年間を通して多くの登山者を迎えている、山梨県・長野県に位置する山岳エリア、八ヶ岳。急峻で難易度の高いルートの多い南八ヶ岳において、最南端に位置する編笠山は、南八ヶ岳の峰々から南アルプス、諏訪の自然を一望できる眺望で人気があり、南八ヶ岳の中で登りやすいことでも知られています。今回は編笠山のおすすめルートをご紹介します。
編笠山登山が人気の理由
人気①:南八ヶ岳から南アルプスまで望める贅沢な眺望
編笠山の大きな魅力は、山頂から望める八ヶ岳らしさが存分に詰まった眺望です。八ヶ岳の主峰、赤岳を始め、南八ヶ岳の稜線を見渡せ、南アルプス、麓には諏訪の街並みが見え、諏訪湖も望めます。頂上は視界が開け、360度の景色が楽しめるだけでなく、頂上は南八ヶ岳エリアの中では広々としており、登りやすさも相まって、のんびりと頂上タイムを過ごせるのも魅力です。
人気②:登りやすい登山ルート
編笠山のルートは、北側の権現岳からのルートを除けば、難儀する岩場や高度感もなく登りやすいルートになっています。初めて登る八ヶ岳としておすすめの山で、登りやすいだけでなく編笠山ならではの空間が続くことも魅力です。
季節ごとに異なるシャクナゲを始めとした植生に癒やされ、樹林帯から一気に開ける頂上直下の開放感は編笠山らしさが詰まったポイントが私は好きで、実力が付けばより登りごたえのある権現岳との周回コースを組んだりできるなど、多様な計画を組めることも嬉しいですね。
人気③:山小屋・テント泊でゆっくり浸かれる山時間
編笠山と権現岳の間に青年小屋という山小屋があります。小屋泊・テント泊が可能な山小屋で、南八ヶ岳から北方へ縦走する要所として在り、日帰り可能な編笠山と権現岳ですが、宿泊することで2座を余裕を持った時間で登頂することができ、初めての山小屋・テント泊にもおすすめです。
昭和30年代から営業している青年小屋。入り口にある提灯が目印で、遠い飲み屋と書かれています。情緒ある雰囲気と親しみやすい山小屋で、常連さんもいらっしゃる人気の山小屋です。
編笠山登山のQ&A
難易度は?
登山者が最も多い観音平から登山の場合、鎖場を始めとした難所はなく、頂上までの標高差は1,000mと、初心者の方でも登れる難易度です。1日の行動時間の目安である8時間以内で往復でき、ルートの大半は樹林帯の中を歩くため、悪天候の影響は高所に比べて受けにくく、青年小屋の存在も在り、安全に登れることも大きなポイントです。
アクセスと駐車場は?
登山口である観音平と富士見高原はマイカーでのアクセスが可能です。
観音平は小淵沢駅・富士見高原は富士見駅からタクシーを利用することもできます。
水場とトイレは?
登山口である観音平・富士見高原にはトイレがあります。水場は富士見高原からの場合、ルートによっては水場に寄ることもできます。
青年小屋付近にも水場があります。要所で水分は補給できますが、日帰りの場合は事前に持っておくのが良いです。
利用できる山小屋は?
編笠山の北方に位置する青年小屋が、編笠山登山で利用できる山小屋です。樹林帯の中にぽっかり開けた場所に佇む歴史ある山小屋で、直上からもその姿が目視できます。
アクセスは富士見高原からは西岳を経由して行け、観音平からは頂上を経由せず直接青年小屋に向かうことができます。小屋泊とテント泊が可能で、テント泊は無人の時でも料金を小屋入り口の箱に入れれば利用できます。
利用は予約制となるので、事前に連絡を入れておきます。
雪はいつから?
積雪は10月頃からあり、5月頃まで残ります。冬季は登山口のひとつである観音平は通行止めとなるので、積雪期の登山は富士見高原が主となります。積雪期は冬用のウェアからアイゼンなど、雪山装備が必要です。積雪期は樹林帯を越えると風が強くなったり夏道が消えて基本的な地図読みも必須となりますが、十分な経験と知識があれば初級の雪山として楽しめます。
編笠山のおすすめ登山コース
紹介した山 | 編笠山 |
都道府県 | 山梨県・長野県 |
標高 | 2,524m |
天気・アクセスなど | 編笠山の詳細情報 |
樹林帯から開放感ある山頂へ−観音平ルート
スタート地点 | 観音平 |
ゴール地点 | 編笠山 |
地点間の距離 | 3.3km |
片道コースタイム | 3時間10分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
八ヶ岳南端の登山口、観音平からスタートするルートです。大半を樹林帯の中を歩きますが、八ヶ岳特有の植生が広がり、静かな登山が楽しめます。権現岳を目指す場合や宿泊の場合は青年小屋へ向かう道が付いています。
私は関東沿岸部に住んでおり、近隣の山域を夏に登ると、蒸し暑さでウェアがすぐに汗びっしょりになり、天気の良い日に登る気になれないのですが、同じ樹林帯でも標高が高く気持ち良く歩けるので、観音平の樹林帯はお気に入りです。
印象的なスポットはあまりないのですが、押手川付近は少し開けた印象があり、腰を落ち着けて休むのに良い場所です。
頂上は文句なしの眺望です。遠方から八ヶ岳に来た人にとって、ここからの景色は下山するのが惜しいもので、しばらく山頂標識の前に立ち尽くしてしまいます。山頂に広がる世界を十分に楽しんだら、ゆっくりランチをして下山します。
多様な登山計画が立てられる−富士見高原から編笠山
スタート地点 | 富士見高原 |
ゴール地点 | 編笠山 |
地点間の距離 | 4.5km |
片道コースタイム | 3時間50分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
山麓でレジャーを楽しめる富士見高原を登山口にして登るルートで、観音平と同様に樹林帯を歩き、山頂を目指します。編笠山の北西に位置する西岳に至るルートにもなっており、青年小屋を経由して編笠山を登れば、周回ルートで充実した山行にすることができます。
途中、最短距離を迂回することになりますが、水場の不動清水があります。不動明王を奉った場所で湧き水が出たことからその名が付けられたそうです。近くにはトイレもあり、時間があればちょっと寄り道してみるのも良いです。
頂上で休憩をしたら、来た道を戻ります。
おすすめ温泉情報
延命の湯
小淵沢インターから観音平・富士見高原間に位置する温泉で、下山後に立ち寄りやすく、岩風呂・露天・サウナと、登山の疲れをゆっくり癒せるのが魅力です。道の駅にあるので、温泉に浸かった後は自分のご褒美とお土産を買って帰れるので、登山者にはとてもありがたいスポットです。
編笠山で八ヶ岳の自然を満喫しよう
編笠山は八ヶ岳の南端に位置する山で、急峻なイメージの南八ヶ岳エリアにおいて、登りやすく眺望に優れた山です。日帰りがメインですが、青年小屋を利用することで宿泊山行も楽しめ、テント泊初心者の方でも安心して挑戦でき、八ヶ岳縦走のスタート地点として位置する山であるなど、多様な目的を持って登れる魅力を持っています。
編笠山に登って、八ヶ岳の自然を存分に満喫してくださいね。