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ハイカーたかくらがすすめるクマ対策

ハイカーたかくらがすすめるクマ対策

こんにちわ。
ハイカーのたかくら(@takakura3twi)です。

ハイカーたかくら
鳥にサングラスを取られてこの後目がパンパンになる

ニュージーランドの"Te Araroa"(=テアラロア、5ヶ月3,000kmのロングトレイル)に関する記事の執筆や、世界の山を旅するための『手段としてのアウトドア』の提案、アウトドアの安全、身軽なライフスタイルをテーマにした動画配信をしています。改めてよろしくお願い致します。

今回のテーマは「熊出没注意」

熊出没注意

今回は登山における「クマのリスク」をテーマにした記事です。登山者が自分の身を守るためにもクマの性質を学ぶことは重要だと考えています。


本記事では、

・クマについて勉強を深めるときに役立つ資料や書籍

・クマ対策の道具4選

の紹介をします。

登山で大切なのは、「安全第一に行動し健康体で日常生活に戻ること」。


どうぞ最後までご覧いただき、登山の安全度を高める一助にしていただけましたら幸いです。今回紹介する資料を勉強すると恐るべきクマの習性を学ぶことができます。頸動脈や顔面、心臓のある胸や内蔵に直結する肛門を的確に狙うクマ。怖過ぎます。ちなみにニュージーランドにはクマいませんので、比較的安全かもしれません(さりげなく大好きな国を宣伝)。

「熊出没注意」の動画はこちら。

今年は熊の出没報告が多い

先日、上高地の小梨平キャンプ場で複数のクマがテントを襲撃する事件が発生しました。怪我人も出ました。

https://twitter.com/takakura3twi/status/1292416252841885696?s=19

今年はコロナウイルスの影響もあって春先の入山者が例年に比べて極端に少なく、野生動物の活動領域が拡がっている(本来の在り方に戻っている?)という見方もあります。

実際に、SNSでクマの出没報告をしばしば目にします。皆さんも感覚的に「今年、クマの話よく聞くなーー、、」と思いませんでしょうか?

クマの基本的な性質は「臆病で、人の存在を感知したら逃げる」といわれています。例年のように「人が多く行き交う登山道では出没報告少なく、人の気配の少ない深山幽谷で遭遇する場合が多い」という構図はもはや成り立たず、一般道でも十分にクマとの遭遇リスクはあると考えた方が良いと思われます。

山は野生の世界。

クマの領域に入っていくわけですから常にリスクがあることを理解する姿勢が大切です。自分の身を守るためにもクマの性質を学んでいきましょう。

クマの性質を学ぶ。資料1『環境省の「クマに注意!」』

https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs5-4a/kids/index.html
こちらは環境省が提供しているクマの一般的な情報です。クマはキャラクターとして採用されていることが多く、イメージとして優しそうですが、そんなことは、マジでありません。危ない動物なんだ、と認識を改めさせられます。
・出会いを避けるために
・もしクマに出会ってしまったら
・クマをおびき寄せないために
など読みやすくわかりやすい12枚の資料です。是非目を通してみてください。

クマの性質を学ぶ。資料2『人を襲うクマ』(羽根田治/山と渓谷社)

クマの性質を学ぶ。資料2『人を襲うクマ』(羽根田治/山と渓谷社)
『人を襲うクマ』(羽根田治/山と渓谷社)

山岳遭難や登山技術に関する記事で有名な羽根田治さんの書籍です。全編にわたり臨場感のある(怖すぎる)遭遇事例が取り上げられ、そのなかでクマの生態を理解することができます。

