3シーズンとは春夏秋を指し、この季節でテント泊をする際のダウンシュラフは最も種類が多く、選択に困ります。ここでは3シーズンにおけるダウンシュラフの選び方と、登山のテント泊におすすめの軽量ダウンシュラフを紹介します。
3シーズンのテント泊で必要なダウンシュラフの温度域
3シーズンといってもテント泊をする場所の標高、季節変化による気温などで必要なダウンシュラフの温度域も変わってきます。夏の登山なのに、秋用のダウンシュラフを持参すればオーバースペックとなり装備重量が嵩んでしまいます。
またテント泊に行く際は保温着として必ずダウンジャケットやダウンパンツを装備として持参する為、これらを着用してダウンシュラフに入ることで、想定気温を高く見積もってダウンシュラフを選ぶことができます。
テント泊をする場所の月毎の気温を知る
以下の表はテント泊をする場所として人気のある涸沢周辺と白馬山荘周辺、赤岳鉱泉の月毎の最低気温推移です。最低気温にしたのは夜中の寝ている間の気温を考えてのことです。テントの中で過ごすので風による体感温度は考えていません。
※横スクロールで表がスクロールできます。涸沢周辺 | 白馬山荘周辺 | 赤岳鉱泉 | ||
---|---|---|---|---|
2309m | 2832m | 2215m | ||
1月 | 冬 | -16 | -21 | -15 |
2月 | 冬 | -16 | -21 | -16 |
3月 | 春 | -11 | -17 | -10 |
4月 | 春 | -5 | -11 | -5 |
5月 | 春 | 1 | -5 | 1 |
6月 | 夏 | 5 | 0 | 6 |
7月 | 夏 | 8 | 4 | 10 |
8月 | 夏 | 9 | 6 | 11 |
9月 | 秋 | 5 | 1 | 7 |
10月 | 秋 | -2 | -4 | -1 |
11月 | 秋 | -5 | -12 | -6 |
12月 | 冬 | -13 | -16 | -12 |
またテント室内温度とテント外気温の温度差は約3℃と見積もると良いでしょう。(モンベルのステラリッジテント使用時)より詳細は使用するテントによって異なります。
保温着として着用するダウンジャケットにもよりますが軽量なもの(ダウンジャケットで250g前後)であれば+3度程見積もっています。
テント内で泊まること、ダウンウェアを着用することを考えると、以下の気温に対してのダウンシュラフを選ぶことになります。(3+3=+6℃加算しています)
※横スクロールで表がスクロールできます。涸沢周辺 | 白馬山荘周辺 | 赤岳鉱泉 | ||
---|---|---|---|---|
2309m | 2832m | 2215m | ||
3月 | 春 | -5 | -11 | -4 |
4月 | 春 | 1 | -5 | 1 |
5月 | 春 | 7 | 1 | 7 |
6月 | 夏 | 11 | 6 | 12 |
7月 | 夏 | 14 | 10 | 16 |
8月 | 夏 | 15 | 12 | 17 |
9月 | 秋 | 11 | 7 | 13 |
10月 | 秋 | 4 | 2 | 5 |
11月 | 秋 | 1 | -6 | 0 |
ダウンシュラフに記述の温度域について理解する
ダウンシュラフに記載されている温度表記がメーカー基準値なのかヨーロピアンノームを使用しているのかによって考え方が異なります。間違いのないダウンシュラフを選ぶのならばできるだけヨーロピアンノームが記載されているダウンシュラフを選ぶと良いでしょう。
ヨーロピアンノームのコンフォート、リミット、エクストリームはそれぞれに定義があります。詳しくはダウンシュラフの選び方で記述していますのでご覧ください。
女性の場合はコンフォート温度を基準に、男性の場合はリミット温度を基準にすると良いでしょう。
快適に就寝でき&装備の軽量化におすすめのダウンシュラフ
3月から6月初旬までは標高が高い場所ではまだ雪が残っています。それを踏まえると6月後半から11月ぐらいまでのテント泊におけるダウンシュラフが最も使用頻度が高くなると思われます。
夏場の対応温度が10℃前後のダウンシュラフ、晩秋の対応温度が0度前後のダウンシュラフと分けて紹介します。
夏山のテント泊におすすめの対応温度10℃前後の軽量ダウンシュラフ
シートゥサミット スパークSp0
