登山初心者にとっては、アルプス登山を行う前の1つの目標となる山として雲取山を選ぶ人や、テント泊の練習として雲取山荘を利用する登山者がいたりと、様々な楽しみ方で登山ができるのが雲取山です。静かな登山を満喫できる三峰ルート、奥多摩駅を起点とした東京側の石尾根や富田新道を利用するルートなど難易度別で登山コースを紹介します。
雲取山の登山が人気の理由
雲取山は東京都の最高峰で、東京の山で2000mを越えるのは雲取山のみです。また東京都の最西端でもあり、山頂の北西は埼玉県、南西は山梨県と三都県の境をなしてます。この雲取山が登山者に人気の理由を紹介していきます。
都道府県 | 東京都・埼玉県・山梨県 |
山域 | 奥秩父 |
標高 | 2,017m |
天気・アクセスなど | 雲取山の詳細 |
甲州側、秩父側と様々なエリアから雲取山へ向かう事ができる
甲州側の登山道は、奥多摩からバスでそれぞれの登山口へアクセスすることができ、さらには奥多摩駅から長い距離を歩いて雲取山に向かうこともできます。様々な登山ルートがあるため。山小屋泊、テント泊、日帰り登山、トレイルランニングなど様々な楽しみ方ができます。
また、秩父側の三峰ルートは変化に富んだ静かな登山を楽しむことができるとして人気があります。奥多摩で唯一日本百名山に入っている理由がわかる様々なスタイルで楽しめる山です。
稜線が気持ち良く、雄大な景色を楽しめる
雲取山に向かう多くの人が利用する石尾根は奥多摩駅からバスで鴨沢まで行き、山頂に向かう際に歩く登山道です。このルートは登山口から雲取山まで向かう際、最も短時間で頂上に立つことができるルートです。
この石尾根からは左に富士山を望みながら歩くことができる気持ちの良い稜線で、程よいアップダウンが続く、雲取山登山で最もおすすめのスポットです。春夏秋冬で変わる景色も楽しみやすい登山道で、多くの人が歩くことから冬山登山の練習場としてもおすすめです。
奥秩父縦走を行う際の経由地でもあり、雲取山山頂付近の稜線は雄大な景色を楽しむことができるハイライトとなります。
山深い三条の湯の温泉とセットに楽しむ登山
三条の湯とセットで楽しむことで、気持ちの良い温泉で体を癒やし、雲取山の登山を楽しむことができます。三条の湯は山小屋泊もテント泊もでき、紅葉の季節になると素晴らしい景色を楽しむことができるスポットです。多くの人が石尾根方面の登山道を歩く中、三条の湯方面は静かなエリアなので、景色をゆっくり楽しみながら趣のある登山を楽しむことができます。
三条の湯から雲取山への登山は勾配がきついポイントが多くあるため、中級者向けの登山道です。
雲取山登山のQ&A
雲取山の難易度
技術的な難易度は比較的易しく、踏破する十分な体力が必要です。小屋泊、テント泊が基本となる山ですが、風雨に晒されることも高所と比較すれば少なく、基本的な登山技術があれば大丈夫です。重装備を担いで初めてのテント泊としても適切な山です。
ルートによっては道迷いの可能性もあるので、事前に地図を読み込んでおくのがおすすめです。
降雪は?
雲取山は11月頃より降雪があり、5月頃まで雪が残っています。無積雪期に登山をする場合は、11月初旬頃まで登れ、軽アイゼンを持っていれば5月は問題ありません。
積雪は30cm以上積もることがあるので、厳冬期はアイゼンを始めとした冬山装備が必要です。雪が降れば通常より時間をかけて山頂を目指すので苦労も多いですが、1日かけて辿り着く山頂と付近での宿泊は、無積雪期以上のご褒美感があり、泥のように眠れることを約束します。
雲取山の難易度別おすすめ登山コース
日帰り登山で楽しむ場合の雲取山への登山口は最もスタンダードで多くの人が利用する鴨沢と、三峰神社を登山口とする三峰コースの2種類があります。
今回紹介する雲取山登山のコースは全部で4種類です。いずれも日帰り登山が可能な登山コースを選んでいますが、片道コースタイムが6時間以上の東日原とお祭からの登山は、三条の湯や雲取山荘で1泊する登山が現実的です。体力に合わせて検討するようにしましょう。
以下の表は紹介する4つの登山コースの難易度がわかる比較表ですが、距離が最も短いのは三峰神社から雲取山ですが、コースタイムは鴨沢バス停からが最も短時間です。これは七ツ石山を超えたブナ坂から石尾根の稜線が比較的なだらかでアップダウンが少ないからです。
登山口 | 鴨沢バス停 | 三峯神社 | 東日原バス停 | お祭バス停 |
片道距離 | 約11.3km | 約9.4km | 約13.3km | 約14.3km |
片道コースタイム | 4時間55分 | 5時間45分 | 6時間10分 | 6時間10分 |
鴨沢からスタートする難易度が最も低い登山コース
スタート地点 | 鴨沢バス停 |
