花と雪の似合う山

    今では「はくば」と呼ばれることも多いが、もともとは「しろうま」。山腹に現れる雪形を、田植えの代かき馬に見立てたところから付けられた名だという。また、その南に位置する杓子岳と鎚ヶ岳を併せた「白馬三山」の呼称もある。登路となる大雪は、ことに有名。高山植物の豊富なことでも知られる。

    白馬岳の概要

    白馬岳の概要
    • 山域:北アルプス
    • 標高:2932m
    • 最寄りの山小屋:白馬山荘、白馬岳頂上宿舎

    白馬の魅力と自然

    白馬の魅力と自然

    JR大糸線の夜行列車で四囲を山々に囲まれた白馬平に入り、モルゲンロートに輝く西側の山並みを見る時、誰もが歓声を上げる。そして、その中でもひときわ心をとらえるのが、白馬岳を主峰とする白馬三山であろう。その優美な山容と、夏に咲き誇る可憐な高山植物の花々、そして白馬というロマンチックな山名にひかれ、この山を訪れる登山者は多い。

    白馬岳の四季

    白馬岳の四季

    四季それぞれに装いを変える白馬連山は、朝な夕なに眺めていても、飽きることがない。大雪渓の雪解けの清別な流れや、姫川のゆったりした流れとともに、山を彩る豊かな大自然、そして素朴な人々とのふれあい。語りつくせぬ魅力が、白馬にはある。深い雪に閉ざされる冬。すべての草木はやがて来る春の訪れを忍耐強く待ち、そして雪解けとともに一斉に花を咲かせ芽吹きに色どられる。白馬では、コブシやオオヤマザクラ、ウメ、モモの木の花や、フクジュソウ、キクザキイチゲ、カタクリが競うように、ほとんど同時に花開く。その花の蜜を求めて、春の女神といわれるヒメギフチョウ、ギフチョウが短い一生を惜しむように飛び交う姿が、そこかしこに見られる。やがて雪解けが山の峰にあがり、雪国独特の山菜が人々を山にひきつける。残雪期は、普段は入り込めない深い谷間にも比較的容易に行けるときで、日当たりの雪の消えた斜面に広がるお花畑は、この世のパラダイスだ。その楽しみは、長く暗い冬を深い雪の下で暮らしてきた人々が味わうことのできる特権かもしれない。

    高山植物が可憐

    夏には、連山のいたるところで高山植物が可憐な花をほころばせ、登山者の目を楽しませる。

    秋、田の稲穂が黄金色に輝き、山の紅葉がひときわ鮮やかに陽光に照り映える。その頃、3000mの稜線は、はやくも初雪で銀世界となる。ナナカマドの真っ赤な実が秋空にくっきりと見える頃、里は冬仕度に忙しくなる。

    白馬岳の気象

    白馬岳の気象

    北アルプスの北部に位置するこの山塊は、雪も深く、夏期に入っても残雪の豊富なのが特徴である。5月の連休の頃には、冬型の気圧配置もなくなり、春山の季節になる。しかし、5月に、遅い雪のため大雪渓で大雪崩の出たことも近年あるので、安心はできない。5~6月は比較的天候は安定することが多いが、梅雨末期の7月中旬は雨の日が多く、雪解け水で沢は増水する。梅雨明けの7月下旬からは晴天に恵まれるが、午後の夕立の季節でもある。夏とはいえ、稜線では朝晩は冷え込み、防寒着が必要だ。8月中旬を過ぎれば、山は秋の気配も深まる。9月は秋雨前線の冷たい雨が降るようになるが、秋の高気圧に覆われた時は、爽やかな秋晴れに紅葉の美しい季節だ。10月になれば、稜線は初雪に薄化粧され、体育の日前後でだいたい小屋も閉じる。一般の登山者も、この頃までで、山は急速に厳しい冬山に変わる。

    白馬の動植物山での人気者

    白馬の動植物山での人気者は、何といってもライチョウで、随所で見ることができる。イワヒバリも人なつっこく、オコジョも楽しい。白馬近辺では、サルはほとんど見ることはなく、黒部渓谷に多い。山麓ではクマの痕跡はよく見かけるし、ニホンカモシカも多い。白馬連峰の高山植物は、その数345種余りといわれ、6月頃から稜線に初雪のくる10月初旬まで、場所によっては楽しめる。

    白馬周辺の山々

    白馬岳(2932m)

    白馬岳

    北アルプス北部の山塊で代表的な女山である。ハクバと読まれることも多いが、本来はシロウマダケと読む。その名の由来は、春になると中腹に馬の形をした岩が現れ、それを春の農業を始める時期の目やすとし、また、田おこしの代かき馬の形に似るところからきている。しかし、現在では村名もハクバ、JRの駅名もハクバとなっており、シロウマに行く、というよりハクバに行く、と言う登山者が増えてきたのも時代の流れかもしれない。その山稜は、西側になだらかな斜面が広がり東側は断崖という、非対称山稜となっている。高山植物の豊富なことでも有名で、シロウマの名が付いた植物も多数ある。

    杓子岳(2812m)

    杓子岳

    白馬三山の中央に位置する杓子岳の山頂は、南北に長い。山麓から見ると、平らな頂稜をもつようにみえるが、大雪渓を登り、お花畑から振り返って見上げる杓子岳は、槍のように穂先をのばしているようにみえる。砕石帯の岩稜で、一般の縦走では、山腹を巻いていき、山頂に立つ人は少ない。

    白馬鑓ヶ岳(2903m)

