谷川岳は群馬、新潟の県境にある日本百名山のひとつです。谷川岳は初心者から上級者まで楽しめる登山コースがあり、年間4万人を超える登山者が訪れる人気の山です。今回は谷川岳の魅力と危険について紹介しつつ、変化に富む谷川岳頂上を目指す難易度別登山コースとトイレ、駐車場情報を紹介します。
谷川岳の危険性と実態
谷川岳と聞くと魔の山、死の山と呼ばれる別名から、危険な山という認識を持つ人が多いですが、その多くが一ノ倉沢などの岩壁を登る登山者の遭難事故からのもので、天神尾根を利用するルート上では遭難者は少なく、ウィキペディアによると平成28年からは毎年2名以下の死者と報告されているようです。
しかし谷川岳は2000mにも満たない山ですが、中央分水嶺のために天候の変化が激しく、昭和初期から統計が開始された谷川岳遭難事故記録から2012年まで約800名の死者が出ており、ギネス世界記録に記載されているほどです。
天候の変化は今でも変わらず、日本海側と太平洋側の気象がぶつかる安定しない天気が多い山です。特に稜線上は強い風が吹くことが多いので、雨予報や強風予報が確認された場合は迷わず登山を延期するようにしましょう。
谷川岳の登山が人気の理由
谷川岳はトマの耳とオキの耳と呼ばれる2つの耳が谷川岳と現在では呼ばれています。それまで隣の俎嵓(マナイタグラ)が谷川岳と呼ばれていましたが、国土地理院1/50000地図の誤記が原因で谷川岳の対象が変わったという皮肉な歴史を持ちます。そんな谷川岳の登山が人気の理由を知ることで、季節ごとに変化する谷川岳の登山計画をたててみましょう。
谷川岳で楽しめる高山植物
このように危険な顔を持つ谷川岳ですが、気候の変化が激しいことから標高1500m付近が森林限界で、標高が低い場所でも色鮮やかな高山植物を楽しむことができます。5月はカタクリ、シラネアオイ、水芭蕉が美しく、6月にはハクサンコザクラやニッコウキスゲ、ヤマイワカガミを楽しめ、夏山登山になるとトリカブトやクルマユリが咲き乱れます。
四季折々に楽しめる谷川岳
紅葉の季節は特に美しく、多くの登山者が訪れるだけの素晴らしい景色に包まれます。雪山シーズンもまた美しく白一色に染まる澄んだ空気と山の景色は圧巻です。
馬蹄形でぐんま百名山を6つ一気にピークを踏める
以下で紹介する谷川岳頂上に向かう日帰り登山向けのコースとは別に、谷川岳の景色を思う存分楽しめる馬蹄形縦走コースもまた人気のある登山コースです。
地図を上から見ると馬蹄形をしたコースで、ぐんま百名山の朝日岳、笠ヶ岳、白毛門、茂倉岳、武能岳をすべて楽しむことができるアップダウンの多い中上級者コースです。
谷川岳の難易度別おすすめ登山コース
紹介するのは谷川岳へ向かう日帰り登山向けのコースで、谷川岳ロープウェイを利用する初心者コース、ロープウェーを横目に見て登山を行う田尻尾根コース、谷川岳肩ノ小屋へ向かう日本3大急登に指定されている西黒尾根コースと巌剛新道を利用する4つのコースを紹介します。
片道2時間30分|谷川岳ロープウェイを利用する初心者コース
スタート地点 | 天神平 |
ゴール地点 | オキの耳 |
地点間の片道距離 | 約3.3km |
累積標高 | 約838m |
片道コースタイム | 2時間30分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
谷川岳ロープウェイは標高差約700mを一気に駆け上り、眺望がすばらしい天神平まで行くことができます。
谷川岳ロープウェイの営業時間は
- 平日 8:00~17:00
- 土日祝 7:00~17:00
料金は
- 片道:大人1250円、子供630円
- 往復:大人2100円、子供1500円
天神平に到着すると天気が良ければいきなり雄大な景色を楽しむことができます。天神平から天神尾根の分岐までは、トラバース道が続き天神尾根に入ると緩やかなのぼりで熊穴沢避難小屋まで向かいます。
避難小屋からは徐々に高度を上げていき谷川岳肩の小屋まで向かいます。谷川岳肩の小屋に着くと雄大な稜線の景色を楽しむことができます。特に万太郎山へ向かうまっすぐに伸びた稜線は、先に先にと歩いてみたくなる美しい景色です。
谷川岳肩の小屋まで来たらトマの耳、オキの耳まではそれぞれ10分たらずで到着することができます。トマの耳からはおきの耳への稜線の景色を美しく、この辺りは風が強い場所でもあるため注意が必要です。
