徳島県と高知県にまたがる標高1893mの山「三嶺」
どこまでも続く笹原の稜線や人の手が入っていない原生林など、多くの魅力を持つハイカーに人気の山です。
今回はそんな三嶺のおすすめ登山ルートを3つ紹介します。
三嶺の基本情報
日本二百名山および四国百名山に選定されている三嶺。徳島側では「みうね」、高知側では「さんれい」と呼ばれています。
通年登れる山ですが、4~11月にかけての時期がおすすめです。特に7月初旬~中旬にかけては、山頂付近に天然記念物のコメツツジの群生を見ることができます。
山の名前 | 三嶺 |
都道府県 | 徳島県・高知県 |
標高 | 1,894m |
天気・アクセスなど | 三嶺の詳細情報 |
三嶺のおすすめポイント
どこまでも笹原の縦走路が続く!四国一の天空稜線!
三嶺の魅力は数多くありますが、特に人々を魅了してやまないのが四国一と呼ばれる笹原の稜線!三嶺山頂から天狗塚、剣山のどちらのルートに行っても、気持ちのいい稜線歩きを楽しむことができます。
山小屋などの施設が充実している
三嶺の山頂には30人は余裕で収容できる無人小屋の三嶺ヒュッテがあります。その他にも剣山から三嶺の縦走路場には剣山山頂ヒュッテ、丸石避難小屋、白髪避難小屋、さらに三嶺から天狗塚方面へはお亀岩避難小屋などの施設が充実しています。ぜひ小屋泊を楽しみながら四国一の縦走路を堪能してみてはいかがでしょうか。
四国秘境の地!数多く残る原生林
三嶺は秘境と呼ばれる奥祖谷集落のさらに奥地に位置しているため、人の手が入りにくく、数多くの原生林が残っています。
観光の山とは違う、自然と対話しながら静かに登山を楽しめる魅力があります。
三嶺の難易度別おすすめ登山コース
【初心者におすすめ】名頃登山口〜山頂 ピストンコース
四国の秘境、祖谷渓の最も奥地にある名頃。その名頃にある登山口から登り始めます。
名頃登山口からのルートはほぼ尾根沿いに伸びています。ブナやミズナラの静かな自然林の中を進んで行きましょう。登山道沿いの背の低い植物はシカの食害により植生が失われているため、やや登山道が分かりにくくなっています。コースから外れないように注意しながら進みましょう。
ほどなくすると、ダケモミの丘に到着します。シカの食害から木を保護する柵が設置されているのが特徴的です。ダケモミの丘を過ぎて進んでいくと、勾配がだんだん急になってきます。大岩を過ぎると、ウラジロモミの林から背の低い木々やササに植生が変化して行きます。
急勾配のガレ場、笹原を過ぎると一気に視界が開け、目の前に池とミヤマクマザサの草原が現れます。そこから右側にルートをとると三嶺ヒュッテ、左へルートをとると三嶺山頂です。三嶺ヒュッテの奥にはトイレがあります。トイレットペーパーは各自持参で、環境保護のため持ち帰りとなっています。
三嶺山頂からは東には剣山系、西には天狗塚へのびる稜線が望め、天気のいい日には石鎚連峰を望めることもあります。
【四国一の縦走路を堪能する】三嶺~剣山縦走コース
名頃登山口から三嶺までは上のコース紹介を参照ください。
三嶺山頂からは南の尾根上を下って行きます。傾斜はきつく、途中鎖場もあるため慎重に下って行きましょう。ほどなくすると尾根が広くなっていき、カヤハゲに到着します。カヤハゲからは大迫力の三嶺を望むことができます。
カヤハゲを越えていくと、次のピークである白髪ノ別れに出ます。右の稜線を進むと白髪山に立ち寄ることができます。白髪山山頂からの展望も素晴らしく、三嶺や西熊山などの山々を望むことができます。白髪山に行かない場合は左側の尾根を進むと白髪避難小屋に到着します。
白髪避難小屋から丸石避難小屋まではコースタイムで2時間以上の距離があるため、小屋泊は三嶺ヒュッテか白髪避難小屋がおすすめです。
白髪避難小屋から笹原の大草原を見ながら進んで行くと、徐々に高度が下がって行きます。ブナやミズナラの天然林が姿を現し、そのうちに丸石に到着します。丸石から次郎岌まではじわじわとした登りが続きます。次郎岌に登らず迂回するルートもあるため、自分の体力と相談して決めましょう。
次郎岌山頂からは剣山と笹原の縦走路を見ることができます。ここまでくれば剣山まであと少し。次郎岌から剣山へのルートはザレ場もあるため滑らないように注意しながら進みましょう。
次郎岌から80分ほど歩くと、剣山へ到着です。剣山山頂からは三嶺から歩いてきた稜線を一望することができます。剣山山頂直下の剣山ヒュッテでは軽食を食べることができるので、ぜひ立ち寄ってここまで歩いてきた自分の体を労わりましょう。剣山ヒュッテからは刀掛コースや剣道コースなどバリエーションに富んだルートを楽しみながら下りましょう。剣山リフト西島駅からは、歩けば約50分のコースをリフトなら約15分で下ることができます。
