トレイルランニングを通じての出会い
トレイルランニングという文化が、まだ日本に馴染みがない頃、この2人の先駆者達は、学生時代・社会人時代における環境や、その上での将来のビジョン、怪我や病気、体質悪化などのアクシデント、様々な苦悩をそれぞれに綴っている。
誰もが何かしら現状を打破しようとする時に「出会い」という救いの手が差し伸べられる事がある。彼らにとっては、それが「山の中を走る」というトレイルランニングというスポーツだった。
そうなのだ。この書はトレイルランニングの面白さを伝えると共に、鏑木 毅、福田 六花という2人が、どのような壁に遭遇し、それをどのように乗り越えたのか?そこに誰もが感じる共感が潜む。
そして2人の人物の共通点や相違点を探りながら、最終的にトレランを通して2人が出会い、同じ目標に向かって邁進していくプロセスは映画を見ている様に、光景が目に浮かぶ。
UTMFの舞台裏、そこで繰り広げられる様々な課題
課題を仲間と共にクリアにしていく、そこで努力するチームの方々の行動を垣間見れるという「UTMFの舞台裏」という点で非常に面白いのだが、別の視点で捉えると全ての人たちにとって興味深いと感じてもらえると思う。
それは今自分が何かを創めようとスタートラインに立っていたり、走っている最中であったり、仕事でもスポーツでもプライベートでも様々な場面で「何が重要なのか」「何が助けてくれるのか」自分も周りも俯瞰してみた時に、大事なポイントを示唆してくれているバイブル的な役割を担っているという点だ。
これを読むと「人間不可能な事なんてないなあ」と感じるのだ。
目次
ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)概要
UTMF・STYコースマップ
第一章 日本初の100 マイルレースを/鏑木 毅
飛行機から見えた一本のルート
2008年、もうひとつの決断
富士山は日本を、いや世界を代表する山だ
第二章 メタボ外科医、ランニングに目覚める/福田六花
ランニングとは一切無縁
信州の風に吹かれて走り始める
ランニングにのめり込む日々
医者をやめ、フリーランスに
そうだ、富士山麓に住もう
山を走り始める
トレイルランニングレースをプロデュース
第三章 いじめられっ子、トップトレイルランナーへ/鏑木 毅
のんびり屋の私
後ろ向きだった陸上との出会い心から「楽しい」と思えることが、無限のエネルギーを生み出す
箱根駅伝を目指すも、挫折
酒におぼれた公務員時代
一枚の写真が運命を変えた
トレイルランニングの国内トップへ
引退レースで運命が変わる
世界一厳しく、世界一美しいトレイルランニングレース
かくも奥深き100マイルレースの世界
クライマックスは最終ランナーのゴール
第四章 富士山1周レースやろうぜ!/福田六花
焼鳥店での偶然の出会い
東京マラソンEXPOで運命の就任要請
富士山1周レース実行委員会、発足
2010年「UTMB」、鏑木 毅の涙
第五章 開催認可への道は100 マイルより長い! ?/鏑木 毅
役人を辞めてマイナースポーツのプロへ
ついに100マイルレース開催へと動き出す
富士山1周 夢想の旅
コース認可への道はレース本番よりもはるかに険しい
絶対に必要だった、深夜へと及ぶ話し合い
毒を食らわば皿まで、で実行委員長に
富士山をとりまく地域の祭りに
異例も異例、自衛隊演習場がコースに
第六章 トレイルランニングレースのつくり方/ 福田六花
担当はコースディレクター
富士山をぐるり1周つなげ!
時計回りか、反時計回りか。それが問題だ
800名分の参加定員枠が一瞬で埋まる
震災で苦渋の決断
1年遅れの初開催に向けて
TEAM RICKAで最後の仕上げ
第七章 いざ、UTMFスタート/ 鏑木 毅
おっし、やるぞ!
トップ選手を追え
選手の安全確保が第一
もし生まれ変わったなら、UTMFで優勝を目指したい
第八章 選手のボリュームゾーンを追いかけろ/ 福田六花
長い長い48時間の旅のはじまり
エイドステーションは選手のオアシス
まさかの大量コースアウト!?
富士山の夜は寒さとの戦い
第九章 ついに富士山1周がつながった!/鏑木 毅
着信音に緊張が走る
「天子山地」を行くしかない
ありがとうジュリアン選手
第十章 試練の二晩目/福田六花
UTMFオリジナルの屈伸メディカルチェック
二晩目の夜が明ける ……
第十一章 夢のフィナーレ/鏑木 毅
ゴールで選手を出迎えるわけ
主催者としての秘めたる自問自答
高畑さんとの出会い
つらかった2014年大会
絶対にやり遂げるんだ!
福田六花さんのこと
第十二章 UTMF の未来に向けて/ 福田六花
喜びつかの間、大反省会
礼子のクリーンアップ大作戦
TEAM RICKAの活動
女性スタッフの奮闘
11市町村からなるレースに
コースづくりの基本方針
未来に向けて
あとがき/鏑木 毅、福田六花