軽量コンパクトを徹底追求しつつ保温性を高めたシリーズのスパークの中で最も軽量なダウンシュラフがスパークSp0です。850+フィルパワー且つ撥水ダウンを使用して、僅か225gという驚きの重量を誇るシュラフです。コンフォートで14℃なので、3000m級の縦走登山におけるテント泊では若干不安がありますが、登山に慣れておりリスク把握ができる方にはおすすめです。
- 中綿:850+フィルパワー ウルトラドライプレミアムグースダウン
- 重量:225g(ダウン重量100g)
- 温度域:コンフォート温度=14度(摂氏)、リミット温度=10度(摂氏)、エクストリーム温度=-2度(摂氏) ※設定温度はヨーロッパのEN13537基準を採用しています。
シートゥサミット スパークSp1
上で紹介したSp0の次に軽量なダウンシュラフがスパークSp1です。850+フィルパワー且つ撥水ダウンを使用している点は変わらずですが、胴から上に縦型バッフルを配置しダウンの移動とコールドスポットを排除し効果的に体幹を温めます。コンフォートでも9℃を維持するので、夏山登山のシュラフとしては安心感の高いモデルです。
- 中綿:850+フィルパワー ウルトラドライプレミアムグースダウン
- 重量:350g(ダウン重量180g)
- 温度域:コンフォート温度=9度(摂氏)、リミット温度=5度(摂氏)、エクストリーム温度=-9度(摂氏) ※設定温度はヨーロッパのEN13537基準を採用しています。
モンベル シームレス ダウンハガー800 #5
ダウンの片寄りを防ぐための隔壁を廃した、画期的な「スパイダーバッフルシステム」搭載したダウンシュラフです。すき間のないフィット感と窮屈感の解消という相反する二つの要素を兼ね備えたスーパースパイラルストレッチ システムを採用しており就寝中の無意識な体の動きを妨げません。
- 中綿:800+フィルパワー EXダウン
- 重量:441g
- 温度域:快適温度8℃、使用可能温度域3℃
ウエスタンマウンテニアリング フライライト
ブランドの50周年を記念してデザインされたモデル。バッグ全体にバッフル構造を採用しており、この構造のフード付きダウンスリーピングバッグでは世界最軽量。表地と裏地の間に備えられたマイクロバッフル(内部を仕切る小さな隔壁)が十分な空間を作り、コールドスポットを解消します。
中綿:850+フィルパワーグースダウン
重量:405g
温度域:使用温度2℃
初春、晩秋のテント泊におすすめの対応温度0℃前後の軽量ダウンシュラフ
シートゥサミット スパークSp2
秋口の登山ではダウンジャケットやダウンパンツも夏山登山と比較すると、保温力の高いものを持参する方もいることでしょう。それであれば温度域ギリギリの軽量化に特化したダウンシュラフ、スパークSp2はいかがでしょう?3000m級の縦走登山におけるテント泊では若干不安がありますが、登山に慣れておりリスク把握ができる方にはおすすめです。
- 中綿:850+フィルパワー ウルトラドライプレミアムグースダウン
- 重量:505g(ダウン重量300g)
- 温度域:コンフォート温度=4度(摂氏)、リミット温度=-2度(摂氏)、エクストリーム温度=-18度(摂氏) ※設定温度はヨーロッパのEN13537基準を採用しています。
サーマレスト ハイペリオン 0℃
メッシュの隔壁によりコールドスポットを最小限に抑えるボックス構造を採用したサーマレストのシュラフの中で最も軽量です。撥水加工を施したダウンなので結露も安心です。シナジーリンクコネクターでマットレスと一体化します。
中綿:900+フィルパワー ニクワックス・ハイドロフォビックダウン
重量:464g
温度域:快適温度0℃
Rab Mythic Ultra 180
世界初の熱反射性サーモアイオニックライニングテクノロジーを採用したダウンシュラフです。熱イオンライニングテクノロジー(TILT)は繊維をチタンでコーティングし、生地の通気性を損なうことなく、シュラフの中に入っている人の放射熱をダウンシュラフ内に反射させます。
中綿:900+フィルパワー ニクワックス・フッ素FREEの撥水ダウン
重量:400g
温度域:快適温度0℃
ウエスタンマウンテニアリング サマーライト
コンティニュアスバッフル構造、シングルドラフトチューブで縫い目やジッパーからのコールドスポットを排除し、ウエスタンマウンテニアリングの強みである質の高いダウンで高い保温力のあるダウンシュラフです。
中綿:850+フィルパワーグースダウン
重量:540g
温度域:使用温度0℃