MSRウィンドバーナーパーソナルストーブシステム(以下、MSRウィンドバーナー)が満を持してようやく日本で販売が開始された。海外では既に販売が約5年前から開始されていたのだが、日本のガス機器適合性検査をクリアするために時間を要したという背景がある。事前情報としては、お湯が沸くまでのスピード、耐風性能がとにかく優れているということだったので、早く使ってみたいと思っていた矢先、レビューをさせてもらう機会に恵まれた。今回は野営スタイルでの実力と、野営時における使い方例を紹介していこうと思う。

おすすめポイント

  • 燃焼効率が素晴らしい
  • バーナーヘッドとキャニスタースタンドをまとめて収納できるオールインワンストーブシステム
  • 驚くほど早くお湯が沸く
  • 手を暖めるストーブのような使い方もできる

商品概要

ブランドMSR
商品名ウィンドバーナーパーソナルストーブシステム
商品説明専用ポットの下部がバーナーを覆い、完全に閉じられた空間で燃焼するため、バーナーが生み出す熱をロスなくポットに伝える。
価格¥26,000(税抜)
本体重量465g(ガスカートリッジを除く)
サイズ11.5×10.7×18.1cm
最高出力1,765kcal/h

管理人の評価・レビュー

総合評価★★★★☆
快適性★★★★★
軽量性★★★☆☆
コンパクト性★★★☆☆
コストパフォーマンス★★★★☆

MSRウィンドバーナーの構成

MSRウィンドバーナーの構成

MSRウィンドバーナーはクッカー、バーナー、フタ、ボウル、キャニスタースタンド、パックタオルという合計6つのシステムで構成されている。上の写真の通りクッカーとポットインシュレーターは取り外しが可能で、クッカーの中のものが吹きこぼれた際、洗いやすく衛生的で乾燥も早い。

MSRウィンドバーナーの構成

MSRウィンドバーナーのクッカー内には、下からパックタオル、MSRイソプロ110、ストーブ、キャニスタースタンドが収納できて、持ち運びが可能。内部では金属部分通しが直接触れないようになっているのでキズが付きづらく、移動中は音がならない。全てが収納された状態のクッカー本体は、フタとボウルで上下が挟み込まれているので、バックパック内で他の装備と干渉しづらい作りとなっている。

野営時におけるMSRウィンドバーナー

野営時におけるMSRウィンドバーナー

MSRはガスカートリッジを使うガスストーブはMSRウィンドバーナーが日本では初となる。よってガスカートリッジが装着できる燃料缶も併せて新発売された。「イソプロ110」と「イソプロ227」という容量の違いで2種類あるが、今回使用したのは「イソプロ110」で、広く流通している110缶と同等サイズだ。

フタを付けた状態で214グラムというのが無使用状態の素人計量(メーカー記載重量は210グラム)での重量。実際に野営で使用してどこまでガスが減るのか試してみたい。こちらは記事の最後で紹介する。

ウィンドバーナーを装備に加えて1泊2日の渓流山行

早速、ウィンドバーナーを装備に加えて1泊2日の渓流山行へ。野営をした2日目の朝、いよいよ初の燃焼を行う。最初は4人分のコーヒーを作るために200ml×4人=800mlお湯をMSRウィンドバーナーで沸かす。基本マックスのボイル容量は600mlで、クッカーの内側にはその記載もある。これは沸騰した際にお湯が溢れないようにするための計らいだ。

MSRイソプロ110にキャニスタースタンドを取り付ける

最初に、MSRイソプロ110にキャニスタースタンドを取り付ける。野営場所などでは地面がガレていることがほとんどなので、安定を保つためのキャニスタースタンドは非常に役立ってくれた。

MSRイソプロ110とガスカートリッジを取り付ける

次にMSRイソプロ110とガスカートリッジを取り付ける。取り付け方法は非常にシンプルで、ねじ式でくるくると回して固定させる。

ガスカートリッジに取り付けられている火力調整用のつまみを回してガスを出しライターで点火する

次にガスカートリッジに取り付けられている火力調整用のつまみを回してガスを出しライターで点火する。ウィンドバーナーには着火装置が付属していないので注意が必要だ。ちなみにMSRのウィンドバーナー着火テストでは、ライター以外にターボライター、ファイヤースターター、マッチなどで実践して着火可能としている。圧電式イグナイターは着火不可と紹介されている。

