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尾瀬ヶ原ハイキング-難易度別8コース・おすすめ日帰りコースもあり

尾瀬ヶ原ハイキング-難易度別8コース・おすすめ日帰りコースもあり

いわずと知れた、広大な高層湿原。この尾瀬ヶ原に最も簡単にアプローチできるのが鳩待峠からのコースだ。尾瀬沼からのコースをとって、尾瀬の2大ハイライトを結ぶのもよい。奥只見湖からのコースや御池から燧裏林道をたどるコースは、静かな山旅を味わいたい人向き。富士見峠からはアヤメ平、八木沢、長沢をそれぞれ経由する三つのコースがある。

尾瀬ヶ原の概要・気温について

群馬県利根郡片品村と福島県南会津郡檜枝岐村にまたがって位置する沼で面積は1.81km²。只見川の最上流に位置し、尾瀬ヶ原に比べると240 m程標高が高く1,660mの場所にある沼。

指定尾瀬国立公園、日本百景
都道府県福島県、群馬県、新潟県
標高1,400m

※横スクロールで表がスクロールできます。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
最高気温 -5.2 -4.8 -1 6.9 14.2 17.7 21.2 22.3 16.5 10.5 5 -1.2
最低気温 -13 -14 -9.5 -4.6 0.9 6.1 10.7 11.5 7.8 0 -4.8 -9.7

尾瀬沼から尾瀬ヶ原:初心者にも安心な尾瀬ヶ原へのルート

尾瀬沼から尾瀬ヶ原

①長蔵小屋別館→②沼山峠→③浅湖湿原→④オンダシ→⑤沼尻→⑥白砂峠→⑦段小屋坂→⑧見晴新道分岐→⑨見晴キャンプ場

必要日数1泊2日登山-長蔵小屋に一泊したところからスタート
総コースタイム※2時間50分
距離約7.1km
累積標高約102m
難易度★☆☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

長蔵小屋から大江湿原に入り、すぐに左手の尾瀬沼北岸沿いの道を沼尻へと向かう。長英新道を右に分けると浅湖湿原に出る。大入洲半島の林をぬけ、いくつかの小湿原を通れば、沼尻休憩所の建つ沼尻に着く。

沼尻休憩所の西側の樹林帯に延びる木道を進む。すぐに木立も深くなり、道は沼尻川に沿ってゆるやかに下って行く。下りきると白砂沢の流れを渡り、白砂田代に出る。ちょうど中央には、木道の左右に池塘があり、よいアクセントになっている。

湿原が終わると再び針葉樹林の中へ入り、5分ほど登る。登りきったところが白砂峠(白砂乗越)だ。ここがちょうど尾瀬沼と尾瀬ヶ原との境界にあたり、あとは尾瀬ヶ原までひたすら下って行くことになる。

白砂峠をあとに沼尻川に向かって急坂を下るが、露岩の多い道は足元に要注意だ。やがて山腹をたどるようになると、ゆるやかな下りがつづく。ダンゴヤ沢を渡ったあたりは段小屋坂とも呼ばれ、下り道はまだまだつづいている。しかし、小広い河原のイヨドマリ沢に着けば、もうひと息といったところ。木道を渡り、沢を離れて10分ほど行くと、右から見晴新道を合わせる。さらに10分ほどゆるやかに下って行けば見晴に飛び出す。

鳩待峠から尾瀬ヶ原:尾瀬ヶ原へのスタンダートなルート

尾瀬山の鼻ビジターセンター
8月の尾瀬山の鼻ビジターセンター

①鳩待峠→②尾瀬山の鼻ビジターセンター→③上田代→④牛首分岐

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※1時間40分
距離約5.3km
累積標高約40m
難易度★☆☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

戸倉(鳩待峠行バス連絡所)で鳩待峠行きのバスに乗り換えて約30分、多くのハイカーで賑わう鳩待峠に到着。東側に食堂と売店を兼ねた鳩待峠休憩所がある。その北隣ちょっと奥まったところには鳩待山荘が建っている。

バス停の北側に広がる駐車場の中を進み山ノ鼻へ向かう。駐車場の最奥で、左に至仏山への登路が延びているが、山ノ鼻へは直進。すぐに階段状に整備された登山道を下って行く。

始めはやや急な下りだが、やがて山腹道をたどるようになり、さらにゆるく下るとヨセ沢を渡る。この先もほぼ山腹道がつづき、テンマ沢を渡れば川上川の川床を進むようになる。川上川を渡ってブナ林の中を行くと左に山ノ鼻キャンプ場が広がり、すぐ右手には山の鼻ビジターセンターがある。その先、右側に至仏山荘が現れ、広場のようなスペースが広がっている。

