富士山の登山ルートには4つの登山道がある。山麓を含めて頂上を目指すコースもあるが、五合目から頂上を目指すというのが人気のあるルートとなっている。五合目の標高が一番高い富士宮ルート。新五合目の標高が一番低い御殿場ルート。静かな雰囲気を楽しめる須走ルート。小屋の数が多く、登山者の数も多い吉田ルートと、特徴の違いで富士山登山ルートを解説する。

    富士山登山ルート

    頂上を目指す4つの富士山登山ルート以外にも、富士山山麓のルート、富士山中腹のルート、富士山山頂のルートも解説する。

    台風や地震の影響により、山域によっては通行が困難な状態となっている場合があります。登山を計画中の方は、事前に各行政のHPや山荘・山小屋の運営するホームページやSNSをご確認頂き登山ルートの状況確認をお願いします。登山にあたっては、十分注意し、危険と判断された場合は引き返すなど、無理のない適切な対応をお願いします。山は逃げません。

    富士山富士宮ルート

    • 難易度:中級
    • コースタイム(登り):五合目-(1:25)→新七合目-(1:40)→八合目-(2:05)→浅間大社奥宮(合計所要時間5:10)
    • コースタイム(下り):浅間大社奥宮-(1:25)→八合目-(1:10)→新七合目-(0:55)→五合目(合計所要時間3:30)

    富士宮ルートは、頂上への1コースの内、五合目の標高が一番高い。また、登りついた火口壁の地点から剣ヶ峰まで最短距離だ。五合目の富士山総合指導センター前に登り口がある。このあたりからは剣ヶ峰方向が望める。火山礫の幅広の道を登ると樹木がなくなり、なだらかな道をたどり2軒の山小屋が並んでいる六合目に着く。ここまでは観光客が多い。

    小屋の先で、直進する宝永山への道を見送り、左手の斜面に取り付く。傾斜が増すため、これまでよりも速度を落とそう。黒い火山礫に付けられたジグザグの道をたどる。ザクザクした砂礫があり、足裏をしっかりと地面につけて歩こう。岩が多くなり、新七合目御来光山荘に着く。宝永山のなだらかな肩を眺めることができる。元祖七合目山口山荘で標高3000mを過ぎる。勾配がやや急になるので、足の運びをさらに遅くしよう。八合目池田館そばには富士山衛生センター(夏期臨時診察所)が建っている。体調の思わしくない人は相談することができる。

    ザラザラした砂礫の道をたどり、九合目萬年雪山荘を過ぎる。頂上方向が砦の壁のように見える。九合五勺の胸突山荘上部で大きな鳥居をくぐって直登する。急坂が続き、苦しい区間だ。石の段を踏んで浅間大社前に出る。

    富士山御殿場ルート

    • 難易度:中級
    • コースタイム(登り):新五合目-(1:30)→新五合五勺-(4:05)→七合目-(1:10)→赤石八号館-(1:35)→銀明水(合計所要時間8:20)
    • コースタイム(下り):銀明水-(0:50)→赤石八号館-(0:35)→七合目-(1:20)→新五合五勺-(0:45)→新五合目(合計所要時間3:30)

    御殿場ルートの新五合目の標高は頂上への4コース内で一番低い。登路よりも、長大な砂走りの下りコースに人気がある。

    新五合目の鳥居をくぐり、ザクザクした黒い火山礫の道をたどる。日陰をつくる樹林はない。踏んばった足が後方へずり落ちるようで、非効率な気分を味わう。その後しばらくはこれと同じ斜面が続く。焦らず、足裏を地面に密着させるような感じでじっくりと足を運ぼう。

    大石茶屋からは登りルートが左手に付けられているが、広いブルドーザー道をたどる人もいる。歩いても歩いても景色はほとんど変わらない。左手になだらかな稜線の双子山があり、稼いだ高度のメドになる。その後、下山ルートと登山道が交差する。やがて双子山が下方に見える位置になり、今度は宝永山が登った高さの目安になる。宝永山を下方に見るようになり、七合目で下山道が交差する。

    日の出館、わらじ館を過ぎて、踏み固められた砂傑の道になり、やや歩きやすくなる。周囲に赤い岩が目立ち始めて赤岩八合館に着く。その後、八合目(小屋跡)を過ぎ、ジグザグの道にあえぐ。火山岩が目立ち、登山道が細くなる。銀明水に着き、浅間大社、剣ヶ峰へは左手に進む。

    富士山須走ルート

    • 難易度:中級
    • コースタイム(登り):五合目-(3:45)→七合目-(1:45)→本八合目-(1:25)→久須志神社(合計所要時間6:55)
    • コースタイム(下り):久須志神社-(下山道1:30)→七合目-(砂走り1:30)→五合目(合計所要時間3:00)