上の写真を見ての通り、ストーブのようにバーナースクリーン全体が加熱される。スクリーンの下に一直線状に見えるワイヤーはインジケーターワイヤーといって、加熱の様子が判断できるものだ。ここがオレンジになれば着火されていることがわかる。

バーナースクリーンに手を当ててみると非常に温かい

バーナースクリーンに手を当ててみると非常に温かい。写真を撮影している側はウィンドバーナーとの距離を50センチほどあけているが、暖かな熱が伝わってくるのがわかる。暖がとれるという視点でウィンドバーナーを見ると、エマージェンシー的な役割が担えるなあと関心する。

クッカーをバーナースクリーンの上に置いて軽く横にひねれば後はお湯が沸くのを待つだけ

点火したら、最後にクッカーをバーナースクリーンの上に置いて軽く横にひねれば後はお湯が沸くのを待つだけだ。800mlのお湯を沸かすのに約3分という驚きの時間。もともと使用した水が冷たい沢の水で、標高1400m付近で、山頂から冷たい風が溪に向かって吹きさらす朝の時間で、この短い時間で沸くというのは正直驚いた。今回800mlという規定(600ml)以上のお湯を沸かしたので、蓋の穴からお湯が噴きこぼれそうになった。ずっと見ていたのでガスを素早く止めることで回避できたが、規定以上の量のお湯を沸かす際は注意が必要だろう。

クッカーの底の形状はヒートエクスチェンジャーで、バーナーの熱を効率よくクッカーに伝えている

クッカーの底の形状はヒートエクスチェンジャーで、バーナーの熱を効率よくクッカーに伝えている。

サイドの孔からは外気を内部へ送り込み燃焼効果を高めている

サイドの孔からは外気を内部へ送り込み燃焼効果を高めている。

フタには細いお湯を落とすことができる穴と、湯切り用の穴がある

フタには細いお湯を落とすことができる穴と、湯切り用の穴がある。

コーヒーを淹れるのに、このフタが大いに役立った

今回はコーヒーを淹れるのに、このフタが大いに役立った。この日のランチには素麺を茹でたのだが、そこでもフタの湯切りがありがたかった。

サイドには立体的なハンドルがあるので沸騰したあとのクッカーを素手で持つことができる

サイドには立体的なハンドルがあるので沸騰したあとのクッカーを素手で持つことができる。

ランチタイムになって素麺を茹でた。4人前を4回に分けてたっぷりの水で茹でる

ランチタイムになって素麺を茹でた。4人前を4回に分けてたっぷりの水で茹でる。沸騰するまでの時間が長いと4回も繰り返し茹でる作業が面倒で仕方がないが、沸騰時間も早いし、お湯を沸騰させる一連の作業が非常にシンプルなので、ほとんど苦にならない。

料理を楽しめるのもMSRウィンドバーナーの沸騰の早さのおかげ

めんつゆと浄水した冷たい水と、しめた素麺にゴマとネギをちらしてランチを楽しむ。こんな料理を楽しめるのもMSRウィンドバーナーの沸騰の早さのおかげだ。

ボウルに素麺を入れてつゆをたっぷり入れて食べる。ボウルに高さがあるのでこぼす心配も少ない。このボウルにクッカーのフタが装着できるのもナイスギミックだ

ボウルに素麺を入れてつゆをたっぷり入れて食べる。ボウルに高さがあるのでこぼす心配も少ない。このボウルにクッカーのフタが装着できるのもナイスギミックだ。

今回MSRウィンドバーナーを使って沸かしたお湯の量は4リットル。これだけ燃焼してイソプロ110の中身がどれだけ残っているのか、自宅に戻って計測するのが非常に楽しみだった。

