冬のバックカントリー専用のザックとして、オスプレーにはソールデンとキャンバーという代表的なシリーズがリリースされています。それぞれに特徴がありバックカントリースキー専用ザックの特徴を比較してみましたのでご覧ください。
ソールデン32とキャンバー30のスペック比較
ソールデン32とキャンバー30のスペック比較表です。重量が400g異なるのは、大きくはメイン生地の厚みが倍異なります。ソールデン32と比較するとキャンバー30はより耐久性を高めた作りであるということが分かります。またポケットの数や、追加機能もキャンバー30には多く備わっています。
※横スクロールで表がスクロールできます。ソールデン32 | キャンバー30 | |
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容量 | 32リットル | 30リットル |
推奨パッキングウェイト | 7~13kg | 7~13kg |
重量 | 1.15kg | 1.55kg |
メイン生地 | 210D | 420D |
外寸 | 縦54×横31×奥28cm | 縦54×横31×奥27cm |
展開サイズ | 42,32,22 | 30,20 |
レディース展開 | ソフリス | クレスタ |
価格(税込み) | ¥19,800 | ¥23,100 |
ソールデン32とキャンバー30の正面から見た比較
バックカントリー専用ザックなので、スキーやスノーボードが取り付けられるようになっています。ザックの正面には板が取り付けられるようにベルトがついています。ソールデン32もキャンバー30も上下にバックルを備えたベルトが付いています。
このベルトの太さと厚み、また板との接触部分に備わってる素材に違いがあります。
ソールデン32はキャンバー30と比較すると軽量化が施されています。キャンバー30はベルトの内側にアテの生地が追加されており、さらにエッジが当たる部分には耐久性に優れた生地が追加されています。ソールデン32はエッジが当たる部分に補強ウェビングを使って耐久性を出しています。
またこのベルトを通すスリットがソールデン32の場合はベルト全てを隠す幅なのに対して、キャンバー30は中心に7cm程のスリットがついています。ソールデン32はベルトが全て隠れてしまうので、スリットにベルトを入れるとバックカントリー用ザックには見えません。このスリットの形状によってダイアゴナルと呼ばれる対角線でスキーを取り付ける板の取り付け方に違いが出ます。
ザックの正面の素材にも違いがあり、キャンバー30にはパッドが内蔵されており、ザックの中に入れたものと板とが干渉がしづらいように作られています。またスノーボードを取り付ける際にフィッティングがしやすいメリットがあります。ソールデン32にはこのパッド素材はなく軽量化が行われています。
板の取り付け方法
スキー板の場合は、ザックの側面にAフレームと呼ばれる取り付け方と、ダイアゴナルと呼ばれる対角線でスキーを取り付ける2種類の方法を選択できます。どちらのザックもアイスツールアタッチメントができますが、ソールデン32にはアイスツールループが省かれています。
ヘルメットホルダーの違い
バックカントリースキーではハイクアップ時はヘルメットを取って歩くことがあるのですが、ヘルメットホルダーがザックに取り付けられていると大変便利です。オスプレーのどちらのバックカントリー用ザックにもヘルメットホルダーが内蔵されており、オスプレーロゴがついたポケットからヘルメットホルダーを取り出すことができます。
キャンバー30のヘルメットホルダーはヘルメットの側頭部のみにメッシュ素材が使われておりそれ以外の部分はナイロン素材で耐久性が施されています。ソールデン32のヘルメットホルダーはすべてがメッシュ素材となっており、こちらも軽量化に重きを置いたつくりとなっています。
ヘルメットホルダーを使ったヘルメットのザックへの取り付け方は2種類あり、ザック正面に取り付けることもできるし、ザックのトップ部分に取り付けることもできます。ザックに板を取り付けている際にAフレームであればヘルメットは正面に、対角線で取り付けている際にはヘルメットはトップ部分にというように変化をつけることができます。
体へのフィッティングとパッドの素材の違い
パッド素材にも違いがあり、ソールデン32は肉抜きされたパッドを採用しています。このパッドは背面パッドの他にショルダーハーネス、ウエストハーネスにも採用されています。また背中が蒸れないように空気の流れが背中に伝わるような形状が施されていますが、これはどちらのザックにも採用されています。
ウエストハーネスもショルダーハーネスもそれぞれ形状も面積の違いはほぼありません。パット素材とストレッチ素材の使用面積に違いがあります。パッド素材は厚みこそ大差はありませんが、肉抜きパッドを採用しているのがソールデン32です。
