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2022.10.04
登山用ヘルメットの選び方・おすすめのヘルメット

登山用ヘルメットの選び方・おすすめのヘルメット

登山の重要装備に数えられるヘルメットは、死亡や大怪我の可能性を抑えることができる装備です。この記事では登山用ヘルメットの重要性、登山用ヘルメットの種類と選び方について紹介をします。また多くの登山者が信頼を持って使用している耐衝撃性が高い軽量なおすすめのヘルメットを紹介します。

表紙画像の出典:Grivel Facebook

登山用ヘルメットの必要性

登山をする際ヘルメットの装着が必要な理由は転倒した際に頭部を守ること、滑落した際に頭部を守ること、落石など落下物から頭部を守ることの3点です。岩場が多い場所や勾配がきつい登山道ではもちろんのこと、登山においては転倒の危険性が高まるため、できるだけ登山をする際にはヘルメットをすることが重要です。

転倒時に頭部を守る

転倒をすることは日常において少ないため、日常の延長線上で登山を考えるとヘルメットの重要性を感じない方も多いようです。

登山での遭難原因をランキングすると以下の表のように滑落に次いで3位に転倒となっています。転倒することで頭を打ってしまうと最悪の場合死亡するケースも考えられます。足元が不安定な登山道では特に登山用ヘルメットの着用を重視しましょう。

道迷い37.9%
滑落17.4%
転倒15.0%
病気8.8%
披露7.6%
その他13.3%

滑落時に頭部を守る

滑落時に頭部を守る

滑落の死亡原因の多くが頭部の強打と言われています。滑落にも程度がありますがヘルメットをしていれば助かった滑落も多いと聞きます。滑落の危険性は切り立った岩場やガレ場が多い登山道よりも、気持ちが緩んだ登山道で多いようです。標高の高い山に登る際はヘルメットの着用を重視しましょう。

落石時に頭部を守る

落石時に頭部を守る

拳ほどの石がヘルメットに直撃するとそれだけでヘルメットは粉砕してしまいます。ヘルメットで落石時に頭を確実に守れるのは小さい石だけで、このような場面はクライミング以外の通常登山では極めて稀です。

しかしながら切り立った山をトラバースするような登山道で頭上に鹿や猿などが動くことで落石が生じることはあり、このような場所ではヘルメットの着用は怠らないようにしましょう。

登山用ヘルメットの選び方

登山用ヘルメットを選ぶ際に、必ずチェックすべき5つのポイントを紹介します。これらのポイントを抑えてヘルメットを購入することで、快適且つ安全な登山を実現できます。

1.2種類の構造からヘルメットを選ぶ

登山用ヘルメットには大きく分けて2種類あります。これら2種類はどちらもメリットとデメリットが存在し自分にとっての相性を考えて選ぶことをお勧めします。

ハードシェル-高耐久で価格が手頃

ハードシェル-高耐久で価格が手頃

合成樹脂を使い傷に強く耐久性に優れた登山用ヘルメットです。内側には部分的に衝撃吸収材を使っておりサイズは薄くてコンパクトですが、若干重量があるタイプのヘルメットが多いです。 価格は手頃なものが多く、ハイブリッドタイプのヘルメットと呼称されることもあります。

インモールド-通気性に優れ軽量だけど、若干お高め

インモールド-通気性に優れ軽量だけど、若干お高め

発泡剤耐性の高いシェルを被せたタイプの登山用ヘルメットで自転車用のヘルメットと同じ構造を持ちます。デザインが豊富で通気性に優れたモデルが多く、軽量ですが価格がハードシェルと比べると高く設定されています。

2.サイズとフィット感でヘルメットを選ぶ

2.サイズとフィット感でヘルメットを選ぶ

ヘルメットは様々なメーカーから販売されており、それぞれのメーカーによって頭の形に特徴があります。。近年のヘルメットは様々な形の頭にフィットするようサイズ調整ができる機構も備わり、フィット感が優秀なものが多いです。

サイズは「S/M」と「M/L」のサイズで分けられたものがほとんどです。以下はヘルメットに力を入れたメーカーのヘルメットのサイズ展開です。頭の小さい方はペツルがおすすめです。またおおよそ頭囲56~57㎝で区切っているので、それ以下か以上かでサイズを選ぶことが出来そうです。