⚠️クマの生態は一様ではない

生態の変化する生き物であるクマについて、事例を学ぶことで私たちも思考と対応を柔軟に変化できる、そんなヒントをくれる書籍です。

登山者必読本紹介シリーズ

クマの獣害事件と言えば「日高・カムイエクウチカウシ山のヒグマ襲撃事故」が有名です。本書では第一章でこの事故が取り上げられています。ヒグマの襲撃の詳細、そのしつこさと恐怖、本件の分析と教訓。第一章だけでも、必読です。また、後半で紹介する『羆嵐』のモデルとなった「三毛別ヒグマ事件」のヒグマとの習性や行動パターンの共通点について以下の9点を挙げています。以下引用(p.35~36より)。

1.行動の時間帯に一定の法則性がない
2.火煙や灯火に拒否反応を示さない
3.攻撃が人数の多少に左右されない
4.逃げるものを追いかける。加害中であっても逃げるものに矛先を転ずる
5.至近で大声を出し人間がいることを知らせても、逃げない場合がある
6.食い残し(遺留品)があるうちは、そこから遠ざからず何度でもそこに現れる
7.食い残しを隠蔽する
8.人を加害する場合、衣類と体毛を剥ぎ取る
9.食害が最もひどいのは、顔面、下腹部、肛門周囲などである

『人を襲うクマ』(羽根田治/山と渓谷社)

・・・
怖すぎませんか。人間の急所であると知ってか知らずか頸動脈や顔面、心臓のある胸や内蔵に直結する肛門を狙うクマ。この「クマの恐ろしさについて学ぶ」ことが登山の安全度を高めるためにも大切です。

第二章「地元猟師が語る、秩父のクマの今」ではクマの増加とテリトリーの変化について書かれています。人間の生活が動物の環境を変えているということについて深い視点で述べられています。印象的なのは本章の後半「山に動物たちが棲める環境を再生する」です。以下引用(p.68)。

「これから必要なのは、何年もかけて人間が自然を壊しちゃったんだから、今度は何年もかけて人間がそれを再生すること。そうすればいい水、いい空気、いい太陽の光が戻ってくるんですよ。山に棲む動物たちがいい環境のなかにいられるのが、人間にとってもほんとうはいいことなんじゃないかな。それが人間の将来につながると思うんだけどね。」

『人を襲うクマ』(羽根田治/山と渓谷社)

考えさせられる節です。

第三章「近年のクマ襲撃事故」も必見です。とにかく本書は全編必見なのです。雪山に出没(!)したクマ、駐車場(!)襲撃事故、登山者で賑わう山頂直下(!)での襲撃、里山から深山まであらゆる遭遇ケース、タケ槍、サングラスの有効性、被害者のみなさんの貴重な話と達観した視点・・・。絶対読んでほしい!

第四章「クマの生態と遭遇時の対処法」、こちらも絶対必読。p.211の「登山者が注意すべき点」を最初に読んでから全編読むのもオススメです。こちらの章では、クマがもともと生息する環境に入っていくという心構え、クマに遭わない工夫、スピードに注意(MTBやトレランによるバッタリ遭遇)、バリエーションルートのリスク、食糧の取り扱い、クマの威嚇行動の理解、クマスプレー、最終手段、応戦・・・具体的な思考とアクションについて書いてあります。

とにかく、絶対読んでほしい本です。過去の事故事件から得られた教訓を、風化させてはなりません、必読。

クマの性質を学ぶ。資料3『羆嵐』(吉村昭/新潮社)

クマの性質を学ぶ。資料3『羆嵐』(吉村昭/新潮社)
『羆嵐』


上でも触れました「三毛別ヒグマ事件」をモデルにしたドキュメンタリー長編です。山の"最恐小説"としても知られています。日本獣害史上でも指折りの惨事、三毛別ヒグマ事件。人肉の味を知った巨大なヒグマの圧倒的な描写と人間の台詞の臨場感(怖すぎ)、鬼気迫る展開、淡々とした恐ろしさ、自然の猛威と無慈悲、人間の無力さと小ささとエネルギー、、