<使用した細かい内訳>

  • コーヒー800ml(強火で約3分間の燃焼)
  • 素麺1人前800ml×4(強火で約12分間の燃焼)
    ※いずれも冷たい沢の水を使用
    ※外気温は平均28度程度
    ※風は微風程度
    ※蓋は毎回使用
基本は600mlが水量のマックスなのだが、山行では毎回800ml、蓋は毎回締めてお湯を沸かした

基本は600mlが水量のマックスなのだが、山行では毎回800ml、蓋は毎回締めてお湯を沸かした。蓋をしないと沸騰するまでに相当時間がかかるだろう。このような使用方法で、使用済みのイソプロ110の重量を計ってみると148グラムだった。使用する前の214グラムから差し引くと66グラムの燃料を使用したことになる。今回は毎回沸かす量が規定外ながら66gで済んでいるのは非常に低燃費だと思われる。クッカー一体式の代名詞「ジェットボイル」を以前使っていたが、少し風が吹いただけでも沸騰してくれず、延々と熱し続けるので、110缶では足りずいつも予備もしくは250缶を持って行っていた経験があるので風がある中でもこの燃費で済んでいるのは「ウィンドバーナー」の名に恥じない超高効率なシステムの所以だろう。

ファストパッキング時に僕が夜一日に使用するお湯の容量400mlで実験

ちょっと解りづらいのでファストパッキング時に僕が夜一日に使用するお湯の容量400mlで実験をしてみた。自宅のぬるい水を使用し1分29秒でお湯が沸いた。固形燃料で同量の水を沸かすのに約10分かかることから比べると驚きの早さだ。

そして燃料は8グラム使用していた。ぬるい水、ほぼ無風、気温30度程度という環境なのでパフォーマンスはかなり良いといえる。これが冷たい水で、気温も20度以下となれば150%増しの燃料12グラム、2分20秒ぐらいで沸騰というのが目安のように感じる。

MSRウィンドバーナーと携行して役立った水補給アイテム

今回の野営山行にはMSRウィンドバーナー以外に、MSRトレイルショットマイクロフィルター、プラティパスのソフトボトル1リットルを持っていった。

今回の野営山行にはMSRウィンドバーナー以外に、MSRトレイルショットマイクロフィルター、プラティパスのソフトボトル1リットルを持っていった。

野営場所は源流域だったために、綺麗な水が流れているものの、大腸菌などによる汚染も怖いので、流れている水をMSRトレイルショットマイクロフィルターで浄水してプラティパスのソフトボトル1リットルに移す

野営場所は源流域だったために、綺麗な水が流れているものの、大腸菌などによる汚染も怖いので、流れている水をMSRトレイルショットマイクロフィルターで浄水してプラティパスのソフトボトル1リットルに移す。こうすることで、移動時の飲水には事欠かかない。北海道ではエキノコックスにも有効だろう。

マイクロフィルターで浄水した水は飲水や、調理用の水として使用することで安心感が保たれる。

マイクロフィルターで浄水した水は飲水や、調理用の水として使用することで安心感が保たれる。

MSRトレイルショットマイクロフィルターを川に入れて直接飲むことも可能

MSRトレイルショットマイクロフィルターを川に入れて直接飲むことも可能だ。小さな水たまりからも飲水を得ることができるろ過能力を備えている。わずか142グラムで多くの水を持ち運ぶ必要がなくなる。沢遊び、源流域での釣り、はたまた登山におけるエマージェンシキットの1つとしても重宝するだろう。

MSRウィンドバーナーがあれば煮沸して安心な水を確保することは容易だが、今回の野営のように飲水以外に素麺をしめる際の綺麗な冷水を入手することもでき、とても助かった。

今回は野営時におけるレビューだったがいかがだろう?強風での燃焼効率の良さ、また異常な加熱を検知した際に自動シャットダウンされるという安全装置「サーマルトリップ」などMSRウィンドバーナーの魅力は事欠かない。

今回は野営時におけるレビューだったがいかがだろう?強風での燃焼効率の良さ、また異常な加熱を検知した際に自動シャットダウンされるという安全装置「サーマルトリップ」などMSRウィンドバーナーの魅力は事欠かない。

アドベンチャー要素が備われば備わるほど、そのパフォーマンスとエマージェンシー的能力は非常に魅力的だろう。

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