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尾瀬ハイキングの魅力-周辺の山々と植物

尾瀬ハイキングの魅力-周辺の山々と植物

尾瀬散策のハイライトといえば、なんといっても尾瀬沼と尾瀬ヶ原を挙げなければならない。しかし、この2大ハイライトも燧ヶ岳と至仏山という尾瀬の盟主なくしては、これほど魅力的な景観にはならなかっただろう。さらに三条ノ滝や平滑ノ滝、燧裏林道、アヤメ平などがより彩のある尾瀬をつくりだしている。また周囲にそびえる会津駒ヶ岳や田代山などの秀峰群にも心ひかれる。

燧ヶ岳の噴火でできた自然の宝庫、尾瀬沼

燧ヶ岳の噴火で只見川がせき止められてできた沼。群馬と福島の県境にあり、1665mの高所に広がっている。周囲約6km、水深は最深部で約9m。湖畔には大江湿原をはじめ大小さまざまな湿原が点在し、それらを縫うように沼を一周する木道が敷かれている。

沼山峠から尾瀬沼の難易度:初級者におすすめの日帰りハイキング

長蔵小屋

①沼山峠休憩所→②沼山峠→③沼山峠展望台→④小淵沢田代分岐→⑤大江湿原→⑥創始者平野長蔵翁の墓→⑦長蔵小屋

必要日数日帰り登山
総コースタイム※2時間10分
距離約6.4km
累積標高約212m
難易度★☆☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

本州最大の湿原、尾瀬ヶ原

東西6km、南北1~2kmにおよぶ本州最大の湿原。標高はほぼ1400m、尾瀬沼より200mほど低い。周囲には、燧さらぶせやまヶ岳、景鶴山、至仏山、血伏山などの山々がピークをもたげ、のびやかな原によいアクセントをつけている。原けいづるやまは北東から下田代、中田代、上田代の三つに大きく分かちとうれる。豊富な湿生植物や池など見どころは尽きない。

鳩待峠から尾瀬ヶ原:尾瀬ヶ原へのスタンダートなルート

尾瀬山の鼻ビジターセンター
8月の尾瀬山の鼻ビジターセンター

①鳩待峠→②尾瀬山の鼻ビジターセンター→③上田代→④牛首分岐

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※1時間40分
距離約5.3km
累積標高約40m
難易度★☆☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

東北地方の最高峰、燧ヶ岳

標高2356m、尾瀬ばかりでなく東北地方での最高峰。山頂部は最高点の巣妥館三角点峰のそれにミノブチ岳、御池岳、赤ナグレ岳の5峰からなる。尾瀬では一番新しい火山だが、有史以来噴火の記録はない。

長英新道から燧ヶ岳-最もよく知られている登山ルート

燧ヶ岳

①尾瀬沼キャンプ場→②浅湖湿原→③ミノブチ岳→④俎嵓(まないたぐら)

場所福島県・尾瀬周辺
必要日数1泊2日登山
上りコースタイム※3時間15分
距離約5.2km
累積標高約710m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

高山植物の宝庫、至仏山

燧ヶ岳とは好対照な穏やかな山容を見せる。標高2228.1m、尾瀬では燧ヶ岳に次ぐ高さ。生成は噴火によるものではなく、海底からの隆起による。山頂一帯は高山植物のお花畑が覆い、抜群の眺望ともども目を楽しませてくれる。

鳩待峠から至仏山:最短で登頂可能な登山コース

至仏山

①鳩待峠→②笠ヶ岳分岐→③小至仏山→④至仏山

場所群馬県・尾瀬周辺
必要日数日帰り登山
総コースタイム※4時間
距離約9.3km
累積標高約740m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定
山の名前至仏山
都道府県群馬県
標高2228m
天気・アクセスなど至仏山の詳細情報

日本の滝100選に納得、三条ノ滝・平滑ノ滝

尾瀬ヶ原の水を集めた只見川に連続してかかる。上流に平滑ノ滝、その直下に三条ノ滝があり、対照的な様相を見せる。平滑ノ滝は全長約500m幅20~80mの一枚岩の上を滑るように流れ落ちている。「日本の滝100選」選定の三条ノ滝は落差約90mを一気に落とし、豪快そのもの。

奥只見湖から三条ノ滝:渡船を使って行く尾瀬ヶ原

三条ノ滝・平滑ノ滝

①小沢平駐車場→②渋沢(しぼさわ)温泉小屋跡→③兎田代→④段吉新道分岐→⑤赤田代→⑥東電分岐

必要日数1泊2日登山
総コースタイム※4時間25分
距離約8.1km
累積標高約831m
難易度★★☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

