まだまだ暑い日が続きますが、10月になれば標高の高い山では初冠雪のたよりが聞かれるようになります。少し気がはやいですが、冬山の話で涼んでください。

    登山や渓流釣りをしていると、地図をみることが多いです。主に国土地理院発行の2万5千分の1の地図です。地図自体は茶色い等高線の集まりだったり、川を示す青い線だったりします。しかし、登山者や釣り人はそこに無限の可能性と果てしない想像力を投入するのです。そして、「地図読み」は出来ないと生死にかかわることもあります。そういうわけで、地図を読むことは、ワクワクすることであり、時としてサバイブするためでもあります。今回は机上での想定と、実地での応用をふまえて「地図読み」を考えてみます。

    地図読みその1「地図を読んでみよう!」

    林道と高圧線の鉄塔が交差するところと針葉樹マークに注目

    登山で使う場合、特に登山道がない山をルートファインディングによって登るときの、私の地図の使い方を説明します。国土地理院のWebサイトで地図を開きます。(mac用にTrail Note,windows用にカシミール3Dというアプリも有名です)

    上部の虫眼鏡の検索窓に山の名前を入力します。もちろん、初期画面からマウスのスクロールホイールでズームして到達してもOKです。では、図中の「洞山」を登ることにしましょう。みなさんなら、どんなルートで登りますか?

    言い忘れましたが、想定している時期は降雪期です。登山道のない低山は、ふだん藪や低木の繁茂によってアクセスできません。冬であれば、雪が重層に積もることによって、こういった木々が押しつぶされ、降り固まった雪の上をカンジキ等で歩くことができるからです。

    ルートファインディングの基本は尾根歩きです。図中、東の尾根沿いも行けそうです。東北東にも尾根がありますが等高線の間隔が狭いです。近くに露岩帯もあって危険そうです。北北東の尾根筋は等高線の間隔も広く緩やかそうです。

    まず、青丸でポイントした地点・記号をみていきましょう。林道と実線が交差している地点をみていきます。チェックしたいのは、高圧線鉄塔の付近に道がある点。鉄塔は電力会社が管理していて、定期的にメンテナンスを行っています。なので、近くに車道か人が歩ける道がある可能性が高いです。したがって、登山開始の起点になります。また、その機能・構造から尾根沿いに連続していることが多く、稜線を縦走する場合に注目するといいです。

    もし、積雪の少ない時期であれば鉄塔をめざして周辺の林道を利用することになります。ただ、豪雪地帯だと、人が住んでいない地域は、除雪しない可能性があり、通行止めのことが多いです。また、あらかじめゲートを設けてあり、冬期間は施錠して通行禁止のこともあります。こういうのは、机上ではわからないので行ってみるしかありません。しかし、取り付きは、より幅員が広くて交通量の多い道の近くになります。

    高圧線の鉄塔と林道が交差するあたり

    記号の意味を理解しよう!

    次に、三角形の底辺が閉じていない地図記号です。これは針葉樹を表し、主に植林された杉を示します。そういう杉があれば人手が入っており、メンテナンスしている可能性が高いです。少なくとも、人間が昇降できる斜面ということになります。また、常緑樹なので年中葉があり、吹雪や風を若干避けることができます。枝に積もった雪が落ちてくることがありますが、ケガはしません。そして、塊で落ちてくる雪のおかげで、周囲はわりと固い雪原になるので踏み抜きが少なく、歩きやすいです。

    このように、北北東の斜面に注目したのは、最終的には南北に延びる尾根に取り付くためです。ただ、南北線上の尾根も「∧」の切れ角が鋭く、やせ尾根になっている可能性があるので注意が必要です。以上の点に注意して、実際に登ったルートが次の図です。

    右、実際のトレースルート

    片掛集落の一番北にあるお寺まで、除雪がしてあったので、突き当たりに駐車し、そこから西に延びる実線の林道まで歩きます。その林道を少し登り、前述したゆるい斜面にひろがる植林地帯を登ります。鉄塔と林道が交差する辺りまでは、植林されていましたが、そこからは広葉樹の急斜面でした。南北の尾根に到達してからは、右を大谷川に落ちる急斜面。左は神通川に落ちる急斜面のやせ尾根で怖かったです。そこをクリアすれば、山頂近くのひらけた雪原になり、大きな反射板がある山頂に到達します。

    当日、左手、東西に延びる尾根から登山した方のトレースがありました。このように、ルートファインディングは「自由」です。自分の思うままに、或いは体力に見合ったルートを選択(開拓?)することができます。ルートファインディングの愉しみとは、まさにこの主体的・自立的登山ができる点です。つまり、ルートファインディングに「答え」はないということになります。あらかじめネット等で目標の山を登った登山記録を参考にするのもいいですが、あえて独自のルートで行くのも勇ましくていいじゃないですか。登頂できた時の達成感もひとしおというもんです。そうした「創造的登山」をするために、事前に地図をみて「ああでもない、こうでもない、いや、このルートもありかも?」なんて思索するのも楽しいです。

    南北にのびる尾根
    山頂の反射板

    最後に、国土地理院地図とGoogleMapの便利な使い方です。地図上で右クリックし、左下の矢印を二回クリックします。そうすると、その地点の詳細情報が表示されます。緯度経度情報の数値部分を選択しコピーします。GoogleMapを開き、検索窓に貼り付け検索します。マップを航空写真モードに切り替えて右下のピクトくん(人型アイコン)上の3Dモードに切り替えます。そうすると、今回の場合は山頂からの眺望を見ることができます。また、気になる斜面の傾斜を確認することもできます。いまはやりの「オンライン」登山も可能なわけです。

    ビューを変えることで体感に近い斜度を感じることができます。この時点で、「ヤバそう」と思ったら止めといたほうがいいです。そういう場合は実際、斜面の直下に立っても、やっぱり無理なことが多いです。特に雪が積もっていると、腰上の積雪面を登るのは、意外とできないもんです。こうやって、ご自分の力量を試されるのもいいかもしれません。

    緯度経度情報をコピー
    洞山山頂からの眺め

    このように、ルートファインディング目的で地図を読むと、そこ新たな「ストーリー」を読むことになるかもしれません。時間があるときに「熟読」することをお勧めします。

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