至仏山を背にして尾瀬ヶ原に入って行く。右手には山の鼻小屋と尾瀬ロッジがある。二条の木道が大湿原の中に延びている。湿原が最も狭まる牛首を過ぎれば中田代三叉路(牛首分岐に着く。ここで木道は二手に分かれる。右にとれば竜宮十字路を経て見晴、左にとればヨッピ吊橋を経て東電小屋へ行ける。

富士見峠からアヤメ平鳩待峠:歴史と眺めを心に刻むハイキング

荒廃したアヤメ平
荒廃したアヤメ平 昭和30年(出典:東京パワーテクノロジー)

①富士見下→②富士見小屋跡→③アヤメ平→④横田代→⑤鳩待峠(尾瀬ヶ原入口)

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※4時間20分
距離約11.6km
累積標高約788m
難易度★★☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

かつては山上の楽園とも呼ばれていたアヤメ平。しかしいまその面影はまったくといっていいほどない。来訪者の影響で荒廃してしまった。それでも、ここから望む燧ヶ岳と至仏山はことのほか素晴らしく、そのためだけでも訪れてみる価値のあるところだ。

アヤメ平

アヤメ平への起点になるのは富士見峠または鳩待峠。ここでは富士見峠からのコースを紹介しよう。富士見峠へは戸倉(鳩待峠行バス連絡所)または鎌田から富士見下行きのバスを利用する。富士見下からは2時間45分ほどの林道歩きで富士見峠に着く。

富士見峠はその名のとおり、ときには富士山が遠望できるほどの高所。とくに南面の広がりが素晴らしい。この峠に富士見小屋がある。部屋によっては見事な展望が居ながらにして楽しめる

富士見小屋から林道を離れ、西へ向かって歩き始める。案内板の脇を通ると木道が始まる。さっそく富士見田代が広がり、西端で尾瀬ヶ原へ下る長沢新道が右に延びている。アヤメ平へはそれを分けて直進する。

セン沢田代を過ぎると、コメツガなどの樹林の中をたどるようになる。樹林がきれると、前方にたいらな頂稜が見えてくる。ふたたび樹林に入り、それをぬけると湿原を登るようになる。傾斜が落ちてくれば広々としたアヤメ平に出る。復元作業の施された湿原の東寄りにテラスとベンチが設けられている。周囲には見事な展望が広がり、とくに湿原の上に鋭峰をもたげる燧ヶ岳が素晴らしい。なお、湿原の復元は年度ごとに区画を定めて進められ、すでに全面に施されているが、旧に復するのはまだまだ先のようである。

アヤメ平を貫く木道を進み、少し登ったピークが中原山。山頂の一角にベンチがあり、中央部には3等三角点が置かれている。山頂をあとにササと疎林の中を下って行くと、横田代の最上部に着く。傾斜面を覆うように湿原が広がっており、その中を木道が延々と延びている。ところどころにベンチもあって、至仏山や景鶴山、平ヶ岳などを眺めながら休憩できる。また、初夏から夏にかけては、さまざまな花に彩られる。とくにワタスゲの群落が見事。7月上旬から中旬にかけて、綿帽子のような果穂をつけて、風に揺れる姿は愛らしい。

ワタスゲの群落

横田代の西端から樹林の中へ入る。一帯は中ノ原と呼ばれるところ。オオシラビソ、コメツガ、ブナなどの混成林の中に続く木道をたどって行く。しばらくゆるやかな下りが続き、ときどき樹間越しに至仏山が見られる。やがて木道が終わり、周囲にブナの大樹が見られる急斜面を下るようになると、まもなく鳩待峠に出る。

鳩待山荘の横を通って鳩待峠の広場へ進む。鳩待山荘の左側には食堂と売店を兼ねた鳩待峠休憩所が建っている。いままでの静寂が嘘のような賑わいぶりをみせているだろう。戸倉へのバスは休憩所の前から出ている。尾瀬ヶ原へは広場の北側最奥に登山道がある。

富士見峠から八木沢道:静かな山旅を楽しむ尾瀬ヶ原へのルート

富士見峠から八木沢道

①富士見下→②富士見峠→③昼場→④八木沢橋→⑤見晴キャンプ場

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※4時間35分
距離約11.6km
累積標高約713m
難易度★★★☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

