信州・白馬村は近年、国際的なマウンテンリゾートとして冬はスキー、春~夏はハイキング、秋は紅葉と登山に慣れていない人でも楽しめる場所が数多く存在する。

    白馬三山の真正面に鎮座する岩岳山

    岩岳山(1290m)はどちらかといえば歩く山というより、スキー場としての名の方が有名である。白馬三山の真正面にあり、三山の展望としては最高のビューポイントである。スキーシーズンの山として有名であるために、反面、静かでのんびりとした山歩きを楽しむ事ができるだろう。

    出典:白馬岩岳観光協会

    岩岳山は白馬連峰の前山であるが、穏やかな稜線を持つ大きな丘陵といった山容である。そのためスキー場としてはもってこいの地形で、山全体が開発されてしまっている。ゴンドラやリフトが完備されており、かつては夏も運行していたが、現在ではスキーシーズンのみとなっている。次で紹介する信濃路自然歩道と合わせて、のんびりとした家族連れのハイキングにもってこいだ。また、冬にはスキーができない人でも、山歩きになれた人ならば、手軽にスノーシューを楽しむ事ができる。冬のこの山域では晴れた日には山の斜面で何匹ものニホンカモシカに会うこともあるだろう。近くのペンションにはレンタルのスノーシューを置いているところがあり、宿の人が案内してくれる事もある。グリーンシーズンの岩岳山への登山道は西山ゲレンデの手前で案内標識に従ってゲレンデ沿いを登る。途中どんぐり村上部のウェストンテラスから入る道と合流して、山頂までよく整備された静かなハイキングを楽しめる。帰りは朴ノ木平を経由して周遊するのもよいだろう。

    信濃路自然歩道

    岩岳山から、ただ下るだけでは物足りないという人に、信濃路自然歩道のハイキングをおすすめする。自然歩道は、ゴンドラ山頂駅の前にあるレストハウス、岩岳スカイアークの左手の、広い道路のようなゲレンデをゆるやかに下って行く。もともと歩道が付けられていた尾根を削って開かれたゲレンデである。しばらく行くと自然歩道を示す標識があり、ここからナラやブナの深い林に入って行く。

    ほおのき平 天空のひまわり園
    出典:高山市観光サイト

    自然歩道に入って、はじめは少し下りになるが、すぐに杯ノ木平への登りになる。急な坂道には、階段などが作られている。やがて、朴ノ木平のピークに着く。朴ノ木平は、溜木が刈り払われ、ベンチなどが設置された明るい場所で、5~6月頃ならカタクリやタムシバ、ツツジが咲き乱れ、思わぬところで思わぬ穴場を発見したような気分にさせてくれる。朴ノ木平から、道は東にきつい急坂を行く。ナラやブナの森林浴を楽しみながらのんびり下ろう。途中、道沿いにあるナラの巨木には驚かされる。やがて、清別な清水の流れる沢に出る。丸木の橋を渡ると、広く歩きやすい道になる。やがて、楠川の橋を過ぎ、発電所に着く。ここから道は、車も通れる林道となり、楠川沿いに歩いて行くと、舗装された県道に出る。瀬戸の橋の旧橋の下には、伝説のある「おかるの洞穴」があるので、覗いてみるのもよいだろう。

    塩の道

    塩の道は、糸魚川から松本を結ぶ全長30里(約120km)におよぶ「千国街道」の別名である。信州側では「糸魚川街道」、越後側では「松本街道」とも呼ばれていた。街道沿いには往時を偲ばせる道標、石仏、宿場も残存するなど、数々の史跡が点在し、北アルプスの眺望にも富んでいる。険しい山や谷を越えるこの街道は、山国信州の人々にとっての生命の道でもあった。

    現在の塩の道は、ほとんどが舗装道路となり、車が行き交う。それでも、白馬村や小谷村には、昔のままの姿で古道が残されるところもある。例えば、佐野坂三十三観音。青木湖の西側に、雑木林に囲まれた昔ながらの砂利道が残り、その山側に、石仏が間隔をおいてたたずむ。そこから道は、北に続く。早春ならフクジュソウやカタクリの美しい姫川源流自然園、シダレザクラの見事な貞麟寺、杉木立の長谷寺。国道の西側を並行して続く道はいったん国道と合流して松川を渡り、また国道と分かれて新田地区に入る。首切坂を上った所が観音原。西国、坂東、秩父の百体観音が、芝の広い原を囲んで立ち並んでいるが、これはぜひ見ておきたい。楠川に架かる瀬戸の橋の旧橋を渡り、車道とわかれる。わずか数100mだが、昔のままの旧道だ。自然石に「右えちご、左やま」と刻まれる道標が立ち、「うとう」が続く。この先、再び車道と合流するところに風切地蔵がある。暴風や魔物の災いを断ち切るという地蔵さまだ。

    北アルプスの小蓮華山と、東山の柄山峠にも風切地蔵があり、これらを地図上で結ぶと一直線に並ぶので驚く。落倉自然園を過ぎると、小谷村に入る。坂を下れば松沢薬師堂。やがて、棚池高原の百体観音の広場に出る。ここから千国までは、山際に続く昔ながらの楽しい山道を行き、しばらく歩けば牛方宿。小谷村内には、昔ながらの面影を偲ばせる佇まいが随所に残っている。また、参考になる史料館もあるので、見学するのもいいだろう。