  • グリベル:フリー(55~61cm)
  • ペツル:S/M(頭囲48~58cm)、 M/L(頭囲53~61cm)
  • ブラックダイヤモンド:S/M(頭囲53~59cm)、 M/L(頭囲58~63cm)
  • マムート:S/M(頭囲52~57cm)、 M/L(頭囲56~61cm)
  • モンベル:S/M(頭囲52~57cm)、 M/L(頭囲57~62cm)

ヘルメットをする際にヘルメットの下にニット帽やキャップをかぶる方も多いと思います。後頭部にあるヘルメットのサイズを変更できるアジャスター、ストラップによって調整がしやすいかを確認することも重要です。

ヘルメットを装着した状態でレインジャケットやハードシェルをかぶることを考えるとヘルメットの形状や大きさもチェックしましょう。

3.軽量性に優れた登山用ヘルメットを選ぶ

3.軽量性に優れた登山用ヘルメットを選ぶ

登山用ヘルメットの重量はは150~300gが主流です。 累積標高のある登山、長い距離を歩く縦走では登山装備の軽量化による体力の温存も重要です。できるだけ軽量なヘルメットが登山シーンによっては力を発揮します。危険な箇所が多い登山では重量はあるけど耐久性に優れたヘルメットというように使い分けるのがベストです。

4.信頼性のあるメーカーの登山用ヘルメットを選ぶ-EN規格・UIAA規格をチェック

最近では様々なヘルメットをネットで購入することができます。登山用ヘルメットには「EN規格」(ヨーロッパ規格)と「UIAA規格」(国際山岳連盟規格)という安全規格があり、このいずれかの規格を持ったヘルメットを選びましょう。ヘルメットのタグや商品説明に記載されているのでチェックをしましょう。

EN規格・UIAA規格の注意点

多くのヘルメットが、落石からの保護のため、主に頭頂部を保護していますが、この保護レベルはヨーロッパ規格や国際山岳連盟規格の要求事項を満たしています。

しかし実際は頭頂部だけでなく後部、側部、前部への衝撃も特にクライミングなどでは頻繁に起こっており、自分のアクティビティで起こる可能性のある頭部への衝撃から、どのようなヘルメットが必要なのかしっかり考える必要があります。

5.信頼あるブランドで登山用ヘルメットを選ぶ

登山用ヘルメットは技術力の高い登山用メーカーから選ぶと良いでしょう。登山時で重要となる通気性の確保やフィット感など優れた作り方特徴です。

グリベルのヘルメット

グリベルのヘルメット

グリベルはアイゼン、ピッケル、カラビナなど高所登山におけるギアの開発に力を入れているブランドです。このブランドが作る登山用ヘルメットは様々な動きに追随するフィット感と優れた通気性が特徴で、カラーとデザインにも特徴があり視認性にも優れています。ジャパンフィット展開があり、日本人の頭に優しくフィットします。

ペツルのヘルメット

ペツルのヘルメット

高所作業やレスキュー用の快適性の高いヘルメットの製造から登山用ヘルメットまで、幅広いニーズに対応した開発力が特徴です。軽量性に優れたヘルメットながらもしっかりと頭を守るハイブリッド構造が特徴です。

ブラックダイヤモンドのヘルメット

ブラックダイヤモンドのヘルメット

MIPSテクノロジーを搭載したヘルメットをリリースするなど、常に新しい機能と、耐久性を維持した状態での軽量化で、進化し続けるブランドです。種類も豊富で登山スタイルにあったヘルメット選びが可能です。

マムートのヘルメット

マムートのヘルメット

スイスで設立された高品質のプロダクトをリリースし続けるマムートのヘルメットはマスブランドならではの高い機能性を備えてます。技術力は安全性テストの徹底力と、軽量ながらもヘルメットを囲い込むプロテクションを見ると一目瞭然です。

自転車用ヘルメットを登山用ヘルメットとして使用する際の注意点

自転車用ヘルメットのデメリット

自転車用ヘルメットを登山用としても使用できるのか?という疑問も多く聞きます。2点の意味で自転車用ヘルメットは登山では使用しないことをお勧めします。

1点目は登山でのプロテクトと自転車でのプロテクトが異なるということです。安全規格が異なり落石などの頭頂部の強度、自転車様ヘルメットの通気性を重視した穴の大きさなどが代表的です。

