ダウンが汗や雨などの湿気をまとってしまうとダウンの嵩が低下し、保温力が下がってしまいます。だから登山終わりのお手入れと、正しい洗濯をすることで保温力を維持することができます。今回は正しいダウンジャケットの洗濯方法を紹介します。
ダウンジャケットのお手入れについて
まず洗濯をする前にダウンジャケットの正しいお手入れ方法を学びましょう。登山から帰ってきたらダウンジャケットは必ず湿気を含んでいます。たとえ乾いていると思っても、タンスやクローゼットにしまわずに風通しの良い場所で24時間乾かしてから収納するようにしましょう。これはダウンジャケットだけでなく、ダウンシュラフやフリースなど登山ウェア全てに言えることです。
ダウンジャケットをクローゼットに収納する際、湿気に気をつけましょう。クローゼットの中の湿度によってダウンが湿気を吸ってしまい、膨らみが足りない状態で使用してしまうと本来の保温力が発揮していない状態で使用することになり登山にリスクが生じてしまいます。保湿剤や不織布などの通気性のある大きめの袋に入れ保管するのも効果的です。不織布の袋は100均などで売っています。
ダウンジャケットを洗濯する必要性
ダウンジャケットは洗濯をすることで従来の保温力を維持・復活させることができます。ダウンジャケットに汗による皮脂、雨などによる汚れが付着していると保温力が低下してしまいます。全てのダウンジャケットが洗濯処理できるとは限らないので、必ず洗濯表示を確認して正しい洗濯を行うようにしましょう。
ダウンジャケットの正しい洗濯方法
ダウンジャケットを洗う際には、ダウン用洗剤を使用するようにしましょう。また柔軟剤は使用してはいけません、ダウンの保温力が失われる原因となります。
ステップ1:洗濯表示を確認する
まず初めに洗濯表示をチェックします。僕が持っているダウンジャケットは全て同様の洗濯表示でした。
上の画像の一番左から説明します
- 適温は40度を限度とし、洗濯機で弱い洗濯ができる
- 塩素系及び酸素系漂白剤の使用禁止
- 低い温度でのタンブル乾燥ができる?(排気温度上限60度)
- アイロン仕上げ禁止
- ドライクリーニング禁止
洗濯表示にある通りダウン用洗剤を使って洗濯機で洗います。
ステップ2:ダウン用洗剤で洗濯をする(洗濯機編)
ダウンジャケットのジッパーやベルクロを閉じ、ドローコードは緩めましょう。ダウンジャケットの袖口や襟周りなど、汚れがひどい場合には直接原液を塗布しておきます。
洗濯機の洗剤投入口に他の洗剤が付着していないか確認をして、付着している場合は取り除きましょう。
洗濯機にダウンウェアを投入して洗濯機の水量を設定します。通常の標準コースで脱水なしを選択してスタートします。水量は使用するダウン用洗剤によって異なります。また洗濯をするダウンジャケットの数によっても異なります。
洗濯機に水が溜まったら洗濯機を一時停止し、ダウンジャケットが水に充分染み込んだことを確認します。そこへダウン用洗剤を投入し、洗濯機を再度スタートさせます。
洗濯が終わったら、しっかりとすすぎが行われているか、ダウンの中に洗剤が残っていないかを確認します。ダウンを水の中でかき混ぜて濁った水が出てきたら再度すすぎ洗いをしてください。この時に絞ってしまうとダウンとダウンがくっついて、乾かす時に面倒なので注意してください。
すすぎが足りず、ダウンの中に洗剤が残っているとダウンの嵩が蘇りづらくなり保温力が落ちてしまいます。
ステップ2:ダウン用洗剤で洗濯をする(手洗い編)
ダウンジャケットのジッパーやベルクロを閉じ、ドローコードは緩めましょう。ダウンジャケットの袖口や襟周りなど、汚れがひどい場合には直接原液を塗布しておきます。
大きめのバケツや洗面所の洗面器に水を張ってダウン用洗剤を入れて押し洗いします。ダウンを握らないように優しく押しましょう。この時の水の量と洗剤の量はダウン専用洗剤によって異なります。バケツが小さい場合は水の量を減らし、それに見合った洗剤を投入しましょう。