富士見峠へは鳩待峠からアヤメ平を越えて約2時間30分。富士見下からは約2時間45分。富士見下行きのバスは戸倉(鳩待峠行バス連絡所)または鎌田から利用できる。

富士見小屋をあとに、東にのびる林道を進む。地図上の富士見峠に着いたら林道を離れ、道標に従って左の登山道へ入る。そのまま林道を進むと白尾山から尾瀬沼へ行くコースになる。

急に道幅も狭くなり、十二曲りと呼ばれるジグザグの急坂をしばらく下る。周辺は鬱蒼とした巨木に覆われているが、ときどき樹間から皿伏山が望める。

コースもほぼ半ばというころ、2箇所から水流のある昼場に出る。小広くなっており、休憩するのによいところだ。さらに高度を下げて行くと、八木沢の沢音が次第に大きくなり、道も徐々になだらかになってくる。

八木沢橋で八木沢の流れを渡り、ほとんど平坦な道をいくつかの小沢を渡りながら進む。平坦になってからが意外に長く、道もぬかるんで歩きにくい。しかし、ブナなどの茂る明るい林を行くと、左手に湿原が見えて尾瀬ヶ原の一角に着いたことがわかる。まもなく見晴キャンプ場が現れ、燧小屋の前を通れば山小屋の建ち並ぶ見晴の広場に出る。

富士見峠から長沢新道:眺望を楽しめる尾瀬ヶ原へのコース

龍宮小屋

①富士見下→②馬洗淵→③富士見小屋跡→④土場→⑤長沢頭→⑥龍宮小屋

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※4時間20分
距離約10.0km
累積標高約679m
難易度★★☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

富士見峠から尾瀬ヶ原へ直接下るルートは、前項の八木沢道から見晴へ下るものと、長沢新道を経て竜宮十字路に下るものとがある。長沢新道ルートは、富士見峠越えの中では、最も短時間で尾瀬ヶ原の核心部へ行くことができるところから、利用者の多いコースだ。

富士見峠で富士見小屋の西方へ進路をとる。すぐに木道になり、富士見田代が広がる。田代の端にアヤメ平への分岐がある。時間に余裕があればアヤメ平を往復し、池塘越しに至仏山や燧ヶ岳の眺望を楽しむのもよい。

アヤメ平との分岐を右に、長沢新道へ入って行く。しばらく傾斜のゆるい木道がつづき、ベンチの設けられた土場に出る。さらに木道はつづき尾根上を下って行く。長沢頭の道標を過ぎると、急下降に変わる。尾根を乗り越すように右に曲がり、岩のゴツゴツした急坂を下る。すると急に長沢の沢音が大きくなってくる。

尾瀬ヶ原を垣間見たのも束の間で、あたりは再びブナなどの深い樹林帯に変わる。数度にわたって長沢を渡り返すと、尾瀬ヶ原の一角に飛び出す。右手の山裾沿いに進み、竜宮十字路へと向かう。竜宮十字路からは左に行けば山ノ鼻、直進すればヨッピ吊橋、右に行けば龍宮小屋を経て見晴にたどり着ける。

奥只見湖から三条ノ滝:渡船を使って行く尾瀬ヶ原

渡船を使って行く尾瀬ヶ原

①小沢平駐車場→②渋沢(しぼさわ)温泉小屋跡→③兎田代→④段吉新道分岐→⑤赤田代→⑥東電分岐

必要日数1泊2日登山
総コースタイム※4時間25分
距離約8.1km
累積標高約831m
難易度★★☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

奥只見湖の銀山平から尾瀬口への渡船は1日2~3便と本数が少ない。奥只見側から尾瀬に向かう場合は、事前にバスや渡船の時刻をよく確認しておこう。

尾瀬口からは御池または沼山峠までのバスが接続しており、尾瀬ヶ原の登山口になる小沢平へもこのバスが使える。所要時間は約20分。この区間を徒歩でたどる場合は、尾瀬口渡船場から一段上を走る国道352号に出て、ひたすら只見川沿いを上流に向かって行けばよい。途中、小白沢と、平ヶ岳の登山口となる鷹ノ巣に山小屋があるので、遅い時間帯に入山した場合はどちらかに宿泊するとよい