2点目はヘルメットの形状と大きさです。自転車用ヘルメットは空気抵抗を少なくするための形状が施されており、レインジャケットのフードをヘルメットの上から被ることが困難なヘルメットも存在します。

おすすめの登山用ヘルメット

ここまで登山用ヘルメットの選び方を紹介してきました。最後に高耐久で価格が手頃なハードシェルモデルのおすすめのヘルメットと、軽量で通気性に優れたインモールドモデルのおすすめのヘルメットを紹介します。

グリベル『ステルスHS』

日本人に合う『ジャパンフィット』規格。西洋人に比べて丸い形状の日本人の頭に合うように、内側の幅と深さをデザインしました。

種類インモールド
重量195g(サイズS/M)
価格¥9,702(税込)
サイズ頭囲55~61(㎝)

グリベル『サラマンダ―2.0』

より多目的に使用できる2代目のサラマンダー。従来のモデルと同じように内側の幅を広く取り、安定した装着感が引継がれています。日本人に合う形状Japan フィット規格品です。

種類ハードシェル
重量355g(サイズS/M)
価格¥8,360(税込)
サイズ頭囲55~61(㎝)

ペツル『シロッコ』

ペツル シロッコ

保護性能が強化された超軽量クライミング、マウンテニアリング用ヘルメット。
シロッコは軽量性と保護性能の両立を求めるクライマー、登山者のニーズに応えるためにデザインされました。後頭部をより広くカバーする形状により、頭部の保護が強化されています。最適なフィット感と優れた通気性により、高い快適性を提供します。

種類インモールド
重量160 g (S/M)
価格¥15,950(税込)
サイズS/M(48-58cm)、M/L(53-61cm)

ペツル『ボレオ』

汎用性と耐久性に優れた『ボレオ』は、クライミングやマウンテニアリング、ケイビング、ヴィアフェラータ、キャニオニング等、様々なアクティビティで使用できます。ハイブリット構造により、コンパクトさと頭部の保護を両立し、前部、側部、後部からの衝撃に対する保護性能を強化しています。最適なボリューム感、通気孔を大きくとることにより、あらゆるアクティビティで高い快適性を発揮します。

種類ハードシェル
重量285g(サイズS/M)
価格¥7,128(税込)
サイズS/M(48-58cm)、M/L(53-61cm)

ブラックダイヤモンド『ビジョン』

ブラックダイヤモンド ビジョン

ブラックダイヤモンドのヘルメットの中では最も堅牢なモデルで、発泡ポリプロピレンEPPと発泡性ポリスチレンビーズ(EPS)という2つのフォームを配置し、ポリカーボネートシェルを組み合わせることで軽量性と耐久性を両立させた作りとなっています。

種類インモールド
重量220g(S/Mサイズ)
価格¥10,890(税込)
サイズS/M(53~59cm)、M/L(58~63cm)

ブラックダイヤモンド『ハーフドーム』

ブラックダイヤモンド ハーフドーム

長きに渡ってクライマーの重要アイテムだったハーフドームもついにモデルチェンジ。すっきりしたサスペンションシステムとヘッドランプクリップ、片手で操作できるダイヤルなどを搭載し、快適・シンプルに生まれ変わりました。

種類ハードシェル
重量340g(S/Mサイズ)
価格¥5,940(税込)
サイズS/M(53~59cm)、M/L(56~63cm)

マムート『Crag Sender Helmet』

マムート『Crag Sender Helmet』

通気性が高く、軽量性に優れたクライミングヘルメットです。ハードな登山で快適性をもたらし保護力においてもトップクラスに優れた特徴を備えています。特別な形状によるアットアーマーへのフィット感と薄型でかぶりやすく、装備として持ち歩くのにも利便性を高めたデザインに仕上がっています。

種類インモールド
重量199g(S/Mサイズ)
価格¥13,200(税込)
サイズS/M(52~67cm)、M/L(56~61cm)

