他とは差別化を重要視するオーストラリアのブランド「シートゥサミット」から、新発想で多彩な設営モードを備えた超軽量テントが注目を集めています。スリーピングバッグやマット、クッカーやカップに至るまで、特徴的なアイテムが多いシートゥーサミットが作り出すテントはいかなるものか?実際の使い心地から紐解いていきます。
おすすめポイント
- シートゥーサミットのテントの中で最も軽量でペグやガイライン、スタッフサックを含めて1,217g。
- 早い設営、テンションリッジポールによる居住空間の広さを両立させている。
- スタッフバッグがテント内に備え付けられたスナップボタンに取り付けることでテント内のポケットとして機能。
- スリット状に持ち上がっているベンチレーターで効率的に換気
商品概要
ブランド | シートゥサミット |
商品名 | アルトTR1 |
商品説明 | 超軽量テントは窮屈で不快 - そんな先入観を覆すのがアルトシリーズ。高い天井高、大型ドア、効果的な換気性能。 |
重量 | 1,217g (ミニマム重量に加えペグ、スタッフサック、ガイライン) |
価格 | 48,400 |
管理人の評価・レビュー
総合評価 | ★★★★☆ |
軽量性 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
汎用性 | ★★★★☆ |
シートゥーサミットのテントは2モデル×2種類×2サイズ
完全自立型のテロスTRと半自立型のアルトTRの2モデルがあり、それぞれインナーテントにおけるメッシュ地の使われ方でさらに2種類、サイズの違いでテロスTRが2、3人用、アルトTRは1、2人用と合計8種類の展開です。
ボトム以外がメッシュ生地となっているハーフメッシュモデルがスタンダードとするならば、メッシュ生地部分が2重生地で、ファスナーによってメッシュ地に切り替えることができるフルパネルは、商品名にプラスがついています。この8種類の中でも最も軽量なアルトTR1テントをレビューします。
アルトTR1とアルトTR1プラスの使い分け
アルトTR1はシートゥーサミットのテントの中で最も軽量でペグやガイライン、スタッフサックを含めて1,217gというスペックです。これがフルパネルモデルのアルトTR1プラスだと1,335gとなり118gの差があります。
実際にレビューした時期と場所は9月上旬の涸沢でしたが、軽量であるとはいえ冷気の侵入が素晴らしく(アルトTR1は熱気や湿気を逃す通気性に特徴があります。詳しくは後述。)夜は少し寒く感じました。夏は涼しく快適でしょうが、初春や晩秋の肌寒さを感じる季節にはフルパネルモデルの選択をおすすめします。
広々とした居住空間
超軽量でありながらも天井高が100cmというスペックで窮屈だとは感じず広々と過ごすことができました。
テントポールはスリーブではなく吊り下げ式にもかかわらずこの天井高を出せるのはユニークな上部のテンションリッジポールがあるためです。
吊り下げ式の特徴である、早い設営、テンションリッジポールによる居住空間の広さを両立させた作りです。
快適にテント内で過ごせるギミック
1人用テントとなると荷物の置き場所が困る、窮屈であるという声も聞こえてきそうですが、シートゥーサミットのテントは荷物の整理整頓がしやすいギミックが揃っています。
まずフライシートとインナーテントを入れていたスタッフバッグがテント内に備え付けられたスナップボタンに取り付けることでテント内のポケットとして機能します。この場所は寝たときの頭側なので、サングラスや耳栓など細かなものをしまっておくのに便利です。僕はシュラフやテントマットなどのスタッフバッグを入れました。ひとまとめにすることができるので、撤収時にスタッフバッグを探すことなくスムーズに行動することができます。
一般的な山岳用テント同様にテント内にはメッシュ製のポケットも設けられています。これも頭側に備え付けられています。
スナップボタンは天井にもあります。ここにはポールを入れていたスタッフバッグを取り付けることができます。この筒状のスタッフバッグには明かりを拡散するパネルがついているのでヘッドライトを入れると蛍光灯のようにテント内を明るく照らします。
フロアサイズは長さが215cmでテントマットを置くスペースとなる幅が60〜65cm、最も幅の広い場所で107cmとなっており、テントマットを置いていない三角形のスペースに登山装備類を置いておけます。
通気性による結露軽減
アルトTR1のフライシート上部を見るとわかるようにスリット状に持ち上がっている箇所が換気用のベンチレーターとなっています。天井部分から熱気と湿気を逃し、さらには風を取り込むことで新鮮な空気の循環が促されます。
ベンチレーターがある短辺を風が吹いてくる方向に設営すればテント内で多くの空気を循環させることができるでしょう。このベンチレーター上部は内側からジッパーで開閉することができるので雨が降っていても空気循環の強弱を調整することができます。
実際に夜中冷たい空気がテント内に入り込む様子を肌で感じることができました。夏山テントでは非常に気持ちよく就寝することができるでしょう。
アルトTR1の設営方法は初心者も安心
アルトTR1の設営は一見難しそうに感じましたが行ってみると非常に簡単です。まずはじめにテントポールを組み立て、インナーテントの端3点にポールの先端を指します。
その後インナーテントに備え付けられたフックをポールに吊り下げるように取り付けていきます。
前述したテンションリッジポールはV字型になるようにしてインナーテントに備え付けられたロープを引っ掛けるように取り付けます。
次にフライシートをかけます。最初はテンションリッジポールとフライシートの内側についたアタッチメントを取り付け、またフライシートの内側にあるマジックテープでポールとフライシートを連結させて行きます。
その後フライシートの末端に付いたフック状の金具をインナーテント側の金具に引っ掛けて行きます。色で分かれているのでフライシートの方向を簡単に定めることができます。
ガイラインと付属のペグを使いテンションを掛けて設営完了です。ペグはアルミ合金で非常に軽く、固い地面に打ち付けやすい硬さも備えています。
まとめ
テントを軽量化したいのだけれども居住空間が狭いのは嫌。テントの結露によってダウンなどが濡れてしまうのが心配。夏山のテント泊で、テント内が暑苦しい。
といった悩みを抱えている方に特におすすめできるテントです。
シートゥーサミットならではのアイデアが詰め込まれており、泊まるための手段としてのテントというより、泊まることが楽しくなるようなテントという印象を受けました。