【どこまでも続く笹原の稜線を歩く】名頃登山口~三嶺~天狗塚縦走コース
このコース最大の魅力は三嶺から天狗塚まで遮るものがない笹原の稜線が続いており、周囲の山々を見ながら天空散歩を楽しめることです。
名頃登山口から三嶺までは上のコース紹介を参照ください。
三嶺山頂からのルートは笹が生い茂るようになります。ショーツだと足に傷ができやすいので、長ズボンを履いておくのがおすすめです。西熊山までのルートは前を見れば広大が笹原が広がっており、振り返れば三嶺の姿と、いつまで見ていても飽きない景色につい何度も足が止まってしまいます。
笹原の縦走路は緩やかに下りと登りを繰り返し、三嶺から90分ほどで西熊山に到着します。西熊山山頂は展望が非常に良く、これから行く天狗塚の姿も見ることができます。
西熊山から30分ほど下ると、お亀岩避難小屋に到着します。一泊二日でこのルートを縦走するときは水場、トイレがあるこの小屋を利用するのがおすすめです。
お亀岩避難小屋からは笹原とやや背の高い木々の間を進んで行きます。ロープを使う急勾配が数か所ありますが、距離は長くなく通過するのに時間はそれほどかかりません。お亀岩避難小屋から40分ほどで天狗峠に着き、三角の天狗塚の姿が大きく見えてきます。天狗塚への最後の登りは下から見ると果てしなく感じますが、実際に登ってみると15分ほどで山頂に到着します。天狗塚山頂は大展望が広がっており、東には三嶺、剣山、次郎岌、西には高知県、愛媛県の山々を見ることができます。
天狗塚から天狗塚登山口までは急勾配を下って行きます。足元がやや悪く、滑りやすいので注意して進みましょう。
三嶺の登山口情報・アクセス
名頃登山口
登山口情報
整備された駐車場で、30台ほど駐車可能です。駐車場横にトイレあり。
登山口までのアクセス
▼車の場合
徳島県美馬ICから1時間40分
▼バスの場合
①JR徳島線阿波池田駅から四国交通バス久保行に乗車し、「久保」で下車します。
▼四国バス交通HP
路線バス | 四国交通株式会社 (yonkoh.co.jp)
②三好市営バス名頃行に乗車し、「名頃」で下車します。
▼徳島県三好市市営バスHP
市営バス(東祖谷地区) - 三好市 (i-tokushima.jp)
天狗塚登山口
登山口情報
整備されていません。林道の隅に5台ほど駐車可能です。駐車場までの道も石が多く、穴が開いている箇所があります。
トイレなし。
登山口までのアクセス
▼車の場合
美馬ICから1時間50分
▼バスの場合
①天狗塚登山口から道路を渡った先にある道を久保バス停まで1時間40分下ります。このルートは使用する人が少ないので三嶺の他の登山道より整備されていません。道もややわかりにくくなっています。
②久保バス停から四国交通バス池田行に乗車し、阿波池田バスターミナルで下車します。
▼四国バス交通HP
路線バス | 四国交通株式会社 (yonkoh.co.jp)
見ノ越登山口
登山口情報
整備された駐車場です。第1駐車場から第3駐車場まである大変広い駐車場で、料金も無料です。ただし、第3駐車場は登山口から2キロ程離れています。
トイレあり。
登山口までのアクセス
▼車の場合
美馬ICから70分
▼バスの場合
登山シーズン中には剣山登山に便利な「ぐるっと剣山登山バス」が土日祝日に運行されています。ゴールデンウィークや夏休み期間中は平日も運行されていることもあります。
▼徳島県HP「ぐるっと剣山登山バス」情報ページhttps://www.pref.tokushima.lg.jp/sp/ippannokata/kurashi/chihososei/7205532
三嶺登山後のおすすめ山旅スポット
天空の村・かかしの里
300体以上のかかしがいる天空の村・かかしの里。
名頃登山口にほど近い、東祖谷の名頃地区にその村はあります。日本の原風景のような、農作業をしたり井戸端会議をしたりするかかし達の風景に思わず懐かしさを覚えます。
訪れた人を地元の方々が「入っていき」と暖かく出迎えてくれる様子も見られ、なんだか小さい頃におばあちゃんの家に行った時のような気分になり、心が癒されるスポットです。
桃源郷祖谷の山里
徳島県の祖谷地方、落合集落にある宿泊施設「桃源郷祖谷の山里」。築100年以上の茅葺きの古民家を一棟貸し切って宿泊することができます。
宿泊棟は全部で8棟。建物はかつてそこで営まれてきた生活を感じさせる造形や素材感を残しつつ、モダンでおしゃれな雰囲気を感じられる造りに改修されています。
登山の後は茅葺古民家でのんびり里山時間を楽しんでみてはいかがでしょうか。
▼桃源郷祖谷の山里HP