マムート『Wall Rider』

マムート『Wall Rider』

ハードシェルにも関わらず非常に軽量なヘルメットに仕上がっています。多数の通気口による通気性と頭の形に合わせて調整可能なシステムによってフィット感に優れています。ヘッドランプをヘルメットに固定するためのクリップもついており、様々なシーンで活用できる登山用ヘルメットです。

種類ハードシェル
重量225g(S/Mサイズ)
価格¥14,300(税込)
サイズS/M(52~67cm)、M/L(56~61cm)

ヘルメット周辺のおすすめアイテム

登山時にヘルメットを装備に加える場合のおすすめアイテムを紹介します。

登山用外付ポーチ ヘルメットホルダー

さまざまなバックパックに取り付け可能な外付け用ヘルメットホルダーです。4箇所のフックをバックパックのギアループやサイドストラップに取り付ける事で、簡単にヘルメット収納が可能です。

登山用外付ポーチ ヘルメットホルダー

山岳遭難の都道府県別ランキングから見るヘルメットの重要性

平成24年の山岳遭難の発生状況を都道府県別にランキングした表が以下となります。遭難事故の原因に道迷いなどがあることから、一概にヘルメットの重要性を明らかにするものではありませんが、1つの指標としてヘルメットの重要性を深掘りしてみたいと思います。

※横スクロールで表がスクロールできます。
都道府県山岳遭難の発生件数死者行方不明負傷無事救出未帰還率
1長野県2544281597017.9
2北海道1551724112710.2
3静岡県97153347414.3
4神奈川県9312-44679.8
5富山県107142544713.7
6群馬県717-34756.0
7山形県968-54497.2
8秋田県89145285618.4
9兵庫県758-36568.0
10三重県668-27549.0
11新潟県7192324512.5
12山梨県83231412327.3
13東京都785354239.4
14岐阜県6512-373015.2
15青森県6482155213.0
16滋賀県402-24462.8
17福島県492-29303.3
18埼玉県4542232910.3
19奈良県364-17298.0
20石川県413-25216.1
21大分県29--10340.0
22岩手県363-18168.1
23鳥取県276116723.3
24栃木県2531101414.3
25宮城県192-10147.7
26京都府153151715.4
27大阪府18--8170.0
28愛媛県233-81213.0
29熊本県91-7154.3
30鹿児島県17--9100.0
31愛知県82--1511.8
32広島県141-3126.3
33宮崎県131111312.5
34福井県111-596.7
35徳島県111--146.7
36佐賀県71-289.1
37和歌山県61-1711.1
38島根県62-2328.6
39茨城県5--230.0
40福岡県4--130.0
41岡山県3-11133.3
42高知県21--233.3
43長崎県2---20.0
44千葉県1---10.0
45山口県1---10.0
46沖縄県1---10.0
47香川県------

上の表からもわかるように山岳遭難の件数が圧倒的に長野県が多く、次いで北海道と続きます。長野県といえば北アルプス北部から南部にかけてと、南アルプス、中央アルプス、戸隠連峰といった急峻な山々が多い県です。北アルプスは長野県以外に岐阜県と富山県も含まれているため、以下のリストを見た時に疑問が湧くと思います。

※横スクロールで表がスクロールできます。
山域名指定する山域
北アルプス南部槍・穂高連峰のうち、北穂高岳から涸沢岳・屏風岩、前穂高岳(北尾根から吊尾根)一帯、西穂高岳から奥穂高岳、北穂高岳から南岳(大キレット)、北鎌尾根・東鎌尾根の区域
北アルプス北部不帰の嶮周辺、八峰キレット周辺
南アルプス甲斐駒ケ岳、鋸岳
中央アルプス宝剣岳
戸隠連峰戸隠山、西岳

長野県が山岳遭難防止対策協会を立ち上げ平成25年に山岳ヘルメット着用奨励会山域を指定したのですが、剣岳など富山県に属しているためこの表には入っていません。また八ヶ岳も危険な場所がいくつかありこれらも記述されていません。

地方行政間のコミュニケーション力のなさから消費者に勘違いをもたらす情報となってしまっておりますが、あくまでもこれらの情報は参考と考え、しっかりと責任を持って上記以外の山域でもヘルメットが重要だと思われる場所では装備に加えるようにしましょう。

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