歴史から学び自然を考える、アヤメ平

標高1968.8mを最高点にするアヤメ平火山、その北東面に広がる高層湿原の木道敷設の手遅れなどで荒廃がすすみ、現在は湿票の再生が試みられている。ここからの巻ヶ岳は尾瀬を代表する景観のひとつ。

富士見峠からアヤメ平鳩待峠:歴史と眺めを心に刻むハイキング

荒廃したアヤメ平
荒廃したアヤメ平 昭和30年(出典:東京パワーテクノロジー)

①富士見下→②富士見小屋跡→③アヤメ平→④横田代→⑤鳩待峠(尾瀬ヶ原入口)

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※4時間20分
距離約11.6km
累積標高約788m
難易度★★☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

南会津の盟主、会津駒ヶ岳

山頂一帯が湿膜に覆われ、なんとものびやか。北方2kmほどの中門岳と南方3kmほどの天津岐峠を結ぶ稜線上にまでそれが及んでいる。標高は2133m、南会津の盟主と呼ぶにふさわしい量感がある。山麓の檜枝岐村は平家落人の里として名高い。

滝沢橋から会津駒ヶ岳キリンテ

会津駒ヶ岳

①駒ヶ岳登山口→②滝沢登山口→③水場入口→④駒の小屋→⑤会津駒ヶ岳→⑥大津岐峠→⑦会津駒ヶ岳キリンテ登山口

場所福島県・南会津
必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※8時間5分
距離約13.7km
累積標高約1,414m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定
山の名前会津駒ヶ岳
都道府県福島県
標高2,133m
天気・アクセスなど会津駒ヶ岳の詳細情報

天国のよう佇まいが魅力、田代山

栃木と福島の県境に連なる帝釈山脈の西部、主峰帝釈山の東隣にピークをもたげる。標高1971m、山頂はその名のとおり広い田代湿原。山麓に湧く山のいで湯、木賊温泉と湯ノ花温泉が山旅をより充実させてくれる。

田代山

猿倉口から田代山・帝釈山・木賊温泉へ

①猿倉登山口→②田代山→③帝釈山→④田代山山頂湿原→⑤川衣水芭蕉群生地→⑥木賊温泉

場所福島県・南会津
必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※8時間10分
距離約18.0km
累積標高約966m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定
山の名前田代山
都道府県福島県
標高1,926m
天気・アクセスなど田代山の詳細情報
山の名前帝釈山
都道府県福島県・栃木県
標高2,060m
天気・アクセスなど帝釈山の詳細情報

自然美に圧倒される、鬼怒沼湿原

鬼怒沼山と物見山との間にひろがる。2030mの平坦地に大小の池が点在し、周囲の木々と鬼怒沼山や日光連山ヶ岳などの山姿が独特の美しさをつくりだしている。

奥鬼怒から物見山・大清水の難易度:温泉と湿原を楽しむ中級者登山

奥鬼怒から物見山・大清水

①日光澤温泉→②鬼怒沼→③鬼怒沼巡視小屋→④物見山→⑤大清水湿原

必要日数1泊2日登山
総コースタイム※10時間40分
距離約19.2km
累積標高約1,867m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

尾瀬の自然

尾瀬の自然はどのように移ろうのだろう。湿原はどのような成り立ちをするのだろう。尾瀬ヶ原に特徴的に見られる自然の造形を知りたい。尾瀬の植物にはどのような特徴があるのだろう。そして尾瀬にはどんな動物たちが棲んでいるのだろう。そんな尾瀬の自然のアウトラインをガイダンス。気の遠くなるような時間が育んだ自然の様相をじっくり観察してほしい。

季節と大きく関係する尾瀬の複雑な気候

太平洋気候と日本海気候、さらに本州中央高原気候とに影響される尾瀬の気候はとても複雑だ。

春の訪れは遅く4月下旬から5月初旬にかけて。それでもときには氷点下5℃といった冬のような寒さに戻ることもある。5月下旬から6月中旬にかけてはミズバショウの季節。それが終わると梅雨に入る。梅雨明けは7月中旬以降。いよいよ、尾瀬がもっとも賑わう季節になる。ただしこの時期、ほかの山域より雷の発生が多くなり注意がいる。

8月も下旬に入ると最低気温の平均値が10℃以下に下がってくる。9月になればぐっと秋の気配が濃くなる。9月下旬から10月上旬にかけてが紅葉のシーズン。それと同時に新雪をみる時期でもある。9月下旬に至仏山を登った時、風花のような粉雪が降ってきた経験がある。10月以降の入山はある程度の冬支度が必要だ。10月末日までには、ほとんどの山小屋が営業を終え、登山口へのバスの運行も停止する。こうして、いよいよ雪に閉ざされた本格的な冬に入っていくのである。

