西丹沢は丹沢の中でも山深い場所にあり、静寂と自然のスケールを肌で感じられる魅力あるエリアです。中でも日帰りで楽しめ、かつ登りごたえのあるルートである大室山、加入道山の周回は、西丹沢を訪れたら1度は足を運んで欲しいおすすめルートです。今回は西丹沢の魅力を骨の髄まで堪能できる、大室山〜加入道山周回ルートをご紹介します。
大室山・加入道山の特徴
標高1,587mの大室山、1,418mの加入道山は、神奈川県と山梨県の県境に位置する山です。2つの山は共に展望はさほどなく、登る人も数える程といった、丹沢の中ではマイナーな山といえます。これといった特徴のない印象ですが、2つの山を繋ぐルートは、犬越路を始めとした山と人の歴史の深さを感じさせ、稜線から見る山々は、まるでタイムスリップしたかのような、現代に見れるとは思えない美しい景色が広がっています。
また、ブナを始めとした原生林は見事というしかないほど魅力的で、人と密接に関わりがある丹沢において、自然本来の姿を残した空間はとても貴重です。そしてこの原生林を守ってきた人達を想いながら歩くと、大室山、加入道山は、その目だけでは見えないとても深い山であることを感じ、充実した登山が楽しめます。
紹介する大室山〜加入道山の登山コースについて
今回ご紹介するコースは、大室山〜加入道山で日帰り可能な登山コースです。西丹沢ビジターセンターをスタートし、沢沿いを歩きながら犬越路に向かい、稜線を経て大室山、加入道山を縦走します。標高差と距離のあるルートですが、静かな山歩きと避難小屋での一時など、人気のある山には無い魅力を心ゆくまで楽しめます。
おすすめ度
おすすめ度は「★」で表しています。「★」3つが中級とお考えください。「歩きやすさ」「コース上の眺望」「アクセスの良さ」を考慮して決定しました。おすすめ度が高いほど、丹沢が初めての人におすすめです。
コースタイム
休憩時間を含まない、下山までの移動時間を記載しています。行動途中の休憩、頂上の大休止をプラスした時間が登山にかける時間になります。日帰り可能なコースタイムですが、季節によって日没の時間が早まるので、秋冬といった日没が早い時間は、行動開始を早めるといった対策を取ると良いです。
難易度
「歩く以外の動作が必要か」「コース上に迷うところがあるか」「登山道が整備されているか」を考慮して決定しました。大室山〜加入道山のルートはところどころ足元が緩い路面や急勾配、また崩れた場所もあります。怪我や遭難のリスクを極力下げられるよう、基本的な登山装備をしっかり持ち、時間に余裕を持って行動することをおすすめします。
コース紹介:西丹沢ビジターセンターから丹沢深部、大室山〜加入道山へ
犬越路~用木沢出合間は現在通行止めです。丹沢大山エリアの登山道通行情報が以下にて確認が可能です。
①西丹沢ビジターセンター→②用木沢出合→③犬越路→④大室山→⑤加入道山
コースタイム(休憩時間を含まない、往復の移動時間) | 8時間 |
距離 | 約15km |
累積標高 | 約2,350m |
難易度 | ★★★☆☆ |
おすすめ度 | ★★★★☆ |
山の名前 | 大室山 |
都道府県 | 神奈川県・山梨県 |
標高 | 1,587m |
天気・アクセスなど | 大室山の詳細情報 |
山の名前 | 加入道山 |
都道府県 | 神奈川県・山梨県 |
標高 | 1,418m |
天気・アクセスなど | 加入道山の詳細情報 |
西丹沢ビジターセンターからスタート。用木沢出合を目指します。
用木沢出合を犬越路方面へ向かいます。
始めは沢沿いを行き、ゆっくり標高を上げていきます。
徐々に沢筋を離れ、谷沿いを登ります。
急傾斜を登りきれば、犬越路避難小屋です。ここで少し長めの休憩を取って、避難小屋の快適さを味わうのも良いです。