特に雪の季節はトマの耳からオキの耳への稜線の東側に雪庇があるため歩く際は細心の注意を払いましょう。
片道4時間25分|達成感を味わう田尻尾根登山コース
スタート地点 | 田尻尾根入口 |
ゴール地点 | オキの耳 |
地点間の片道距離 | 約5.3km |
累積標高 | 約1,399m |
片道コースタイム | 4時間25分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
田尻尾根の登山口は、林道を背にしてゴンドラの駅が左上、ベースセンターが正面に見える場所にあります。登山道中間あたりまでは緩やかな樹林帯を歩いて行きますが、後半は登りがきつくなります。鎖場など危険箇所は少なく人も少ない登山です。
頭上には谷川岳ロープウェイが行き交い、増水時には注意が必要です。天神平に着くと急に人が増えます。
片道4時間10分|日本三大急登の西黒尾根に挑戦
スタート地点 | 土合口 |
ゴール地点 | オキの耳 |
地点間の片道距離 | 約4.3km |
累積標高 | 約1,361m |
片道コースタイム | 4時間10分 |
難易度 | ★★★★☆ |
日本三大急登は烏帽子岳に向かうブナ立尾根、甲斐駒ヶ岳に向かう黒戸尾根、そして今回紹介する谷川岳へ向かう西黒尾根です。
西黒尾根の特徴は登り出しからいきなり始まる急登です。そしてこの急登が平らな場所がほとんどなくトマの耳まで延々と続くことです。
土合口からガレ沢のコルまで約2時間40分、長い樹林帯を歩いて行きます。ガレ沢のコルの手前には鎖場が出現するので注意して歩きましょう。
ガレ沢のコルで下で紹介する巌剛新道と合流します。トマの耳までは更に急登が続きますが、氷河の削った山容と、高山植物を楽しめ、疲れを癒してくれることでしょう。
トマの耳手前は東斜面のため7月頃まで残雪が残ります。トマの耳に到着すると雄大な景色が広がり一気に疲れが吹き飛びます。
片道4時間|鎖場の多い巌剛新道
スタート地点 | マチガ沢出合 |
ゴール地点 | オキの耳 |
地点間の片道距離 | 約3.2km |
累積標高 | 約1,198m |
片道コースタイム | 4時間 |
難易度 | ★★★☆☆ |
三大急登の西黒尾根で大変な思いをした人が代わりに使う登山道という印象が強いですが、こちらの登山道も一部、道が沢になっていて滑りやすく注意が必要なポイントが多くあります。
マチガ沢出合からの距離と累積標高とコースタイムにしていますが最寄りの駐車場は10台と少なく、駐車ができない場合は土合口に止める必要があります。その場合はプラス30分の時間が必要になりますがトラバース道でほとんど平坦な道を歩くことになります。
巌剛新道の第一見晴では、マチガ沢と東尾根の眺望が素晴らしく、この展望を楽しむために利用する価値のある登山道です。
第一見晴からガレ沢のコルまでは多くの鎖場とはしごがあるため注意が必要です。ガレ沢のコルからトマの耳までは西黒尾根コースと同様です。
谷川岳のトイレ情報
場所 | 標高 | 備考 |
---|---|---|
JR土合駅 | 650m | -- |
谷川岳ロープウェイ | -- | 立体駐車場内、ベースプラザ内、土合口駅内、天神平駅内 |
登山指導センター内 | 700m | 屋内なので、登山指導センターが開いていないと利用不可 |
谷川岳肩ノ小屋 | 1,910m | 谷川岳肩ノ小屋の屋外 |
一ノ倉沢出合公衆トイレ | 880m | -- |
谷川岳の駐車場情報
①谷川岳ロープウェイ屋外駐車場
屋外の駐車場は約500台駐車可能です。乗用車は料金500円です。
②一ノ倉沢入り口 土合橋駐車場
約50台無料で駐車可能です。
③一ノ倉沢出合駐車場
自動車での乗り入れが不可能となっています。駐車場は谷川岳ロープウェイの有料駐車場を利用しましょう。
④谷川岳ロープウェイ立体駐車場
立体駐車場内は約1000台駐車可能です。乗用車は料金500円です。
⑤マチガ沢出合駐車場
10台ほどが駐車できるスポットです。直ぐに満車になるので早朝の到着が望ましいです。
谷川岳の温泉情報
谷川岳近隣には温泉がなく、数十分車を走らせる必要があります。上記は日帰り温泉ができる施設です。