    地蔵峠から大峠越え

    塩の道の山越えの部分が、歩道として整備されているので、紹介しておこう。北小谷駅から、国道を北に少し歩く。小谷橋の手前を右に折れ、道標に従い深原地区を抜け、峠道の分岐まで林道を登る。峠への道も広く歩きやすい。秋には、落ち葉の絨毯の上を行く。ナラやブナの樹林に囲まれて、ユキツバキが群生している。5月中旬が見頃だ。貝の平、観音菱を過ぎ、地蔵峠までは1時間ぐらいで着く。地蔵峠は尾根状の場所で、杉並木があり、小さな社の中に地蔵が祀られている。峠の下に「乳房の木」と呼ばれるセンノキの巨木がある。道を少し下って沢を渡ると、大峠への登りとなる。大峠は、北に日本海、東に雨飾山の眺望が素晴らしい。横川林道への下りは、時期によってはヤブがひどいが、道ははっきりしている。

    柄山峠・柳沢峠

    柄山峠・柳沢峠は、共に白馬から戸隠方面への重要な街道が通っていたところだ。柳沢峠は、途中、山崩れのため通行止めとなっている。いっぽう柄山峠は、最近、登山道が整備されて歩きやすくなり、登山者が増えている。鬼無里から峠までの道は、なだらかな山道だ。

    山のいで湯

    山から下界に降りて、疲れて汗にまみれた体を、温泉のお湯に浸らせてサッパリできた時の爽快さは、一度味わえば忘れられなくなる。楽しい山旅は温泉で締めくくりたい、そう考える人は多いに違いない。白馬連山を巡る山旅でも、温泉を取り入れたコース取りは、豊富に組める。また、登山せずに、それらの温泉を巡るだけでも、山の気分が十分味わえるだろう。

    白馬鑓温泉

    出典:白馬鑓温泉小屋

    鑓温泉は登山コースの途中、標高2100mの地点にある。登山口の猿倉から上り5時間、下りですら3時間あまりかかるところなので、ちょっと湯に浸りに気軽な気分で、というわけにはいかない。宿泊施設の小屋も、夏から秋口にのみ開設されて、秋には取り壊されるプレハブの建物である。しかし、そういう場所だけに、素朴な山の湯の味わいがあり、ここを目的に登山するひとも多い。小屋の裏の岩壁の裂け目から湧きたす湯量豊かな熱泉を引いた露天風呂が、小屋の前に作られ、湯に浸りながら御来光を見ることができる。岳人なら誰しも一度は訪れてみたいところである。

    八方温泉

    白馬駅から猿倉に向かう途中の二股というところで、近年、掘りあてられた温泉。「小日向の湯」という名前の露天風呂が作られ、入浴できる。また、八方の街の中に、公衆浴場が3軒、造られている。

    蓮華温泉

    朝日岳や白馬大池への登山基地でもある山のいで湯として、人気が高い温泉。古い歴史があり、以前はここに入るのに長い距離を歩いたが、今ではバスが通い、楽にアプローチできる。また、湯治客用の宿舎も、しゃれた温泉ロッジになった。雪倉岳、朝日岳が望まれ山深いわりに明るいところだ。内湯も、板張りの、いかにも山の湯らしい趣である。蓮華七湯と呼ばれる露天風呂が、山中に点在している。源泉地帯の高台にある仙気の湯などは見晴らしも良い。赤茶けた山腹のいたるところから湯気が立ち上がっている。熱くて入れない源泉もある。5月連休頃は、スキーツアーの登山者で賑わう。その頃は、まわりの雪で、湯加減をして入浴ができる。

    姫川沿いの温泉

    出典:サンテインおたり

    南小谷駅から車で5分ほどのところに下里瀬温泉「サンテインおたり」がある。村営で、立派な温泉プールもある施設だ。また、ここから東に山道を車で20分ほど登ると奉納温泉がある。いずれもよく似た泉質で塩分を含み、火傷など外傷に効能があるといわれる。国道148号を北上すると、来馬温泉の「風吹荘」、島温泉の「島の湯旅館」がある。いずれも一軒宿だ。風吹荘は、風吹大池からの下山路上にある。蓮華温泉への入口となる平岩駅の近くには姫川温泉があり、3軒ほどのホテルがある温泉街となっている。

    小谷温泉

    出典:山田旅館
    出典:山田旅館

    400年の歴史をもつ由緒ある温泉で、2軒の旅館があり、なかには木造3階建の古い湯治宿の趣をそのまま残す宿もある。30分ほど歩いたところに村営「雨飾荘」がある。近くには、風情豊かな露天風呂が開放されていて、雨飾登山の汗を流すことができる。

    雨飾温泉

    出典:雨飾山荘

    雨飾温泉「雨飾山荘」は、雨飾山の越後側の登山基地。近年、車道が山荘近くまで伸びて、便利になった。建物は古く立派な造りで、梁に使われている材木の太さには驚く。露天風呂もあるひなびた山の湯だ。

    黒部峡谷の温泉

    祖母谷と祖父谷の合流点に、祖母谷温泉がある。宿舎の近くにも大きな露天風呂があるが、源泉地の河原のいたるところに湯が湧いているので、自分で川の水を入れ湯加減をして入れる。樫平近くの名剣温泉、欅平温泉、黒部峡谷鉄道沿線の鐘釣温泉、黒薙温泉などはシーズンには観光客で賑わう。これらはすべて、季営業だ。峡谷鉄道の起点にある宇奈月温泉は北陸有数の温泉街だが、黒薙温泉からの引湯である。

    白馬岳の概要

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