小沢平の駐車場から、いよいよ渋沢温泉小屋方面への登山道へ入る。ススキの原を分け木賊沢を渡る。短い急坂を登って一段上がり、只見川沿いの道をゆるやかに登る。あたりはブナ林となり、少しずつ高度を上げて行く。小さな枝尾根を乗越すと、今まで登った分を一気に下って沢に出る。渋沢にかかる橋を渡り、少し登って左へ50mほど行けば清潔感あふれる渋沢温泉小屋がある。道はここから、いよいよ急登になる。渋沢温泉小屋とは反対に右へ曲がると、小さな尾根に取りつく。ジグザグの登りを一歩一歩たどって行く。しばらくして尾根上に出、山腹をたどるようになる。ゆるやかな道を行くと、段吉新道と兎田代との分岐点になるT字路に出る。ここは右にとり三条ノ滝へ向かう。

三条ノ滝

すぐに兎田代が小さく開け、湿原に延びる木道を進んで樹林帯に入って行く。徐々に傾斜を増す斜面を下り、下りきったところが只見川の河岸になる。三条ノ滝へは、この分岐から右に進んで展望台へ。急坂の連続で、木のハシゴを使って下る。展望台に下り立つと、落差90mの迫力ある大滝を眼前に眺めることができる

さきほどの分岐まで戻って、只見川沿いを上流に歩き始める。水はけの悪い道で、ゴツゴツとした岩も現れて歩きにくい。大沢を渡って進み、岩場を登りきると平滑ノ滝展望台に飛び出す。平滑ノ滝は三条ノ滝とは対照的に、ゆるい傾斜上を豊富な水量が流れて、繊細な美ひらめしさがある。

ここまでくれば尾瀬ヶ原まであとひと息だ。まず、木のハシゴが取り付けられた岩場を登る。登りきって滑りやすい急坂を行く。ほどなくして木道が現れると、前方右手に元湯山荘と温泉小屋の屋根が見えてくる。

尾瀬ヶ原温泉休憩所、元湯山荘、温泉小屋を過ぎると尾瀬ヶ原の北端、赤田代が開ける。木道をたどって赤田代をぬけ、赤ナグレ沢を渡って7~8分で東電小屋分岐の三叉路に出る。右が東電小屋への道で、左に進めば見晴に着く。

御池から燧裏林道:燧ヶ岳の北山腹から尾瀬ヶ原へのルート

御池から燧裏林道:燧ヶ岳の北山腹から尾瀬ヶ原へのルート

①御池駐車場→②上田代(うわたしろ)→③西田代→④裏燧橋→⑤段吉新道分岐→⑥東電分岐

必要日数日帰り登山、1泊2日登山
総コースタイム※3時間15分
距離約8.3km
累積標高約309m
難易度★★☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

燧ヶ岳の北山腹をたどる燧裏林道は、尾瀬のメインルートを卒業した人たちが、静かな尾瀬の山旅を求めて訪れることの多いコース。美しい傾斜湿原、ブナやシラビソなどの混生林、越後の秀峰群の展望など、裏燧のよさをじっくりと味わいたいものだ。燧裏林道の入口となるのは尾瀬御池。沼山峠へのバスは尾瀬御池ロッジの前に停車する。車道は尾瀬御池ロッジの西側で大きく左にカーブしている。この車道を渡って広い駐車場へ。

駐車場を横切って樹林の中に入り、燧ヶ岳への道を左に分ける。すぐに、木道がつけられた登山道をたどるようになる。御池田代の南縁を進み、ゆるやかな田代坂を登る。小さな姫田代を過ぎ、針葉樹林の中を10分ほど急登すると上田代に着く。

上田代は燧裏林道の中では最大のもので、池塘を点在させる湿原と、それを縁どる樹木とが見事なバランスで造形されている。また、ここからの展望も素晴らしく、平ヶ岳や荒沢岳、越後駒ヶ岳など、越後の名だたる山々が眺望できる。

上田代の西端から再び樹林の中へ入って行く。すぐに入深沢を渡り、ノメリ田代から横田代に入る。横田代はゆるやかな傾斜上に池塘を点在させ、独特の景観を見せている。田代の中央部で右に大きく曲がり、小さな樹林をぬけると小ぢんまりとした西田代に出る。

西田代をぬけてやや下りぎみになると出戸深沢を渡る。ゆるやかな下り道を進み、ツガの林に入るころ、渋沢温泉小屋への分岐点となる天神田代に着く。ここは田代とはいっても、周囲は深い樹林が覆っていて、ほとんどその面影はない。

裏燧橋

渋沢温泉小屋への道を右に分けて直進する。まもなく吊橋の裏燧橋で渋沢を渡り、左岸に沿いながら下る。すぐに左に曲がり、ブナ林の中を細かい登り下りを繰り返しながら進む。沢をいくつか渡って、左から張り出した小尾根を越すと兎田代と段吉新道との分岐に出る。