犬越路以降は、大室山までの稜線を歩きます。
天気が良ければ、西丹沢の奥深い自然を独り占めです。
大室山は加入道山への進路から少し逸れたところに位置し、静かな山頂です。
登山道を引き返し、加入道山へ向かいます。
アップダウンのある稜線で、滑りやすいところもあるので気をつけて歩きます。
加入道山も静かな山頂。
生まれ変わった避難小屋が山頂のそばにあります。
休憩を取った後は、西丹沢ビジターセンターを目指して下山を始めます。
途中にある白石大滝。はっきりは見えませんが、それでも美瀑であることが十分に分かります。
沢筋に降り、用木沢出合へ
無事下山しました。
大室山〜加入道山トイレ情報
登山口である西丹沢ビジターセンター、途中にある犬越路にトイレがあります。日帰りとして長い時間を歩くことになるので、西丹沢ビジターセンターで出発前に済ませておくと良いです。
大室山〜加入道山駐車場情報
登山口の西丹沢ビジターセンターに無料の駐車スペースがあります。台数は約10台程度と少ないので早めの到着が望ましいですが、すぐに埋まってしまうことが多いので、その場合は近隣のキャンプ上であるウェルキャンプ西丹沢の駐車場を有料で利用することが出来ます。
※西丹沢ビジターセンター前に路上駐車出来そうなスペースがありますが、駐車は出来ないのでご注意ください。
西丹沢ビジターセンターまでのアクセス
マイカーの場合、大井松田ICから246号線を行き、西丹沢ビジターセンター方面に入り1時間ほどです。
公共交通機関利用の場合、小田急線新松田駅、JR御殿場線松田駅から、富士急行バスで西丹沢ビジターセンター行き終点下車で1時間ほどです。
大室山〜加入道山の観光情報
山の店ウエレン
新松田駅にあるアウトドアショップで、早朝から営業、ロッカーやシャワールームなど、西丹沢へ足を運ぶ登山者の方に嬉しい設備が完備されています。「ガス缶忘れた・・」「温泉寄る暇無かったけど汗を流したい」そんな時にとてもありがたく、こじんまりとした店内には通な道具が並び、丹沢Tシャツを始め、このエリアでしか購入できない地元ならではのアイテムも。
ウェルキャンプ西丹沢
西丹沢ビジターセンターのそばにあるキャンプ場です。広い敷地と目の前を流れる中川川は、ゆっくりと丹沢の自然を満喫するのに最適なロケーションです。前泊しても良し、登山後に泊まっても良し、西丹沢のベースキャンプとして利用するのが良いです。
山北町立 中川温泉ぶなの湯
登山口である西丹沢ビジターセンターに向かうルート上にある温泉で、マイカーでも路線バスでも立ち寄れる好立地にあります。丹沢の清流を聞きながら入る温泉は格別で、気が付くとつい長居してしまいます。公共施設ならではの良心的な価格設定も嬉しいポイント。
おすすめ登山道具
大室山・加入道山は丹沢の中でも標高の高い稜線を歩きます。低山でも紫外線の影響はあり、長時間日差しに晒される登山において、アイウェアは実はとても大切な登山道具です。夏や雪山といった紫外線の強そうな時期に重宝しそうなイメージですが、実は春も要注意で、通年の使用が必要です。登山では軽量でフィット感が高いモデルが適しています。サングラスは豊富なラインナップがあるので、自分の好みにあったモデルを選べる嬉しさがあり、登山がより楽しくなりますね。
大室山〜加入道山で丹沢の山深さを堪能しよう!
丹沢の奥地にある大室山・加入道山は、山の自然を多く残し、その美しさを静かな山歩きとともに楽しめる貴重な山です。山頂までの道は楽ではありませんが、その苦労に見合う山の魅力を全身で感じることが出来ます。下山後は山の楽しみを共有できるお店や、身体を癒せる温泉、贅沢に泊まれるキャンプ場など、1日を通して登山を心ゆくまで味わえるなど、西丹沢は山の醍醐味が詰まっています。
大室山・加入道山を登って、丹沢の自然を満喫してくださいね。