雪山に挑むスキーヤー、スノーボーダー双方から支持される道具があります。そんなバックカントリーギアの定番はオスプレイのバックパック、MSRのスノーシューが知られますが、今回ご紹介のブラックダイヤモンドエクスペティション3ポールもその一つ。
バックカントリーの超定番ポール!
筆者も12年2代にわたって使用し、このほど新たに3代目を購入、行動に欠かせない相棒と言え絶対の信頼を寄せてます。
エクスペディション3ポールの概要
ブランド | ブラックダイヤモンド |
商品名 | エクスペディション3ポール |
価格 | ¥13,310 (税込) |
特徴 | ・アルミ合金製(直径18/16/14mm)シャフト ・ビンディングの調整に便利なフッキングポイントを備えたエクステンションフォームグリップ ・グローブの有無にかかわらず調整できる幅広ストラップ ・デュアルフリックロック ・100mmパウダーバスケット ・3/4バスケット対応のフェルール |
ペア重量 | 516g(58~125cm) |
全長 | 58~125 / 62~140cm |
収納サイズ | 58cm(58~125cm) / 62cm(62~140cm) |
厳しい使用環境においてポールに求められる条件とは
深雪で転倒すればポールを頼りに起き上がり、時に全体重をかけることもあります。それでポールが変形、曲がってしまうなら伸縮できなくなります。頂きに到着、滑走の際にスノーボーダーはポールをパックに収納、肝心なその時に伸縮ロック機構が凍り付いて縮まなくなってしまう商品もあります。そんなポールは投げ捨てたくなりますがそういう訳にもいきません。状況によってはポールに行程の成功と命を託すこともあるでしょう。バックカントリー用のポールに求められる条件は一般のトレッキングポールよりずっと厳しくまとめるなら、
- 転倒したライダー・滑走マテリアルで踏みつけられても折れたり変形しにくいこと。
- バックパックサイドに装着・収納できるコンパクトなサイズになること。
- 伸ばした状態で全体重をかけてもロックが耐えて縮まない、破損や変形のないこと。
- 厚手のグローブ装着でも確実に伸縮&ロックできること。
- 伸縮ロック機構が凍り付いて伸縮できなくなるようなトラブルの無いこと。
上記条件からULであることより多少重くなっても強度と耐久性が優先となります。そこに収納性と操作性がバランス良くパッケージングされたプロダクトはエクスペディション3ポール於いて他にありません。
改良と熟成を重ねより使いやすく
中心が初代で奥が2代め、そして新たに購入したおニューのエクスペディション3。変わらぬしっかりとした造り/構造は高い荷重耐久性を有します。
伝統のデュアルフリックロックは代を重ねて肉厚で角が取れ指に優しくなりました。最新型はカラーで位置を把握しやすいです。
熱伝導率の低い樹脂製なので、結露/融雪した水分が凍りついて伸縮できなくなる等のトラブルは極めて少ないです。
厳寒のフィールドで生指での操作は稀とは思いますが、そんな場合でも皮膚が貼りついて怪我となる可能性も避けられます。
フォームグリップが一新され、より長くしなやかな弾力性で握りやすく。新しいトラップは薄く幅広になり調整範囲は長く、グローブの有無に拘わらず、握る手に更にフィットするようになりました。
また、使い込まれた古いポールも基本機能を喪失した訳ではなく腐食と傷で長さ目盛りが読みにくい、少し曲がり伸縮の際に固く力が必要といった程度で、いつでもスペアとして使用できます。この耐久性は重要なポイントで、酷使しても壊したことはありませんがその際にはリペアパーツの入手性も良いと聞き、これも多くのユーザに愛される所以でしょう。
6年以上使い込まれ腐食と傷で長さ目盛りが読めなくなった先代エクスペディション。伸縮の度に腐食したアルミが粉吹きますが使えます。
お使いになる前の注意点
使用前にパウダーバスケットを装着しますが、これが超硬く本来の固定位置になかなか収まりません。ユーザーの中にはこの状態で使用し、滑走中にバスケットを紛失する事例が多いと聞きました。
購入したかぐらスキー場、みつまた駐車場はパウダーステーションに於いてバスケット装着方法、装着トラブル事例をお聞きしました。温めればバスケットは熱膨張かつ柔らかくなるので容易に装着できるようになるとのこと。
なのでパウダーバスケットの煮込みです(^^;)
パウダーバスケットは完全に装着されました。これは引き裂かない限り絶対に外れないということでもあります。夏での使用も考えている方はその点を考慮する必要が。細くなった石突きへのプロテクトキャップ装着とその適合寸法も注意点。
おニューのポールとかぐら、バックカントリーへGO!
2020年の師走、早くも豊富な雪に覆われたかぐら峰、ピーカン青抜けに白無垢パウダースノーと最高の日和。
薄くしなやかになったストラップは本当に手にフィットします。柔らかいのでよれた状態で雑に通しても気にならないメリットも。旧型のストラップは厚手で吸水すると凍りついてゴワゴワ、使い難い状況もありましたが、新型はその可能性も低いのではないでしょうか。
状況により短く持つ、長く持つを繰り返しますが、一新されたフォームグリップは、この日のパートナーにも握り易く心地よいと好評。
さらに完成度の上がった樹脂製のフリックロック機構、厚手のグローブ装着でも操作は容易です。旧型からノーメンテで10年以上使っても、凍り付いて機能不全のトラブルは一度も経験ありません。それ以前に使っていた回転ロック機構のトレッキングポールは山頂で縮まない事が頻繁で凄いストレスでした。
この日のパートナーは同じブラックダイヤモンドのトレッキングポール使用。アルミ製のフリックロックは洗練されたデザインですが、凍りついて伸びない、縮まないトラブルは幾度かあり車内で乾燥整備、暖めるなど使用前から気を遣うとのこと。正直なところバックカントリーにおいて金属製のフリックロックのポールはお勧めしにくいです。
OSPREY KODE 32 バックカントリー用 バックパックに装着の図。58cmという収納サイズも絶妙です。
バックカントリーに限らず山へは信頼できる道具と共に歩むことがとても大切。エクスペディション3ポールは自信を持ってお勧めできる逸品。本物の道具だけが持つ機能美、それでいてお値段も手ごろと非の打ちどころがありません。
次回は雪山滑走編、ブレークのお供に最適なツールを紹介したいと思います。