登山用靴下は縁の下の力持ち的な存在で、目立たないけど大変重要な登山装備のひとつです。足のトラブル回避、運動能力の向上、快適な足運びを助ける登山装備の1つです。登山靴と登山用ソックスのバランスを考えて正しい登山用靴下の選び方とおすすめソックスを紹介します。
登山用靴下の役割
登山用靴下の役割を知っておくことで、自分に合った正しい登山用靴下を選ぶことができるようになります。
クッション性の高さで足を保護

登山靴は普段履いているシューズよりも全体的に硬い作りになっています。よって歩いていると足に圧力がかかりマメや靴擦れの原因となります。これらを保護するために靴下にクッション性を持たせて足を保護します。
通気性と吸湿速乾性で足のトラブルを回避

登山をしていると足に汗をかき、通気性がなくソックスの内側に湿度が滞留していると皮膚が蒸れて足のトラブルの原因になります。このようなことがないように足をドライに保つことが重要です。登山用ソックスの多くが素材や編み方によって通気性と吸汗性に優れています。
保温性によって足の冷えを防止

足先の冷えは登山における悩みの一つです。この悩みを解決するためには登山靴に保温性を求めると同時に、ソックスにも目を向けましょう。メリノウール素材や厚さのバランスで保温性を補っているソックスで保温力を高めることで足の冷えを防止します。
登山で長い期間使用できる耐久性

登山で数回履いただけで破れてしまった、なんていうことがないように、耐久性の高い化繊素材の使用(メリノウールと混紡したものも含めて)、破れやすいポイントで厚みを持たせた作りは、登山用ソックスならではで、価格の高さに反映されています。中には破れたら交換をするソックスメーカーもあります。
登山用靴下の選び方
登山用靴下を選ぶ際には厚さ、素材、丈の長さ、フィット感をチェックして、その時履く登山靴に合う靴下を履くようにしましょう。
登山靴の硬さから足を守る『厚さ』

一般的に登山用靴下の厚さは5種類に大別されます。登山靴と靴下はセットで選ぶことを基本にします。冬山で履く頑丈な登山靴には靴下は極厚、岩稜帯が多い場所で履く登山靴に靴下は厚手、一般的な登山靴ならば中厚手というように、登山スタイルと登山靴と一緒に考えて靴下の厚さを選びましょう。
足のトラブルを回避する『素材』

靴下は登山靴の中にあることから汗で蒸れやすく匂いも気になります。メリノウール素材の靴下は臭いが気になりづらく、吸汗性にも優れていることから多くの靴下で採用されている素材です。しかし耐久性が弱いため化繊素材とのハイブリッドの靴下が多いです。
夏山登山、ハードなアクティビティではメリノウールではなく化繊素材のみで速乾性に重点をおいたソックスもあります。自分の登山スタイルに合わせて靴下の素材に着目してみましょう。
足の擦れを守る『丈の長さ』

登山靴がハイカットモデルであれば皮膚と靴が擦れないクルー丈がおすすめです。ローカットモデルの登山靴やトレイルランニング用シューズであれば踝が隠れるアンクルモデルがおすすめです。登山では岩に足をぶつける事が多いので、ソックスで肌を守ることも重要視しましょう。特に踝は出っ張ているので、登山中にぶつけやすく、怪我をすると非常に苦痛です。
自分にあったあるき方を可能にする『フィット感・構造』

登山用靴下メーカーによってフィット感は様々です。また五本指ソックスや足袋タイプのソックスなど形も様々です。足ゆびを意識して登山をしたい、足指の間のムレが気になる、足ゆびの周りのソックスのゴワつきが気になるなど、人によって歩き方や足の悩みも様々です。自分に合った登山用靴下を見つけることで快適な登山を楽しめます。
登山スタイルで靴下を選ぶ
登山には様々なジャンルがあり、山の中を歩く・走る・登る・滑るなど手段も様々です。それぞれに必要な登山装備やスキルがあるように、靴下も登山ジャンルによって相性があります。
一般登山 | ・ハイキング ・日帰り登山 ・縦走登山(山小屋泊、テント泊) |
バリエーション登山 | ・クライミング ・沢登り ・渓流釣り ・バックカントリースキー |
トレッキング | ロングトレイルなど |
高所登山 | ヒマラヤ登山など |
スピードハイク | ・トレイルランニング ・ファストハイク |
ハイキングにおすすめのソックス