鳥肌必至。

必読書中の必読書。ひとつアドバイスさせていただきますと、山では読まない方がいいです。怖すぎるから。

クマの性質を学ぶ。資料4『熊が人を襲う時』(米田一彦/つりびと社)

YouTubeのコメント欄で視聴者様から教えていただきました。ありがとうございます。熊の性質を学ぶための良著とのことです。まだ読めていないので、こちらも読んで知識と理解を深めていきたいと考えています。教えていただきありがとうございます。

他にもクマに関するオススメの情報媒体ございましたら、是非TwitterでもYouTubeでもnoteでも教えてください。私自身も色々と勉強させていただきたいと思っています🙏

クマ対策の道具4選

クマ対策の道具4選
熊鈴

上にあげた資料や書籍から、熊鈴は一定の効果あり、と理解できます。深山幽谷に限らず、熊鈴の携行必要性は高いシーズンですので、お忘れなく!

「ラジオ」
福岡大ワンダーフォーゲル部の対応の一幕に、ラジオをつけたらおとに驚いて逃げたという記載があります。やはり、音がでるものはいいかもしれません。そのような意味ではスマホでも代用できますが、電池残量には要注意です。アンカーやチーロなどパワーバンクもお忘れなく!

「クマスプレー」
小梨平の一件の直後、即、ポチりました。これです。

大峯や高島、北摂~京都の山が日常のフィールドになりますが、遭遇リスクはあります。備えあれば、、落ち着きにつながるかもしれない。それしにしても高かった(--;)

「ベアキャニスター」

https://twitter.com/takakura3twi/status/1292328387361439744?s=19
Twitterでは山と旅のお役立ち情報をお届け中

食糧を入れる頑丈なコンテナです。ぼくの夢であるロングトレイルROF(勝手に自分が設定したルート、環太平洋火山帯をセクションでスルーハイクすること、主目的国はニュージーランド、日本、カナダ、アメリカ、チリ)のセクションにPCT(JMT)があります。JMTではベアキャニスターの携行と使用が義務付けられているので検討を始めています。今MYOGでバックパックを作っていますが、ベアキャニスタを使う前提でデザインするので近々入手すると思います・・・が、たけぇ!!(--;)クマ対策は金がかかります、が、健康と安全、命には替えられません。

そして財布の中身がウルトラライトになる

日本でもベアキャニスター、一般的になる可能性ありますね。アウトドアメーカーの方、潜在ニーズ結構あるかもしれませんよ!頑丈な容器。

タスマニアの世界遺産エリアをULハイク
最後までご覧いただきありがとうございます😉

長くなりましたが、是非この機会にクマについて勉強をしていただき、安全度を高めてみてください。人のためにも、クマのためにも、努力が必要です。今は外出自粛の日々ですが、色々と勉強と準備に時間を充てていきましょう!世界と社会が一日も早く健康になることを願って👍

(おまけ)

山旅旅をご覧の皆様は「アウトドアを手段とした旅」がお好きかと思います。ニュージーランドおすすめです!(堂々と大好きな国を宣伝)お時間許しましたらどうぞこちらの「アウトドア天国ニュージーランド(熊いない)」もご覧ください😉きっと行きたくなりますよ。

ハイカー・たかくら スイスも好き
ハイカー・たかくら スイスも好き

自然愛好家、趣味:俳句(自由律)
・アウトドショップ店員時代に得た知識
・メーカー本社で学んだアウトドアの素晴らしさと歴史
・シーズンガイドを通して習得した技術
・世界の山旅を経て目の当たりにしたUL系トガリまくりハイカーの知恵や工夫
これらを記事や動画でお届け中。家具と珈琲屋で働きつつのため遅筆ですスイマセン。アウトドア・ガレージブランド「ROF」、製品開発も進行中。尊敬する人、種田山頭火、鴨長明、一遍上人、松尾芭蕉、John Z、アウトドアを愛してる人全員。

Twitter@takakura3twi

YouTube@たかくらや | takakuraya

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