何度か押し洗いをして汚れがとれたら次はすすぎです。綺麗な水に取り替えながら4回ほど水が全く泡立たなくなるまで続けたら終わりです。
ステップ3:ダウンジャケットを乾かす
ダウンジャケットの最も面倒な作業に乾かしがあります。ダウンジャケットを洗濯機や洗面器から取り出すとほぼぺったんこになっています。この状態でぎゅっと絞らずに濡れたまま、ハンガーやネットなどの上に平にして置いて、しばらく水を切ります。洗面器で洗った際に、ベランダなどに持っていくときは大きめのビニールに入れると便利です。
!注意ポイント
びしょ濡れのままハンガーに吊るすと中のダウンが偏ってしまいます。また絞ってしまうとダウンとダウンがくっついてしまい、最後乾いた時に羽毛が固まった状態になってしまいます。
だんだん水が切れてきて、ダウンジャケットの外側の生地が乾燥してきたら太めのハンガーに吊るして干しましょう。
干しているうちに生地全体が乾いてきて、羽毛も少し湿っている程度までになったらダウンジャケットをひたすら叩きます。
洗濯した後の羽毛は固まった状態なので、ダウンが空気をため込んでくれません。だからダウンとダウンがくっつかないように叩いて剥がしていきます。約2時間ほどテレビを見ながら叩き続けましょう。
洗濯表示でタンブル乾燥ができる場合は乾燥機を使うことで叩くのと同じような効果があります。
ダウンを洗濯する時は天気が良い乾燥した日がおすすめです。しっかりとダウン嵩を取り戻したダウンジャケットを活用することで、山頂で体を温かくして過ごすことができるでしょう。
おすすめのダウン用洗剤3種類
今回紹介した洗濯機を使用した撥水剤にオススメなメーカーは3種類です。レインウェアやウィンドシェルなどだけでなく、フリースや化繊ジャケットにも使用できます。
※横スクロールで表がスクロールできます。メーカー | NIKWAX | グランジャーズ | モンベル |
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商品名 | ダウンウォッシュダイレクト | ダウン ウォッシュ コンセントレート | O.D.メンテナンス ダウンクリーナー |
溶剤 | 界面活性剤(11.4%アルキルグルコシド、5.7%純石けん分(脂肪酸ナトリウム)) | 界面活性剤(2%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル) | 界面活性剤(26%、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン)、安定化剤 |
容量 | 300ml | 300ml | 200ml |
価格(税込) | ¥1,540 | ¥1,600 | ¥770 |
ウェア1~2着に対して必要な洗濯剤の量 | 150ml | 50ml | 30ml |
水の量 | 24l | 20l | 30l |
NIKWAX ダウンウォッシュダイレクト
撥水ダウン製品から通常のダウンまで使用ができる洗剤です。洗浄力だけでなく、撥水効果の回復や活性化を促す特徴があります。過去にアウトドアアワードで賞をとった実績のある洗剤で、フルオロカーボンフリーで環境に安全な製品です。
グランジャーズ ダウン ウォッシュ コンセントレート
水性タイプのダウン用洗剤です。ダウンジャケットや寝袋、また化繊中綿入りの製品にも使用可能な洗剤です。ダウンのもつナチュラルオイルを保ちながら匂いや汚れを洗浄する洗剤で、使用することでダウンロフト(膨らみ)を回復させることに注力した洗剤です。
モンベル O.D.メンテナンス ダウンクリーナー
汗や皮脂汚れを落とすことで保温力を回復するダウンや化繊中綿入りの製品に最適の洗剤です。