兎田代への道をとれば、三条ノ滝を経て尾瀬ヶ原に行くことができる。この分岐から1時間30分ほどで温泉小屋に着ける行程だ。

ここでは左の段吉新道をとることにする。段吉新道は燧ヶ岳の西山腹をほぼ水平にたどるコースで、平坦な道がつづく。中間地点で大権沢を渡り、さらにいくつかの小沢を過ぎると右から三条ノ滝からの道が合流する。平坦な道を5分ほど行けば元湯山荘と温泉小屋の建つ赤田代の北端に着く。

温泉小屋の前はベンチやテーブルの置かれた広場になっており、ひと休みするハイカーが多い。温泉小屋の南側には、のびやかな赤田代が広がっている。赤田代の中に延びる木道を進み、東電小屋分岐の三叉路を左に行けば見晴に出る。

尾瀬ヶ原をめぐる

①尾瀬ヶ原 第二長蔵小屋→②六兵衛堀→③龍宮十字路→④ヨッピ吊橋→⑤ヨシッ堀田代→⑥東電小屋→⑦東電分岐

必要日数1泊2日登山
総コースタイム※1時間50分
距離約6.1km
累積標高約63m
難易度★☆☆☆☆
※「40~50代(または60代)の登山経験者/2~5人のパーティー/夏山の晴天時」を基準に設定

ポイントとポイントを結んで、尾瀬ヶ原をただ通過するだけではあまりにも惜しい。できれば半日以上の時間をとって、のんびり散策を楽しみたい。植物図鑑を片手に歩けば、より充実した尾瀬ヶ原巡りになるだろう。

見晴から木道を歩きだし、竜宮十字路へ向かう。しばらくは正面にたおやかな姿の至仏山を望みながら歩く。小さな樹林の中で六兵衛堀という小川を渡る。再び湿原の中を行くと、さきほどと同じような樹林に入り溶尻川を左岸に渡る。ササの茂る河畔を少し進めば龍宮小屋の横に出る。

沼尻川を渡ったところで下田代は終わり、ここから先は中田代になる。なお、沼尻川は群馬県と福島県との県境にもなっており、東北から関東へ瞬時に移動できる地点でもある。

龍宮小屋の前に出て2~3分進むと竜宮十字路に着く。右に延びる木道はヨッピ吊橋へ、左にのびる木道は長沢新道経由で富士見峠へそれぞれ通じるものだ。ここにはテラスとベンチが設けられ、しかも周囲の展望も申し分なく、絶好の休憩地点になっている。

このあたりから尾瀬ヶ原の核心部ともいうべきエリアに入って行く。多く点在する池塘と、それにアクセントをつける拠水林、燧ヶ岳と至仏山の雄姿、豊富な花々、どこを取っても比類ない美しさだ。

竜宮十字路から少し山ノ鼻方面へ進むと、竜宮の名の起源となったカルスト地形が見られる。左方から流入した水の流れが、木道の下部をくぐり右方で流出するという珍しい現象を起こしているところだ。ぐるりと一周する木道がつけられている。

木道がふた手に分かれ、それもすぐに合流して下ノ大堀川を渡る。この清流ではよくイワナの魚影を見る。さらに10分ほど歩くと中田代三叉路(牛首分岐)に着く。そのまま直進すれば45分ほどで山ノ鼻に行ける。ここでは右にのびる木道をヨッピ吊橋へ向かう。

ほぼ正面に景鶴山、右に燧ヶ岳を望みながら木道をたどる。ヨッピ川に最も近づいたあたりで下ノ大堀川を渡る。ヨッピ川に沿うように、下流へ向かって進む。やがて、ヨッピ吊橋に着く。右にのびる木道は、竜宮十字路へのもの。時間があれば、ここから竜宮十字路近くまで往復してくるとよい。約1時間で往復できる。

ヨッピ吊橋を渡ると、ヨシッ堀田代に出る。ヨシッ堀を渡って前方の高みに建つ東電小屋を目指す。東電小屋と休憩所の間をぬけ、樹林の中を少し歩くと小さな田代がある。この先で只見川にかかる東電尾瀬橋を渡り、赤田代へと進んで行く。10分ほどで三叉路に出る。左は温泉小屋、右は見晴への道だ。右の木道に入り、のんびり歩いて約15分、見晴に到着する。

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