滋賀県を代表する日本百名山の1座である伊吹山は、山頂部を中心に高山植物の群落が広がり、伊吹山頂上からは琵琶湖を見渡せ、景色が素晴らしいことで知られています。今回は伊吹山の4つの難易度別登山ルートと、アクセスと駐車場情報を紹介します。
伊吹山の登山が人気の理由
関西屈指の人気を誇る伊吹山は岐阜県と滋賀県の県境、琵琶湖近くに位置する山です。名古屋、三重、京都、大阪から足を運ぶ人も多い、伊吹山登山の人気の理由を深掘りしていきます。
歴史的な山の名残を様々なスポットで堪能できる
伊吹山は滋賀県の最高峰で1,377mです。ヤマトタケルの神話にも登場し、古事記や日本書紀などの文献にも記録されています。この歴史的な山は古来より薬草や高山植物、野鳥、昆虫の宝庫としても有名で、山頂のお花畑は国の天然記念物に指定されています。また、交通の便がよく様々な場所から伊吹山に足を運ぶ人が多いことからも、その昔は軍事的にも都合が良かったことがわかる歴史が伊吹山中に残されています。
琵琶湖から町まで全てを見渡せる眺望
伊吹山の正面には琵琶湖があり、間に遮るものがないため頂上からは琵琶湖と長浜市を一望することができます。この眺望は頂上付近に用意されているベンチや、山頂にある飲食店や休憩所から楽しむことができます。また、伊吹山のドライブウェイを使えばこの素晴らしい景色を約3時間半の登山の中で楽しむことができることから、普段登山をあまりしていない人から、登山好きの方まで楽しめる山として親しまれています。
休憩施設が頂上に立ち並ぶから身軽な登山が可能
伊吹山頂上には山小屋が6つあり食事やお土産屋が立ち並びます。夏には野菜の販売や冷やしトマトなどをその場で食べることができます。また伊吹蕎麦や伊吹牛乳などのご当地グルメもおすすめです。食事を施設で賄うと決めれば、大きな荷物を背負わずとも身軽な格好で登山をすることができます。また宿泊をすることもできるので、伊吹山の頂上から朝焼け、夕焼け、夜景なども楽しむことができます。
春夏秋で色変わりする高山植物の宝庫
伊吹山は特に高山植物が素晴らしく、山頂一帯だけでも約350種類の高山植物を見ることができます。伊吹山全体でみると草花の種類は1200種類、薬草は135種類と高山植物の宝庫です。
以下は伊吹山の春夏秋で楽しめる代表的な高山植物です。
春には4月初旬にショウジョウバカマやアマナが一番のりで開花します。5月には白い花びらが可愛らしいニリンソウ、薄紫が可憐なグンナイフウロが見頃を迎えます。
夏には伊吹山の1年で最も高山植物がさっき乱れる景色で、シモツケソウ、イブキトラノオ、イブキフウロ、オオバギボウシ、キリンソウ、クガイソウ、コオニユリ、メタカラコウ、ルリトラノオ、シシウドなどが代表的です。
秋になると紅葉が色ずきその中で可憐に咲くイブキトリカブトやサラシナショウマなどの高山植物が咲き乱れます。
伊吹山の植物
伊吹山の気温
気温は麓と比較すると8〜10℃と低く、夏山登山は頂上で約22℃前後、春や秋山で約10℃と気温差が高いことにも注意が必要です。
山の名前 | 伊吹山(いぶきやま) |
都道府県 | 滋賀県 |
山域 | 伊吹山地 |
標高 | 1,377m |
天気・アクセスなど | 伊吹山の詳細 |
伊吹山登山のQ&A
伊吹山のトイレは?
伊吹山へは山麓、1合目、3合目、山頂にそれぞれトイレが設置されているので、突然のトイレ利用でも安心で、ファミリーハイクではとても助かります。登山中は体調変化が起きる場合もあるので、登山前になるべく済ませておくのがおすすめです。
伊吹山の降雪は?