    須走ルートは登山者の数が多くなく、静かな雰囲気を保っている。本八合目で吉田ルートに合流する。五合目で2軒並んだ山小屋の前を通過し、右に小富士への分岐を見送る。樹林の中の石のゴロゴロした道をたどり、左下方に砂払い五合目小屋吉野屋を見る。樹林を抜けると、山頂や山麓が見渡せる。

    左手には、砂走りコースを登山者が砂煙をたてて下っているのが見える。再び樹林の中をたどり、鳥居を過ぎて長田山荘を通過する。樹林が切れて、本六合の瀬戸館を過ぎる。小さな木立がわずかながら日陰を提供してくれる。折り返しながら登り、瀧木はなくなる。火山礫の登山道にはロープが張られていて、道を外す心配はない。やがて大陽館を過ぎる。火山砂のザクザクした場所があり、足の回転を遅くして、足裏全体を地面に押さえつけるように歩こう。本七合目の見晴館を過ぎるころ、右手の尾根には吉田ルートを登る人たちが見える。

    本八合目に着き、吉田ルートと合流する。八合五勺の御来光館から山頂までの間には山小屋はない。九合目跡には平坦地があり、休憩している人がいる。頂上の石組みが見えているがなかなか近づかない。石段をたどり、狛犬、鳥居を見て久須志神社に着く。

    富士山吉田ルート

    • 難易度:中級
    • コースタイム(登り):五合目-(0:45)→六合目-(1:35)→救護所-(0:50)→八合目-(1:20)→本八合目-(1:25)→久須志神社(合計所要時間5:50)
    • コースタイム(下り):久須志神社-(2:30)→六合目-(0:40)→五合目(合計所要時間3:10)

    吉田ルートは頂上への4コースの内で小屋の数が多く、登山者の数も多い。富士スバルライン終点のロータリー周辺は観光客でにぎわっている。五合目バス停を右に見て、馬の乗り場を過ぎると登山口のゲートがある。平坦路をたどり、ゆるく下った場所が泉ヶ滝で、右の登り坂に入る。シェルターを抜けると六合目で、安全指導センター、トイレが建っている。気象情報告知板もあるので参考にしよう。

    ここからは山頂方面を見上げることができる。斜面には山小屋が連なり、要塞のように見える。左に下山専用道を見送り、幅広の登山道は落石防止の壁に沿っていて、やや人工的な景観に接する。小屋が近づくにつれて岩の上を歩く。急斜面もあり、足場を確かめながら急がずに登ろう。次々に山小屋が現れる。本八合目で須走ルートを合わせる。ご来光を山頂で見ようとする人々で混み合う場所だ。

    狛犬と鳥居を過ぎて、久須志神社前に着く。神社左手には山小屋が並びにぎやかだ。そのまま進むとブルドーザー道の下り口がある。下山路は本八合目までは登路と重なるが、ブルドーザー道を下る人も多い。本八合目で須走ルートとの分岐があり、要注意。下山道には、緊急避難所とトイレはあるが、山小屋はない。

    富士山お鉢めぐり

    • 難易度:中級
    • コースタイム:浅間大社奥宮-(0:20)→剣ヶ峰-(0:45)→久須志神社-(0:30)→浅間大社奥宮(合計所要時間1:35)

    お鉢めぐりは山頂の火口壁沿いをめぐるコースだ。登頂の達成感に加えてさらに満足感が得られる。

    浅間大社奥宮を起点に時計回りに歩く場合、郵便局(夏期のみ営業)と富士館との間を抜けて広場に出る。この広場で残雪期や降雨後にできる水たまりは古くからコノシロ池と呼ばれる。火口に近寄れば火口側へ突きだしたような虎岩が見える。剣ヶ峰手前には急坂があり、ズルズルと滑りやすい。剣ヶ峰下から石段を登り、「日本最高峰」石標に着く。旧観測棟に沿って進むと展望台がある。剣ヶ峰下へ戻り、西安河原まで下る。その先でわずかに登り、大沢崩れの上端に出る。ここからは一度下り、登り返して金明水からの道と合流する。その先で左が外周コース、右が久須志岳経由コースの分岐に出る。

    久須志岳には立体型の方位盤がある。どちらも久須志神社手前で合流する。神社と山小屋が並ぶ通称「富士山銀座」を通過し、吉田ルート、須走ルートへの「下山道」標識を見て、左が外周コース、右が大日岳だ。大日岳を往復して外周コースをたどる。伊豆岳、成就岳あたりからは丹沢山塊や箱根連山が眺められる。銀明水は御殿場口への下山口になっている。ひと登りして左に駒ヶ岳を見て、浅間大社奥宮へ戻る。

    富士山御中道・大沢崩れ

    • 難易度:中級
    • コースタイム:奥庭バス停-(0:30)→御庭山荘-(0:40)→滑沢-(0:40)→大沢崩れ-(1:25)→御庭山荘-(1:00)→五合目(合計所要時間4:15)