    白馬鑓ヶ岳

    東西にのびた広い頂稜をもち、杓子岳同様に、山麓から見た印象と登り立った感じがなる山である。杓子岳から縦走してくる途中の小道の辺は、高山植物の美しいところだ。急登の斜面だが、楽しいお花畑である。また鑓温泉に下る途中の、大出原のクルマユリ、ハクサンフウロ等の大群落は圧巻。山頂からの眺望は、白馬山頂に劣らぬ360度のものである。

    唐松岳(2696m)

    唐松岳

    白馬連峰から不帰嶮を挟んで、南に続く山だが、なだらかな八万尾根の上部に位置することもあって、北アルプスのなかでも最も手軽に登れる山のひとつといえる。山頂付近はコマクサなど高山植物も豊富で、途中には雪渓などもある。ゴンドラやリフトを利用して第一ケルン(標高およそ1840m)まで入れるので、少し山を歩いたことのある人なら日帰りも無理ではないだろう。途中、八方池からの白馬三山の眺めは、ポスターなどでもおなじみの景色である。ただ、簡単に登れるとはいっても2700mの標高である。安易な気持ちで登山するのは慎みたい。

    雪倉岳(2611m)

    雪倉岳

    朝日岳(2418m)三国境で白馬大池に行くコースと分かれて雪倉・朝日への道に入ると、人影もまばらになり、高山植物の種類もがらりと変わってくる。ウスムラサキ色をしたマツムシソウの大きな花が、朝日岳の頂上まで道の両側を飾る。山容も、丸みを帯びたゆったりとした形となる。雪倉岳の頂は、ガラ場状の広い斜面。朝日岳は、ハイマツが点在する丘のような山頂に、展望指示盤が備えてある。雄大な眺望と静かな山行が楽しめ、近年、人気が高まってきた。

    雨飾山(1963m)

    雨飾山

    雨飾とは、何となく古代を連想させる美しい名前である。独立峰のような位置にあるので、山頂からの眺望が良い。日本海の大海原を望み、振り返れば、北アルプスの稜線は、朝日・雪倉から遠く槍の穂先まで一望できる。山麓で登山基地となっている小谷温泉から、ブナの原生林を抜け、細い尾根を通って山頂に立てば、意外と高山植物が豊かなのに驚く。

    白馬岳へのルート

    白馬連峰や雨飾山に入山するには、JR大糸線を利用するか、マイカーならば国道148号を利用して各登山口へ向かうことになる。首都圏からなら、列車利用では、新宿から特急が直接乗り入れて、4時間ほどで白馬駅に着く。マイカーも、長野自動車道の開通で便利になった。近畿圏からなら北陸自動車道が便利だが、糸魚川からの国道は混むことがあるので注意。

    白馬岳へのルート

    大雪渓から白馬岳

    白馬岳への最もポピュラーなコースで、入山者も圧倒的に多い。一般的には、猿倉までバスで入ることになる。乗車時間は30分ほどで、シーズンには登山者の数に応じて臨時便を運行するなどの対応をしている。猿倉には駐車場があるが、あまり大きくなく、シーズン中は常に満車状態である。そのため、狭い山道に路肩駐車する車もあるが、これはバスの運行を妨げ迷惑であるばかりでなく、非常に危険でもある。マイカー利用の際は、駅近辺の駐車場を利用し、そこからバスまたはタクシーでアプローチするのがよい。4人以上なら、タクシーのほうが安上がりで、時間も節約できる。

    栂池から白馬岳

    白馬駅から落倉経由と白馬大池駅経由で樹池高原まで、通年運行のバスがある。今まではここからバスやタクシーで栂池自然園まで入っていたが、自動車の乗り入れは全く禁止され、ゴンドラとロープウェイを乗り継いで行く。夏でも始発7時、下りが終発17時と、頂上へ一日で行くには健脚向きのコースとなった。ロープウェイ等の運行時刻は、シーズンにより変わるので確認の上、登山計画を立てること。蓮華温泉から白馬岳平岩駅からのバスが、蓮華温泉ロッヂの手前まで入る。道路が改良され、所要時間は1時間5分ほどと、以前よりかなり短縮された。しかし、バスの運行本数は少なく、期間も7月上旬から10月中旬に限られる。糸魚川駅からの便もあるので、北陸本線で入る際に利用すると便利。マイカーでの入山が増えたが、夏山シーズン中は駐車場が満車のことが多いので注意。

    小川温泉より朝日岳

    このルートは、たいてい下山に利用される。小川温泉~北又小屋はマイカーの通行はできないが、タクシーは乗り入れ可能。下山時、朝日小屋を出発の際に、電話でタクシーの予約をしておくとよい。また、北又小屋からも連絡できる。越道峠を越えて、炎天下での3時間の長い林道歩きをする道程を考えると、利用価値はあるだろう。

    北小谷から風吹大池

    このルートも、たいてい下山に利用される。風吹大池から来馬経由で北小谷に下る道は、旧道に代り、新道が完成している。来馬口に代る登山道として北野経由で、1333m地点まで舗装された道があるが、林野庁の管理道路なので公式には車の乗入れは出来ない。

    小谷温泉から雨飾山

    温泉へは、南小谷駅からバスの運行があるが、冬期は手前の大凪下まで。雨飾山登山口には立派な駐車場ができ、マイカーでのピストン登山には便利になった。また、駐車場の隣に雨飾高原キャンプ場が平成8年にオープンした。南小谷から、タクシーも利用できる。大渚山へは、湯峠の登山口に、数台ではあるが駐車スペースがある。

    黒部峡谷鉄道

    黒部峡谷に下った際には、黒部峡谷鉄道を利用することになる。ご存じトロッコ列車は人気のある観光列車なので、シーズンには混み合い、希望の時間に乗れないこともある。スケジュールは、十分このことを考慮して組む必要があるだろう。運行は、もちろん無雪期のみである。

    白馬岳・白馬岳周辺の山の登山ルート

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