伊吹山は例年11月に降雪があり、4月頃まで雪が残ります。伊吹山の厳冬期は非常に多くの降雪があり、標高1,500m以下でありながら50cm程の積雪になることもあります。傾斜もキツく、アイゼンが必要となる本格的な雪山を体験できるとして人気です。
伊吹山の難易度別おすすめ登山コース
伊吹山には最も人気がある表登山道と上平寺から登る上平寺尾根ルート、弥高登山口から登る弥高ルートの3種類が登山コースとして知られています。また麓から9合目を結ぶ全長17km伊吹山ドライブウェイで、伊吹山ドライブウェイ駐車場までアクセスし頂上へ行くという手段もあります。今回はこの4種類の登山コースと、アクセス、駐車場情報を紹介します。伊吹山はミニチュア富士とも呼ばれ実際に登る標高差やコースが富士山に似ています。
眺望の良さと高山植物の宝庫-表登山道コース
スタート地点 | 伊吹山登山口 |
ゴール地点 | 伊吹山山頂 |
地点間の片道距離 | 約5.3km |
累積標高 | 上り:約1,231m 下り:約84m |
片道コースタイム | 3時間40分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
表登山道コースは伊吹登山口からスタートし、1合目から9合目までポイントがあります。伊吹山登山口からは入山協力金300円を支払いましょう。
1合目の伊吹高原荘までは約20分で到着します。伊吹高原荘は琵琶湖を一望できる宿泊施設です。
2合目にはロッジ山があり、1合目から約30分で到着します。夫婦だけで営む小さな宿ですが眼下に広がる琵琶湖と見渡す限りの山の緑が美しいログハウスです。
3合目はゴンドラの遺構が残っており、中山再次郎の銅像が立っています。2合目からは約50分で到着します。中山再次郎は関西発のスキー場を開いたことで有名です。
4合目、5合目を過ぎると上平寺尾根ルート、弥高ルートと合流します。ここからはすべての登山道共通の道となり登山者が多くなるポイントです。
6合目には石造りの避難小屋があり年間を通じて開放されています。3合目からはここまで約1時間で到着します。
6合目を過ぎると頂上までは九十九折が続き、約1時間で伊吹山頂上に到着します。なつみはこの辺りにお花畑が広がり、ルリトラノオ、イブキコゴメクサ、コイブキアザミなどの固有種を目にすることができます。
伊吹山登山口の駐車場情報
伊吹山登山口には近隣に多くの駐車場があります。
①伊吹山登山口に最も近い伊吹山ゴンドラ乗り場前駐車場は、駐車料金1回300円で駐車台数は約40台です。登山口まで徒歩3分ほどです。
②伊吹山ゴンドラ前第2駐車場は①の駐車場のすぐ近くにあり駐車料金1回300円です。
③伊吹山無人駐車場はポストに協力金300円を支払い駐車することができる駐車スペースです。
①、②、③は他の駐車場が500円なのに対して300円でかつ伊吹山登山口から近いことから最も早く満車になります。早朝6時台には到着しておかないと満車になる可能性が高いです。
④伊吹山観光駐車場は伊吹山登山口の正面にある500円で出ることができる駐車場です。
その他周辺には個人で運営している駐車場がいくつかあります。登山口から近い駐車場が埋まってしまった場合に利用すると良いでしょう。
静かな登山を楽しめる-上平寺尾根ルート
スタート地点 | 上平寺 |
ゴール地点 | 伊吹山山頂 |
地点間の片道距離 | 約6.1km |
累積標高 | 上り:約1,283m 下り:約228m |
片道コースタイム | 4時間25分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
下で紹介する弥高ルートと939mピークで合流します。上平寺尾根は静かな山道が魅力です。登山口から上平寺城跡までの登山道は明瞭です。その先途中トラバース道が多くなり歩きにくい場所があるので注意して登山を行いましょう。
939mピークで弥高ルートと合流します。弥高尾根は特に危険箇所もなく静かな登山を楽しめます。
伊吹山登山者用駐車場
加美平寺集落内に無料駐車場があります。綺麗に整備された駐車場です。駐車場からは神社に向かう舗装路を歩き登山口に向かいます。
静かで景色も楽しめる-弥高ルート
スタート地点 | 悉地院 |
ゴール地点 | 伊吹山山頂 |
地点間の片道距離 | 約6.9km |
累積標高 | 上り:約1,328m 下り:約274m |
片道コースタイム | 4時間55分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
上平寺尾根ルートよりも約30分長く歩く弥高ルートは静かな登山を楽しめ、途中弥高寺の史跡あたりからは眺めの良い景色を楽しめます。
特に危険箇所も少なく939mピークで上平寺尾根ルートと合流します。
悉地院近くの臨時駐車場
登山者駐車場があり、利用する際は悉地院に声をかけていく必要があります。
たった30分で伊吹山頂上に行ける伊吹山ドライブウェイ
スタート地点 | 伊吹山ドライブウェイ |
ゴール地点 | 伊吹山山頂 |
地点間の片道距離 | 約600m(中央登山道コース) 約1.2km(西登山道コース) |
累積標高 | 約153m |
片道コースタイム | 約20分(中央登山道コース) 約40分(西登山道コース) |
難易度 | ★☆☆☆☆ |
伊吹山ドライブウェイからは約30分ほどで伊吹山頂上にアクセスすることができます。伊吹山ドライブウェイは昭和40年に完成した本格的ドライブウェイで、多くの人が気軽に伊吹山山頂に足を運ぶことができるようになっています。
伊吹山ドライブウェイのスカイテラスからは中央登山道コース(山頂まで約20分、急勾配で階段が続く登山道)、西登山道コース(山頂まで約40分)の2つのコースがあります。東登山道コースは下り専用となっており山頂からスカイテラス駐車場まで約1時間で到着します。
伊吹山ドライブウェイは普通車は3,140円(2022年5月現在)の通行料金が必要となります。ドライブウェイ入口料金所からは片道約35分ほどで山頂駐車場まで行くことができます。
以下は西登山道コースの地図です。
伊吹山ドライブウェイ駐車場
伊吹山ドライブウェイの駐車場は普通車で約600台駐車することができます。駐車料金は伊吹山ドライブウェイの通行料金に含まれているので追加で料金を支払う必要はありません。