尾瀬では田代と呼ばれる湿原

尾瀬の景観に湿原(尾瀬では田代と呼ばれる)は欠かせない存在だ。尾瀬ヶ原を筆頭に大小さまざまな湿原が数多く点在し、散策をより豊かなものにしてくれる。

湿原は生成過程によって、低層湿原、中層湿原、高層湿原の三種に大きく分けられる。このうち高層湿原は、湖沼にミズゴケ類が繁茂し、その枯死したものが堆積して泥炭層になり、やがて水面を覆ってできる。尾瀬ヶ原

もこうしてできた湿原。燧ヶ岳の噴火で只見川がせき止められて古尾瀬ヶ原湖ができ、それが高層湿原化したもの。現在の姿になるまで約6000年を要したという。

尾瀬ヶ原でとくによく見られるのが池塘。窪地に水が溜まり、水辺に進出した植物が堤をつくっているもので、大小合わせて300個に及んでいる。池塘には浮島と呼ぶ小島を浮かべるものが多い。また尾瀬ヶ原では川の両岸にダケカンバやブナなどの落葉広葉樹を主体にした樹林ができている。これを拠水林と呼ぶ。

オゼという名のついた特産植物の宝庫

歴史の新しい火山の燧ヶ岳、古生層の山の至仏山、低・中・高層とそれらの中間にまで及ぶ多様な湿原、尾瀬にはじつにさまざまな自然の造形がある。こうした特有の地形や地質に加え、緯度、高度、気象などの諸条件が、ほかの山域では見ることのできない尾瀬独自の豊かな植物相を生みだしている。その数、シダ植物以上の高等植物で800種に及ぶという。

数ばかりでなく、種類の珍しいものも少なくない。例えば、オゼヌマアザミ、オゼミズギクといった尾瀬の特産植物。そして、尾瀬で発見されて植物名がつけられたオゼソウやオゼコウホネなどの原産植物。ムシトリスミレやモウセンゴケなどの食虫植物も豊富で、とくにナガバノモウセンゴケは北海道天塩円山湿原と尾瀬にだけ分布する珍種だ。至仏山では、谷川岳とここだけに自生するホソバヒナウスユキソウが見られる。

尾瀬の自然を楽しむ動物たち

尾瀬でもっとも身近な動物というと、トンボだろう。池塘の水面をかすめたり、木道でひと休みしたり、ヒョウキンな姿をよく見せてくれる。40種ほどが分布しているが、オゼイトトンボ、ハッチョウトンボ、アオイトトンボなどが観察しやすい。トンボ同様、多種分布しているのがチョウ。しかし、尾瀬のチョウは森林性のものが多く、意外にその姿を見かけない。それでも尾瀬ヶ原ではシータテハやミドリヒョウモン、至仏山ではベニヒカゲやクジャクチョウ、森林ではカラスシジミやクロヒカゲモドキなどが舞姿を見せてくれるかもしれない。

野鳥も親しみやすい。春を告げるようにブナ林でさえずりだすのはヒガラなどのカラ類。夏が近づくと尾瀬ヶ原は絶好のバードウオッチングエリアになる。ホオアカやノビタキたちが低木の先端にとまってさえずるのを見ることができる。周囲の森からはツツドリやカッコウの声が聞こえてくるはずだ。また尾瀬沼や尾瀬ヶ原の沢ではマガモ、コガモといったカモたちがのどかに浮く姿が見られる。燧ヶ岳や至仏山に登るとイワヒバリやホシガラスが手の届くところまで近づいてくるだろう。尾瀬ヶ原中田代で下ノ大堀川を渡るとき、よく魚影を見る。以前、尾瀬ヶ原では毎年のようにヤマメとイワナを数万匹放流していた。それが現在見られるような体長30cmほどのものに成長したらしい。同じように尾瀬沼ではマスを放流しており、時々その魚影を見かける。哺乳類は夜行性のものが多く、あまり見かけることはない。おもな生息種は、テン、オコジョ、キツネ、ニホンジカ、ニホンカモシカ、ツキノワグマなど。

尾瀬沼ビジターセンターで学べる自然

尾瀬沼で時間があったら、長蔵小屋の正面に建つ尾瀬沼ビジターセンターを訪れてみよう。尾瀬に関する各種の資料を展示しているので自然観察に役立つはずだ。

  • 開館時期 : 5月中旬 ~ 10月下旬 (開館期間中は休館日なし)
  • 開館時間 : 7:30 ~ 16:00
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