東北のトレイルの魅力を探る『七時雨山』Vol.3

2回に渡ってお送りしてきた岩手県は七時雨山でのローカルトレイルレポ。3回目の今回が最終回。今回は1日目とはまた違ったトレイルを新たなメンバーも加わりファンランしようという計画。

2日目の楽しい時間に煽りを受けて飲みに飲んだお酒が抜けないのと、初日の約30キロのトレイルが堪えたのか、筋肉痛が辛い。以前30キロは比較的余裕を残して走れたというのに、今回は何でだろう?とシューズに目をやる。

 

アルトラ ローンピーク

僕はこの日にアルトラのローンピーク3.0を履きはじめたのだが、それまではホカオネオネのラパヌイ2.0を履いていた。クッション性の違いもあるし、ドロップもホカが5mmに対してアルトラは0mm。この違いは大きかった。

これらがダメージに響いたかというと、間違いではないけどそう単純なものではないらしい。後から色々調べてみるとアルトラにはアルトラシューズなりの走り方というものがあり、単純に言うとヒールストライクを軽減した走り方が重要だという事のようだ。

ただただ格好いいから、皆が持っているからというだけでシューズを選ぶのではなく、自分がいまどういう走りをしたいのかという視点で選ぶ事は非常に重要な事だと、改めて感じた。

 

サカナの力

いつも愛用している「サカナの力」も1日目の終了時に飲んで、少しでも2日目に走れるようにと策をうち、通常よりも痛みや気力はよみがえっているものの、完走は厳しいだろう。

 

七時雨山

そう思いつつも新たなトレイルはやっぱり見ておきたくて、皆には先を行ってもらってショートコースで最終日の七時雨を楽しむことにした。

七時雨山

まず初めは昨日の帰りに走ったコースを逆走する。クマが出てこないか…とにかくクマ鈴を余計にならしながら歩を進める。するとちょっと先にテクニカの土屋さんが待機してくれていた。「僕もあんまり調子よくないから、一緒にショートコースを楽しもう」と優しい言葉に励まされて先へ向かう。

 

鹿角街道

これから歩いていくトレイルは「鹿角街道(かづのかいどう)」という道で、岩手県盛岡市から八幡市を経由し、秋田県鹿角市、大館市に至る約100キロに及ぶ街道の一部ということ。そういえば昨日、一里塚や道漂があったが、往時を忍ばせる遺跡だったのだろうか?保存状態の良さに驚く。

 

鹿角街道

土屋さんから話を聞くと、その昔は塩や穀物のほか鉱物資源を盛岡や江戸まで運ぶための大事な役割を果たしていた道ということ。この街道の横には車が走る新たに作られた砂利道があるが、こういう話を聞かなければきっと見過ごしてしまいそうな、森の中にこの街道は存在する。

森に囲まれた道。緑に纏われた道。歴史を忍ばせる道。どれにもあてはまる魅力ある鹿角街道を歩いていると、そんな生易しい気持ちでこの道を昔の人は歩いていなかったと思われる道標に目が留まる。

車の走り峠

車の走り峠

「車の走り峠」。標高は約710m。街からここまで登ってくるのはきっと辛かっただろうと容易に想像できる。そもそも運ばれたのは、米などの穀物、塩、金、銅などだから、相当な重さの荷物と一緒だったに違いない。

後からこのあたりの古図を調べてみると「雪中牛馬不通」と書かれていた。難儀を強いられたことが想像できる。

 

賽の神群

「賽の神群」。これは道中の安全や未知の世界からの悪霊や悪病を塞ぐための石を積み上げた塚。このあたりは街道の中でもきっと難所だったのだろう。

 

助け小屋跡

「助け小屋」。ここは旅人から風、雨、雪などの難儀から守る、いわゆる避難・休憩の場所だったということ。猛吹雪では一夜を明かすこともあったといわれているよう。

古くからの街道は、例えば、奥州街道などは、時代が下るにつれて国道として整備されていった。こうして古道として残ったところは、未開発の不便なところ。しかも、ここは国有林の中だったからこうして昔のままの状態がよく保存されている。