ゴール地点 | 雲取山 |
地点間の片道距離 | 約11.3km |
累積標高 | 上り:約1,810m 下り:約348m |
片道コースタイム | 4時間55分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
雲取山登山の中で最も多くの登山者に利用されているコースが鴨沢バス停からの登山道です。上の表から見てもわかるように距離は片道で約11.3kg と長いのですが、片道のコースタイムは最も短いことがわかると思います
登山スタート地点から雲取山まで非常に長い距離を淡々と歩く事ができる登山道で、危険箇所も少なく、勾配も一定で疲れづらく登山をすることができます。
鴨沢バス停から約2時間で堂所と呼ばれる場所に到着します。危険箇所も少なく森の中を歩いて行きます。ここから約50分で七ツ石小屋に到着します。こうやって前には幾つか分岐点がありますが、休憩をとるために小屋を経由するのがお勧めです。小屋には水場もあるので、冷たい水で疲れを癒しましょう。
七ツ石小屋を経由してブナ坂に向かうと石尾根に取りつきます。石尾根は景色が良い登山道で気持ち良く歩くことができます。
奥多摩小屋跡を過ぎると、小雲取山までは約30分です。さらに30分進むと雲取山頂上に到着します。
静かな登山を楽しめる三峰コース
スタート地点 | 三峯神社 |
ゴール地点 | 雲取山 |
地点間の片道距離 | 約9.4km |
累積標高 | 上り:約1,558m 下り:約601m |
片道コースタイム | 5時間45分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
三峰神社から雲取山までは5時間45分で、上で紹介した鴨沢からは距離は短いのですが1時間ほど長く登山を行う必要があります。しかしながら静かな登山道で森林浴を楽しめることから人気のある登山コースです。
三峰神社から分岐点までは約40分、勾配の少ない登山道を歩いて行きます。炭焼平を過ぎると地蔵峠まで勾配が増し踏ん張りどころです。
その後お清平まではなだらかな登山道が続きますがここから前白岩山、白岩小屋跡から白岩山とアップダウンが続きます。大ダワまでいくと間もなく雲取山の頂上です。
急斜面が続く中上級者向け登山コース富田新道
スタート地点 | 東日原バス停 |
ゴール地点 | 雲取山 |
地点間の片道距離 | 約13.3km |
累積標高 | 上り:約2,361m 下り:約971m |
片道コースタイム | 6時間10分 |
難易度 | ★★★★☆ |
雲取山荘の初代管理人・富田治三郎によって切り拓かれた登山道です。この登山道は急登が多く奥多摩三大急登にも匹敵するような登山道が続きます。急坂を上りきるとさわらの平と呼ばれる場所に出ます。吊り橋からの標高差は約700mで最も辛いポイントです。
この辺りから広葉樹が多くなり明るい雰囲気の登山道となります。踏み跡が少ないエリアでとくに下山時は右側に迷い込まないように注意しましょう。
1800m付近から少し登ると送ったまごや後に至りそこから10分ほど進むと石尾根主稜線に合流します。
林道と三条の湯からの急斜面が辛い中上級者向け登山コース
スタート地点 | お祭バス停 |
ゴール地点 | 雲取山 |
地点間の片道距離 | 約14.3km |
累積標高 | 上り:約2,269m 下り:約823m |
片道コースタイム | 6時間10分 |
難易度 | ★★★★☆ |
バス停のすぐ先で右折するコンクリートの上り坂が後山林道で、ここから三条の湯まで延々10kmの道のりです。林道はすぐに未舗装のダートとなり、しばらくは薄暗い植林帯を進みます。片倉谷の橋を渡った後、いったん右岸に渡り、再び左岸に戻った先で塩沢橋を渡ります。ここが三条の湯まで約半分のところです。
このあたりから5月だと新緑や10月頃には紅葉の渓谷美を楽しめます。林道終点にはわずかな駐車スペースがあり、その先は山道となります。三条の湯は、木下さん三代が守り続けてきた山の湯宿です。橋の下流の三条沢沿いにテント指定地があり、水場もあります。
小屋の前からいったん下って三条沢を渡り返し、水無尾根に取り付きます。尾根の末端を回り込むように登り、青岩鍾乳洞への道を右に分けます。ブナ、ミズナラ、カツラなどの広葉樹が見事な登山道です。尾根の東面とトラバース気味に登って行くと、時折石灰岩の岩壁が現れます。「水無」尾根とはいえ、高度1600mあたりで横切る沢で水が得られることもあります。木の間越しには雲取山や石尾根上部が望まれ、やがて明るく開けたカラマツ林の平坦な道となると三条ダルミは近いです。
三条ダルミからは約45分で雲取山頂上です。