登山編、食事編、そして今回は最後の下山編である。登山編の中でこんな一文を書いた「このお馬鹿な2人を奥多摩の山が賞賛してくれているかのような出来事がこれからの僕たちに待ち受けているのだが、その話はまた後ほど」そう、それはまさに2日目の朝、テントから出た僕たちを待ちうけていた景色なのだ。
この景色が雪山登山の醍醐味
夜中も引き続き雪が降ったのだろう。それは前日と、うって変わった銀世界にあたりは包まれていた。風ひとつなく静まりかえったテント場には僕ら以外に誰もいない。幻想的な目の前にある冬景色を、たった1日で作り上げた山の天気に驚きを感じながら、心の底から「ありがとう」という言葉が込み上げてくる。
これはきっと昨日から続く想像できる景色であれば、朝という環境に彩られるだけの感動で終わったんだろうけど、昨日とあまりにも異なる、想像の範囲を超えた景色が目の前に現れたんだからビックリなわけだ。
登山マスターの教えを守って
昨日、食事をとりながらさかいやスポーツの高橋さんが「酔っ払う前に、明日の朝ごはんの準備をしておいたら絶対ラクだから」と言って、余った肉や野菜、ホワイトシチューの素と一緒にお米を炊くという、なんとも男らしい料理を作りおきしておいてくれたので、朝は暖めるだけ!余ったバケットと一緒に口の中に放り込むという、ザ・炭水化物な朝ごはんで体を暖めた。
これまたビックリな旨さで、食べている途中「山の中で食べるご飯はなんだって美味しいんじゃないのか?」という疑問が頭をかすめるもスルーする。
登山マスターからテントの畳み方を学ぶ
少しづつ朝日も昇り、それと同時に痛い寒さも和らいでくる。バスの時間を頭に入れて、逆算して「そろそろかな」と身支度を開始する。テントをたたみながら高橋さんが教えてくれた。
「冬山のテント場あるあるなんだけど、日が昇るとテントが暖かくなってテントに付いている結露が解けだしちゃう。そうするとテントの中がびしょ濡れになっちゃうでしょ。テントの外側に付いた結露も同じで張り付いた雪や氷が溶け出すとベチャベチャしちゃうから、日が昇る前に取り除いておくと後々楽なんだよね。」
冬山の経験が少ない僕は、山の上級者と一緒に登山をする事で身につく事が多くあるなあと、ありがたい気持ちなる。そうして僕もこういったノウハウを山仲間に伝え、崇められたいと切に願うのである。