    御中道はかつて五合目付近の中腹をぐるりと一周するルートだった。荒廃が進み、現在では富士スバルライン五合目から大沢崩れまでが通行区間になっている。

    御庭バス停の山頂側にあるゲート横をすり抜けて火山礫の道をたどる。火山岩の石段を踏んで樹林帯の中を登る。御庭山荘(現在は廃墟)の建物手前で右手に進む。広い道を歩き、左手の大沢崩れへの登山道に入る。樹林帯の道はモミの落葉が敷きつめられて、足裏にやわらかく感じる。やや薄暗い樹林帯もあるが、7月下旬から8月上旬にかけてはシャクナゲの花が目をひく。

    滑沢はやや広い涸れ沢で、南アルプス方面が展望できる。再び樹林帯になり、仏石流しを通過する。その後も樹林帯になる。下り道になり、旧大沢休泊所に着く。現在は工事施設になり、悪天候などの非常時には軒下が利用できる。建物の先から下り道をたどり、大沢崩れの縁に達する。頂上方向から下方にかけて大きな崩落地形が広がり、息を飲む。

    往路を御庭山荘まで戻り、五合目へ向かう。ほとんど平坦な道をたどる。ダケカンバなどの樹林帯がときどき途切れて沢地形になり、山頂や山麓方向が見渡せる。季節には、砂礫でオンタデ、イタドリ、樹林帯でホタルブクロなどを見る。部分的に石畳が残り、往時をしのぶ。

    富士山吉田ルート山麓コース

    • 難易度:中級
    • コースタイム(登り):富士浅間神社裏-(1:20)→中の茶屋-(1:20)→馬返し-(1:30)→三合目-(2:10)→六合目-(0:40)→五合目(合計所要時間7:00)
    • コースタイム(下り):五合目-(0:45)→六合目-(1:10)→三合目-(1:00)→馬返し-(1:05)→中の茶屋-(1:05)→富士浅間神社裏(合計所要時間5:05)

    富士吉田市街から六合目までのコースをたどる人は少なく、コース途中では朽ちた神社や山小屋の廃墟を見る。古来の登山道を見直す動きがあり、近年、富士浅間神社南方から馬返しまでが遊歩道として整備された。富士吉田市街の浅間神社境内を抜けて、神社裏から舗装路をたどる。富士山慰霊碑で右折して遊歩道に入る。途中、東富士五湖道路をくぐり、そのまま直進する。

    中の茶屋には売店があり、車道が乗り入れている。馬返しには広い駐車場がある。かつては茶屋や山小屋があった場所だ。ここまで富士山駅発のバス(季節運行)が利用できる。以後、登山道らしい雰囲気になる。

    一合目で鈴原神社、二合目で御室浅間神社、三合目では荒廃した神社や山小屋を見る。四合目に着き、御座石浅間神社では富士講の人たちによって岩に刻まれた文字を見る。樹林が切れて、八ヶ岳方面が展望できる。林道を横断して、その上部で吉田口五合目の佐藤小屋に出る。ここからは富士スバルライン五合目へ林道が通じている。すぐ上部で里見平、星観荘を過ぎ、樹林帯を抜けて右に六角堂を見る。砂礫の斜面を踏んで六合目に出る。正面には富士山の山頂が望める。安全指導センター前を通り、富士スバルライン五合目へ向かう。

    富士山精進ルート

    • 難易度:中級
    • コースタイム(登り):精進湖民宿村-(2:05)→風穴-(2:15)→二合目-(1:05)→三合目-(1:50)→五合目(合計所要時間7:15)
    • コースタイム(下り):五合目-(1:15)→三合目-(0:45)→二合目-(1:50)→風穴-(1:55)→精進湖民宿村(合計所要時間5:45)

    精進ルートは長く、山麓では静かな原生林の中を歩く。多くは下りの利用で、下った場合のルート案内とする。富士スバルライン五合目のロータリーで下方の駐車場へ下る途中の左手に精進口コースの下り口がある。林道のような幅広の道をたどると、一部には荒廃した舗装路が残っている。四合目には荒廃した山小屋跡、三合五勺には天然カラマツ林標識がある。三合目手前でやや崩落気味の場所があり、迂回路をたどる。三合目の広場には「富士山原始林」の石標が立ち、左手には奥庭へ通じる登山道がある。車の走行音を聞きながら下り、三合目バス停を左に見た後、自動車道をくぐる。部分的に道幅はやや狭くなる。時々モミの倒木を見たり、ササの伸びている場所がある。

    二合目で「ブナ林木」標識を見る。その下方で建物数棟があり、その先で舗装路を横断する。さらに下方で舗装路を横断して、風穴に出る。左手に風穴があり、立ち寄れる。舗装された県道を横断して、再び登山道をたどり、ブナやアカマツなどを見る。東海自然歩道と合流して、精進湖民宿村に出る。なお、奥庭バス停から奥庭を経て三合目まで下ることもでき、こちらは道標があり、ほとんど不安なく歩ける。

    富士山登山に役立つ地図・書籍