標高差500m未満の山歩きで、険しい勾配がなく、比較的緩やかな坂道を歩く事をハイキングと呼ぶことが多いです。足への負担も日帰り登山や縦走登山と比較すると少なく、ハイキングで履く登山靴は柔らかいものが多いため、中厚手のソックスがおすすめです。
スマートウール『クラシックハイクライトクッションクルー』

暖かい時期のハイキングやキャンプ、普段使いまで何でも使えるのが特徴です。薄すぎず、厚すぎない丁度良いクッションが病みつきになる一足です。

日帰り登山・縦走登山におすすめのソックス

標高差500m以上の山では勾配が出てくるため、明確な定義はありませんが、登山と呼ぶことが多いです。勾配があると岩やガレた登山道をあるくことが多くなるため、それに見合ったソールが硬い登山靴を履くことが多くなります。また長い距離を歩くことになるため、夏は中厚手、寒い季節は厚手のソックスを選ぶことで、クッション性によって足裏の疲れを抑制し、破れるリスクを軽減できます。
スマートウール『ハイクフルクッションクルー』

春登山でもご紹介したモデルですが、夏山の縦走でも活躍します。全体に配置したクッションが足の疲労を軽減します。

スマートウール『マウンテニアエクストラクッションクルー』
フルクッションよりもさらに厚くしたモデルで、長期の縦走で活躍するモデルです。つま先とかかとのクッションを特に厚くしているので、耐久性が非常に高いです。

トレイルランニング・ファストハイクにおすすめのソックス

心拍数が上がるアクティビティなため、汗蒸れによる足のトラブルに着目する必要があります。またトレイルランニングシューズなどの軽量で足運びに優れたシューズとの相性を考えると、足裏でトレイルを掴むような感覚とフレックスに優れた薄手~中厚手のソックスがおすすめです。また通気性に優れた特徴をもつソックスを選ぶことが重要です。
INJINJI『トレイル ミッドウェイト ミニクルー』

履き心地が柔らかで通気性に優れたソックスです。中厚手のソックスなので寒い季節の使用におすすめです。

スマートウール『ランターゲットクッションローアンクル』

ダメージの出やすい爪先と踵にのみクッションを配置した耐久性の高いモデルです。2022年モデルから甲のメッシュベンチレーションエリアを改良し、より蒸れにくく快適性がアップしました。

スマートウール『ゼロクッションアンクル』
ゼロクッションでダイレクトな足裏感覚が特徴のトレイルランニング向けソックスで、踝まで覆うことで小石や葉などの侵入を防ぎます。

スマートウール『ウィメンズ ラン ゼロクッションローアンクル』

ゼロクッションでダイレクトな足裏感覚が特徴のランニングソックスで、甲には広いメッシュベンチレーションを配置し、暖かいシーズンのランニングでも蒸れずに快適です。

メーカー別おすすめソックス
登山用靴下に力を入れているメーカーは多くあります。それぞれに個性があり、おすすめソックスからメーカーのこだわりが垣間見れます。
スマートウール『ハイククラシック フルクッション クルー』

ハイククラシックシリーズは登山やハイキングなどに適したスタンダードなメリノウールソックスです。フルクッションは下から3番めの厚さで、クッションは内部全体にわたり、すねとふくらはぎのクッションもライトよりさらに厚いパイル地です。3シーズンの登山ならライトクッションかフルクッションで十分対応します。
- 中厚手タイプ
- ウール67%、ナイロン32%、ポリウレタン1%

ブリッジデイル『トレッカー』

ウールフュージョンテクノロジーは最上質のウールヤーンにポリプロピレンやポリエステルといったマイクロファイバーを巻き付ける技術です。この独特の技術によって素材が最高に機能して快適な履きごごちを持続させます。ウールフュージョンは保温が必要なときに暖かく、暑くて湿気が多くなると巻き付けたマイクロファイバーが機能して快適さを保ちます。その上に湿気蒸散性能が良く、マメが出来にくいライクラ編み込みに特徴をもったソックスです。
- 中厚手タイプ
- ウール41%、ナイロン37%、ポリプロピレン21%、ポリウレタン1%

