前回北アルプス超ドMマニアックルートとして八方尾根から黒部源流祖母谷への登山ルートを紹介した。一般の登山者にはオススメしづらいハードでマニアックな北アルプスの登山ルートだが、今回紹介するのは祖母谷から白馬岳へ登り返す登山ルートとなる。
1日目の八方尾根から祖母谷への登山ルートは約15.3 kmの道のりで累積標高は上りで1,397メートル、下りで2,467メートルであった。
2日目の祖母谷温泉から白馬岳の頂上宿舎までは13.9 km で累積標高は上りで2,544メートル、下りで539メートルとなっている。僕は上りで2,000メートル以上を1日で稼ぐという登山は今回初めてだ。大変やりがいのあるドMな僕としては楽しい!そして辛い!過酷な登山となった。
今回のコースタイムは1日目の疲れと休憩時間を考慮して約10時間で見積もり、頂上宿舎のテント場に14時到着で見積もると出発は4時となる。
少しずつ夜があけてきそうな空を眺めながら、林道をトボトボと歩き、いきなり急登な坂道を登るので心拍数が上がる。
まず初めに目指すのは不帰岳避難小屋でここまでは約6.7 km で1,400メートルアップという登山道だ。
かなり辛い登山ではあるのだが唐松岳から祖母谷温泉へ下りてきた1日目に比べると非常に歩きやすい登山道で、比較対象がすでに辛すぎる昨日の思い出なので、辛いけど辛くないと言う不思議な山歩きとなった。
上の写真のように登ればまた急登、ゴールが見えないので「はあ~」とため息を漏らすこと、毎度のことだった。
それでも時折見せる山の景色は美しく、やっとのことで不帰岳避難小屋へ到着した。
ここでは二人の女性が休憩しており、話を伺うと朝イチで白馬岳から下山し、これから祖母谷温泉へ向かうと言う。避難小屋は綺麗に整理されており、トイレまで設置されていた。
水場情報は、不帰岳避難小屋の直下に水場があり、じゃぶじゃぶとまでは言わないがそれなりの水量がある水をいただける。祖母谷温泉からここまで水場はなく、さらにはここから白馬岳までも水場はない、清水岳から少し進んだ場所に水場はあるのだが残雪時のみとあり注意が必要だ。
不帰岳避難小屋を後にした僕たちは次に清水岳へ向かう。
清水尾根と呼ばれる約2時間の道のりを進むとそこからは比較的緩やかなアップダウンの繰り返しで白馬岳の頂上宿舎へと到着することができる。
清水岳を歩いている途中、僕は初めての高山病にかかった。はじめ血液が頭に集中するような感覚とそれに伴う痛みが生じ、それが過ぎ去ると急激な睡魔に襲われた。なぜこんなに眠いのか?不思議な感覚に見舞われながら、それでも元気に歩けるので清水岳へと歩みを進める、その時の模様が動画に収められているので確認していただきたい。
僕は樹林帯から抜けた湿地帯の景色に目を奪われ元気よく歩いていたつもりだったが、後から動画を見てみるとふらふらな足取りで驚いてしまった。
本来ならば高山病にかかったと思ったらその標高の空気に慣れるために休み、そして水を飲み、いつもよりも遅いペースで歩くのが後から調べたら大事だったようだ。高山病がひどい場合は下山が最も回復するともかかれていた。
またハァハァという呼吸は空気を取り込むのに非効率なので、口をつぼめて沢山息を吐き、沢山息を吸うというのが効率が良い呼吸のようだ。
その後、すれ違った人に話を聞くと7~8月はこの辺りは高山植物が咲き乱れ、非常に美しい景色だと言う。白馬岳からここ清水岳へ向かう人は非常に少ないので、静かな登山を楽しむことができるだろう。是非行ったことがない人はチェックして欲しい。
清水岳頂上という場所はなく、清水岳直下と呼ばれる場所に出る。その後少し下ると清水平と呼ばれる平らな登山道に出る。
この前後の景色は大変美しく、小旭岳と呼ばれる山を左に見ながら裏旭岳へ、そして最終ゴールの頂上宿舎へと歩みを進める。
美しい景色を期待することもなく歩いていたら、ふとした拍子に素晴らしい景色に出会うということがあるが、この登山もそんな驚きがあった。過去には、笠ヶ岳へ向かう途中で出会った秩父平、南アルプスの光岳手前の三吉平からイザルガ岳への登山道も同じような驚きのある登山だった。
頂上宿舎のテント場に到着すると今まで静かな登山道を歩いていたせいもあり、非常な混雑を目にしたような気持ちになる。テントを張り終えて夕食の支度をこしらえこの日の苦労をお互いに労った。
この日の白馬周辺はガスに覆われ景色を楽しめなかったのだが、夜中は満天の星空につつまれ、次の日は朝からお昼過ぎまで青空が広がり、まるで2日間頑張ったね!とおてんとさまに褒めてもらっているような・・そんな素晴らしい景色をたくさん見ることができた。
白馬岳へは約5年ぶりの登山だったが、やっぱり美しい場所だなあ~と思うとともに日本という国がもつ素晴らしい自然に感動しっぱなしの3日間だった。