バックカントリー用の道具を収納できるポケットの数と大きさ
今回紹介するオスプレーの2つのザックにはバックカントリーの道具を整理して収納ができるように様々な場所にポケットが付いています。
トップからアクセスすることができるポケットはキャンバー30は3つ、ソールデン32は2つあります。キャンバー30の3つのうち2つのポケットは小さい収納ポケットとなっており、すぐに取り出したい細かな装備を分けて収納ができるようになっています。ゴーグル、グローブ、行動食、地図などを収納するのに便利です。
ソールデン32には1つ小ポケットがあり、深さはキャンバー30の2つの小さなポケットよりも浅く作られています。ここにはゴーグルなどのアクセサリーをしまうのにちょうど良い大きさです。
大きいポケットは収納力こそ差はありませんが中の生地に違いがあり、キャンバー30は引き裂き強度の強いリップストップナイロンを使用しているのに対してソールデン32は軽量なナイロン素材を使用しています。
大ポケットの中にはショベルやプローブを整理して収納することができるようになっています。
大ポケットにアクセスするためのジッパーはキャンバー30がトリプルジッパーとなっており様々な位置から中の物を取り出し、開閉できる仕様となっています。ソールデン32はダブルジッパーです。どちらもL字型で開閉することができます。またジッパータブのカラーが目立っていることで、緊急事態時に素早く空けるべきジッパーを視認することができます。
バックカントリースキーならではの作りがメインポケットのアクセス方法で、これは背面からアクセスします。このポケットは非常に大きい開口部で必要なものがすぐに取り出せるようになっています。取り付けているスキーやスノーボードはそのままでも開閉が可能です。
ヒップベルトの違いはソールデン32がジッパーポケットとギアループがついており、キャンバー30は左右どちらにもジッパーポケットが備わっています。またソールデン32にはスレッドキャリーアタッチメントループが付いています。
背面ポケットのアクセス方法の違い
背面ポケットへのアクセス方法は、キャンバー30はスタビライザーのバックルを外しU字型でジッパーを開閉することでアクセスすることができるようになっています。
ソールデン32はバックルは外さず同じくU字型でジッパーを開閉することでアクセスすることができるようになっています。
キャンバー30がショルダーハーネスも蓋と一緒に開かれるのに対して、ソールデン32はショルダーハーネスの内側にポケットがくるような形となっています。物の取り出しやすさに若干差がありますが、ストレスを感じる差はありません。
背面ポケットの内部構造と水分補給の違い
背面ポケットは大きなマチが付いている為、奥行きが作られており、嵩張る装備を整理して収納することができます。
ポケット内側の側面にはGPS機器を入れておくことができるポケットが左右に付いています。ボトルやグローブを入れるにもちょうどよいサイズです。
蓋には小さなポケットがあり貴重品をしまっておくのに便利です。このポケットはキャンバー30がメッシュポケットで、中のものを外側から視認できるようになっています。
キャンバー30もソールデン32もハイドレーションを使用することができますが、キャンバー30は水が凍らないように細部に施しが凝らされています。キャンバー30におけるハイドレーションの取り付け方は蓋に付いたジッパーポケットにソフトボトルを入れて、チューブは上部に付いた穴から右側のショルダーに通します。
右側のショルダーハーネスにはジッパーがついており、ここにチューブがしまえるようになっています。チューブの中に入った水が凍らないように保温素材がしっかりとポケットの外側に内蔵されています。
背面ポケットとトップからアクセスできる大きめのポケットのボトムには水抜き穴がキャンバー30にはついていますが、ソールデン32は付いていません。雪がついた状態の装備をザックに収納して、その雪が溶けた時に水がボトムに溜まってしまう懸念がソールデン32にはあるので、気になる人はハトメを使って穴を開けている方も見受けられます。
選び方について
キャンバー30とソールデン32の違いについて見てきましたが、軽量化に重きを置いたバックカントリースキーを楽しむ場合はソールデン32が良いでしょう。パッキング重量と己の体力を鑑みて、腰荷重に重きをおくならばキャンバー30。リスクマネージメント含めて装備全体で軽量化を行いたい場合はソールデン32。というような選び方もできると思います。
またすでにバックカントリーを始めていて、ザックに求めることが明確な方は、それぞれの違いを見極めて選ぶと間違いがないでしょう。
どちらのザックもバックカントリースキーに非常に使いやすく、オスプレーだからこそできるコストパフォーマンスに優れたバックカントリー専用ザックという位置づけは揺るぎないものがあるように感じます。