インジンジ『アウトドアミッドウェイト・ミニクルー・ヌーウール』

インジンジは世界で圧倒的な人気を誇る5本指ソックス専門のブランドです。アウトドアシリーズはウールを採用したトレイルランニング、ランニング、ウォーキング、自転車、陸上競技にもおすすめの5本指ソックスです。5本指のデザインとインジンジ社オリジナルのウール素材、「ヌーウール」により防臭効果と常に足をドライで快適に湿度・温度をコントロールしてくれます。
- 中厚手タイプ
- ウール64%、ナイロン33%、ポリウレタン(ライクラ)3%

パタゴニア『ライトウェイト・メリノ・パフォーマンス・クルー』

トレイルでの長期の使用に対応する耐久性と軽いクッション性を備えた快適なクルー・ソックスです。風を通しながらクッション性を提供するソフトなテリーループのフットベッド、編み込んだパタゴニアのロゴ入りとファッション性にも優れたソックスです。
- 薄手タイプ
- メリノウール59%、ナイロン39%、ライクラ・ポリウレタン2%

サーミック『トレッキング・ウルトラ・クール・リネン・クルー』

リネンならではのひんやり感と肌触り。湿度を的確に排出し、長期山行でも臭いにくく、使い込むほどに柔らかくなじみます。15°~30°の高温下の高負荷アクティビティにも対応。汗をかいてもサラサラとした状態が続きます。薄手のため、トレイルランにもおすすめ。
- 薄手タイプ
- ポリアミド39%、ビスコース36%、ポリプロピレン11%、リネン11%、エラステイン3%
ポイント6『エッセンシャルクルーライト』

アメリカのココナ社が開発した37.5テクノロジーを採用したソックスです。これは吸水速乾繊維で、人間の理想的な体温である37.5度(欧米人の平均体温)を常に維持すること促進する素材です。繊維に埋め込まれたミクロの多数の孔(あな)を持つ活性粒子が体から発生する水蒸気を素早く捉え、身体から出る赤外線のエネルギーで蒸発を促進することができます。このテクノロジーと優れたメリノウールで足を包み込み快適な登山を助けてくれます。
- 中厚手タイプ
- メリノウール62%、ナイロン31%、ポリウレタン7%

シダス『トレイルプロテクト』

フィット感・足裏感覚重視のシダスならではのコンセプトから生まれたトレイルラン専用ソックスです。ソックスには珍しい5サイズ展開で、今までサイズの狭間で不快な思いをしていた方に完全なフィット感を約束するコンセプトで作られたユニークなソックスです。
負荷のかかるつま先・くるぶしに適度なクッショニングを配置し、全体的には通気性も良く薄い設計のため、地面の状況を足裏で瞬時に把握。感覚を妨げません。グリップバンドがしっかりインソールを掴み、相性を高め、足元の一体感を強めます。
- 極薄手タイプ
- マルチフィラメント・ポリアミド51%、ポリアミド41%、エラステイン4%、シリコン3%、反射糸1%

YAMAtune『アウトドア ミディアムアーチ クルー2TOE』

足底前・後部に分割した2重構造のサポーターが足裏に掛かる衝撃を効果的に吸収・分散させ、長時間の運動をサポートします。またタビ形状は、親指を開放することにより指先部に力が入りやすく、不整地やアップダウンの多い地形において高いグリップ力を発揮します。
- 中厚手タイプ
- メリノウール45%、/ポリエステル21%、アクリル18%、ナイロン14%、ポリウレタン2%

ダーンタフ『ハイカーブーツソックミッドウェイトフルクッション』

超極細メリノウールと化繊素材をカスタムブレンドし、独自開発の織り機で仕上げたタフさと快適さを追求しています。足裏と脛の部分にダーンタフ独自の編み方により通常のクッションモデルよりもさらに高密度なクッション性を、アンクル上部にはリビングを施しずれにくく適切なフィットを実現。アーチ部分は伸縮性のあるアーチサポートがあり、摩擦の多いヒールとつま先部分は耐性補強され、つま先部分はインビジブルシームで快適な履き心地のリングトー構造になっています。
- 中厚手タイプ
- メリノウール66%、ナイロン32%、ポリウレタン2%

FITS『ミディアムハイカークルー』

非常に柔らかい履き心地を提供する、18.5μmの極細ウールを使用しています。裏地を全てパイル編みにすることで、ハイキングやトレッキングで安心のクッション性を提供したソックスです。
- 中厚手タイプ
- メリノウール70%、ナイロン22%、ポリエステル6%、ライクラスバンデックス2%
