチュン・カンに単独登頂後、下降中嵐につかまり、妻・妙子とともに決死の脱出を試みて奇跡的に生還した。 この衝撃的な生還を機に、自らのクライミングの半生を振り返り、難ルートから挑んだ高峰への思いを綴る。 すさまじい登攀への思いと「日常」の生活も著わした、氏の再起への物語でもある。 2004年に刊行された書籍、待望の文庫化!
著者:山野井 泰史著
目次
はじめに
第1章 8000メートルの教訓 ブロード・ピーク
コラム 山登りで心配をかけ、山登りで親孝行(両親)
第2章 ソロ・クライミングの蘇生 メラ・ピーク西壁とアマ・ダブラム西壁
コラム クヌギの木と柿の木(結婚)
第3章 ソロの新境地 チョ・オユー南西壁
コラム 束縛されない時間と空間(生活)
第4章 ビッグウォール レディーズ・フィンガー南壁
コラム バラエティに富んだ人生のスパイス(仲間)
第5章 死の恐怖 マカルー西壁とマナスル北西壁
コラム 山で死んでも許される登山家(死)
第6章 夢の実現 K2南南東リブ
コラム 理想のクライマー(夢)
第7章 生還 ギャチュン・カン北壁
あとがき
解説 後藤正治
文庫のためのあとがき
山野井泰史・年譜

アルピニズムと死 僕が登り続けてこられた理由
日本を代表するアルパインクライマー、山野井泰史が考える「山での死」とアルパインクライミング。
かつて「天国に一番近いクライマー」と呼ばれた男はなぜ、今も登り続けていられるのか。
「より高く、より困難」なクライミングを志向するアルパインクライマーは、突き詰めていけば限りなく「死の領域」に近づいてゆく。そんななかで、かつて「天国にいちばん近いクライマー」と呼ばれていた山野井泰史は、山での幾多の危機を乗り越えて生きながらえてきた。
過去30年の登山経験のなかで、山で命を落とした仲間たちの事例と自らの生還体験を1冊にまとめ、山での生と死を分けたものはいったい何だったのか、を語る。
『垂直の記憶』に続く、山野井泰史、待望の書き下ろし第二弾!
著者:山野井 泰史著

ソロ 単独登攀者 山野井泰史
クライミングの武者修行時代からヒマラヤ8000m峰の難壁まで、単独登攀に賭けた山野井泰史の軌跡を綴るヒマラヤの大岩壁に果敢な単独登攀で挑み続けた山野井泰史。その行動と思想を克明な取材で追う。
10代のクライミング武者修行からトール西壁、冬季フィッツロイ、冬季アマ・ダブラム西壁の単独初登を経て、チョ・オユー、マカルーといった8000メートル峰の壁に挑むまでを描いた意欲作である。
著者:丸山直樹著
プロローグ 自分という極限 マカルー西壁・1996年秋
第1章 高みを見るような
第2章 少年の日に
第3章 揺れる自我
第4章 登る意味
第5章 トール西壁
第6章 敗れざる「フィッツロイ」
第7章 奥多摩の日々
第8章 妥協せず
第9章 山に溶ける
第10章 自分を生きる
あとがき
文庫のあとがき
解説 山野井泰史という男

凍
最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった―。絶望的状況下、究極の選択。鮮かに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。講談社ノンフィクション賞受賞。
著者:沢木 耕太郎著
目次
第一章 ギャチュンカン
第二章 谷の奥へ
第三章 彼らの山
第四章 壁
第五章 ダブルアックス
第六章 雪煙
第七章 クライムダウン〈下降〉
第八章 朝の光
第九章 橋を渡る
第十章 喪失と獲得
終章 ギャチュンカン、ふたたび