 

マンダの木

こういった歴史を忍ばせる土地と道にふと足を止めて、会話を楽しみながら少しづつ七時雨山を登っていく。助け小屋を過ぎてちょっとすると、根っこが四方八方に広がり、枝が躍っているかのような大木に目を奪われる。これはマンダの木という。

日本新百名山『七時雨山』

新日本百名山という目新しい名前がついた七時雨山。深田久弥の日本百名山は知っていたが、これは初お目見え。なんだろうと調べてみたら登山家の岩崎元郎氏が、中高年が登り易い山という点を加味して選定した日本の百山だという。

 

七時雨山

確かに歴史を感じ、標高も1,060mというやや低めの山ではあるが、この登りはなかなかの勾配だった。西根寺田コースという名前らしいが、今までの登山でもあまり経験をしたことがない勾配だった。

 

七時雨山

七時雨山

しかしながらこの勾配のキツさが功を奏して尾根で景色が隠れることなく眼下の景色を望むことができ、そこは紅葉で彩られた尾根で、なんとも美しく一瞬の間疲れも吹き飛んだ。

 

七時雨山

七時雨山

登頂を果たし、1日目のコースを今度は逆走。ヒジョーに走りがいのある気持ちの良いトレイルだったのだが、下り道で足を地に着くと「ビクビク」と太ももが痙攣する。これからの長い山人生を考えたら、とにかく故障しないようにゆっくり歩いて下って行こうと心に決めた。

 

七時雨山の牧草地帯

見覚えのある牧草地帯に足を踏み入れると、もうすぐ山小屋。なんとか無事に帰れそうだと胸をなでおろす。そうして気を緩めていると、山小屋到着目前に牛のフンに足を突っ込みそうになった。最後の最後で痛い目にあいそうになった僕は「旅の終わりは家に着くまで」という言葉を反芻して残りの短いトレイルを慎重に歩いた。

七時雨山荘

こうして楽しい仲間とのトレイルタイムと七時雨山荘での美味しい食事を存分に満喫した2日間は幕を閉じようとしていた。

盛岡駅までは今回夜行バスを使ってきたわけだが、帰りもせっかくだから盛岡駅周辺を楽しもうかな~なんていう計画で帰りも夜行バスで帰ることに決めた。21時盛岡駅出発ということで、16時頃にこれまた行きと同じように中川くん、ケンジさんに車で送ってもらった。

土屋さんは新幹線で帰るということで、出発までの時間一緒に盛岡グルメを堪能することにした。盛岡のグルメといえば冷麺あたりを思い浮かぶのだけど、今回は東京でも食べることがなかなか出来ないだろう「じゃじゃ麺」というのを食べにホットジャジャという駅前のお店に足を運んだ。なかなか面白い趣向で、食べ終わったら生卵をお皿に余ったタレに絡めてスープを作ってくれる。

 

ベアレンのビール

その後、ベアレン醸造所という地元岩手県盛岡市でドイツより移設した醸造設備を駆使して、伝統的な製法でクラッシックビールを楽しめるブルワリーのビールが駅前で楽しめるということで、ビア&ヴルスト ベアレンへ足を運んだ。

ベアレンのビールには僕も土屋さんもニンマリ。雰囲気もいいし、ビールも旨いし、後は酔いに気持ちを任せながら東京に帰るだけ。あまりにも美味しかったので駅中の酒屋でベアレンビールのお土産も買っていった。

今度はいつ来れるだろうか。毎年1回でもいいから継続的に東北の魅力を探りたい。そして日本は面白い。まだまだ知らない魅力が多くあるんだろう。


東北のトレイルの魅力を探る『七時雨山』Vol.1
東北のトレイルの魅力を探る『七時雨山』Vol.2
・東北のトレイルの魅力を探る『七時雨山』Vol.3



トレイルランニンググッズを取り揃えるSo Cal