遊歩大全
1974年に出版され、バックパッカー、ハイカーのバイブルとして全米で圧倒的な支持を得たコリン・フレッチャー著“The New Complete Walker”の日本語版を完全覆刻。ウィルダネスを歩く技術と用具を集大成し、自然の中で生きる思想に踏み込んだ内容は、時代を超えて「自然を歩き、山野に夜を過ごす」歓びを語りかける。

1978年に刊行された『遊歩大全』は、アメリカのバックパッキングを日本に紹介し、アウトドア・ブームの中で「バックパッカーのバイブル」と言われた名著。
特にアウトドア・ファンの間では幻の名著です。
『遊歩大全』の原著はコリン・フレチャー著”The New Complete Walker”。
コリン・フレチャーは、カリフォルニア・ウォーク(1958)、グランド・キャニオン・ウォーク(1963)などのウィルダネスの長距離徒歩旅行を通して、人と自然の共生を訴えたバックパッキングの精神的ゴッドファーザーと言われる存在。
エコロジーや人類存在の在り方へと思索を巡らす姿勢は、70年代、ベトナム戦争で疲弊したアメリカの若者たちの心を捉え、単に歩くという行為だけではない新しいライフスタイルを生み出した。
1968年、コリン・フレッチャーは、自らの経験をもとにウィルダネスを歩くための百科事典とも言える大著”The Complete Walker”を発刊、膨大な用具や技術解説で世を驚かせた。
“The New Complete Walker”はこの”The Complete Walker”の第2版で1974年刊、これを翻訳、『遊歩大全』(1978年/森林書房発行・山と溪谷社発売)として日本に紹介したのが、アウトドア文化の伝道者として知られる芦沢一洋。
発刊当時は、入門書また用具カタログとして大ブームとなったが、『遊歩大全』を手にした若者たちの心を捉えたのは、ウィルダネスを歩き、山野で夜を過ごし、大自然を素肌に感じながら生きる精神だった。
本書は当時のアウトドアの概念や,バックパッキングの思潮を知るための文献として貴重なばかりでなく、コリン・フレチャーの思索的な自然観は現代に通じるところも多い。また訳者・芦沢一洋がアウトドアに関する深い造詣をもって、著者コリン・フレッチャーの思想を日本に紹介した名訳も他にかえがたい価値をもつ。
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黒部の山賊
終戦直後、北アルプス最奥の地、黒部周辺を根城にして跋扈する「山賊たち」がいたという。そんな混乱期、著者の伊藤正一は三俣蓮華小屋の権利を譲り受け、山小屋経営に乗り出そうとしていた矢先、「山賊たち」と出会う。彼らとのスリリングな出会いにはじまり、彼らの協力を得て山小屋を再建。そうした「山賊たち」との奇妙な生活や山のバケモノたちの話など、まだ未開の黒部にまつわる逸話が満載された不思議な魅力が綴られる。

北アルプスの最奥部・黒部原流域のフロンティアとして、長く山小屋(三俣山荘、雲ノ平山荘、水晶小屋、湯俣山荘)の経営に携わってきた伊藤正一と、遠山富士弥、遠山林平、鬼窪善一郎、倉繁勝太郎ら「山賊」と称された仲間たちによる、北アルプス登山黎明期、驚天動地の昔話。
戦後の混乱期に山小屋を経営し、事業を軌道に乗せようとするなかでの、
「山賊」たちとの交流、不思議な経験が綴られる。
山賊たちとの出会い、山賊との奇妙な生活、埋蔵金に憑かれた男たち、山のバケモノたち、山の遭難事件と登山者、山小屋生活あれこれ……。補遺に「遭難者のお礼参り」。
戦後の混乱期とまだ未開の黒部に関する逸話満載の不思議な魅力あふれるロングセラー。「人物グラフィティ」、「黒部源流グラフィティ」を再構成し文庫化。
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凍

最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった―。絶望的状況下、究極の選択。鮮かに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。講談社ノンフィクション賞受賞。
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青春を山に賭けて

「五大陸の最高峰を踏んだ登山家」としてその名を世界に知らしめた植村直己。戦後日本が生んだ最大の探検家の若き日々の記録。家の手伝いからは逃げ、学校ではイタズラばかりしていた少年は、大学へ進んで、美しい山々と出会った。
大学時代、ドングリとあだ名されていた著者は、百ドルだけを手に日本を脱出し、さまざまな苦難のすえ、夢の五大陸最高峰登頂を達成する。
アマゾンの60日間イカダ下りもふくむ、そのケタはずれな世界放浪記の全貌。
日本人初のエベレスト登頂を成功させた植村だが、「私は五大陸の最高峰に登ったけれど、高い山に登ったからすごいとか、厳しい岩壁を登攀したからえらい、という考え方にはなれない。山登りを優劣でみてはいけないと思う。要は、どんな小さなハイキング的な山であっても、登る人自身が登り終えた後も深く心に残る登山がほんとうだと思う」という言葉を本書に記している。
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