なぜこれ程までに飯豊山にあこがれを抱くのか?「飯豊山登頂を果たす為には、どこかで1泊を要するのが常」という難易度に対する挑戦欲か?「花の宝庫」と言われる色彩にあふれる縦走路を歩いてみたいという欲望からか?
このような個性を持つ飯豊山は南に福岡、西に新潟、東に山形と県境に位置する縦に長く、大きな山塊である。
今回楽しむ飯豊山の登山ルート
今回の山旅は、南は弥平四郎登山口、北は飯豊山荘へと抜ける4泊5日という計画だ。5日分の食料と行動食、予備のガスを含めると約17キロとなり、1日の行程は、力に余力が残る程度に、ということと、夏休みの時期で人も多い可能性を踏まえ、昼の12時前後にはテント場に到着できるようにとプランを練った。
1日目は弥平四郎にバスで15時に到着し、祓川山荘へ。
外観から察して、居心地の悪さを想像していたが、内部は整理されていてゆっくりくつろげた。
2日目に出会った飯豊山
2日目は6時に出発し、主稜を一望できるという疣岩山に9時到着。あいにくのガスに覆われ最高の眺めとまでは言えなかったものの、大日岳、御西岳がガスの合間から見れたときは心躍った。
切合小屋のテント場は開けており、晴れていると大日岳を眺める事ができる。この日はおおよそ17張テントで賑わった。12時到着したときは僕以外に1張で、平らな良い場所を確保できた。
飯豊山の登山での達成感
3日目は本山である飯豊山、最高峰の大日岳をピークハントするメインディッシュ的な1日。本山小屋から「さあいよいよ飯豊山!」という20分の道のりは「やっとここまで来た」という達成感と高揚感に包まれた。
しかしながらこれ以上の感動が僕を待っていたのだった。
それは御西岳へ通ずる縦走路に咲き乱れる花々達。これこそ「咲き乱れる」という言葉にふさわしく、鮮やかな色彩に魅了されっぱなしだった。ただごちゃっと花が咲いているのではなく、自然がおりなすルールに従って、場所場所で楽しめる花があり、それが景色を彩っている。
8月上旬、ここ飯豊山のみで楽しめるイイデリンドウをはじめとし、開花している花の種類は多い。足をとめては見惚れて写真に収めるのである。
御西小屋のテント場はまるで大日岳を眺める舞台のようにあり、夕日、朝日と日の当たり方で変化する大日岳を楽しめる。ここのテント場から近いところに御西岳の三角点がある。ここからの眺めは360度飯豊山塊に囲まれる絶景を楽しめるスポットだ。解りづらい場所にあるので、小屋の人に聞いて是非訪れてみて欲しい。
飯豊山の登山まとめ
最終日は北股岳を経由し、飯豊山荘へと下山する。途中烏帽子山から飯豊山を見渡すと主要山全てが眺められるだろう。あいにくこの日はガスってしまい景色を楽しむ事は出来なかった。途中、梅花皮小屋にある水場「治二清水」は、冷たく非常に美味しい水だったのが印象的だった。
この時期トンボが非常に多い、きっと池や沼が所々に点在しており、そこが生息地となっているからだろう。その他、花が多いからと蜂や虻が多く、昆虫達の住処にお邪魔しているという気持ちを保ちたい。
昆虫を見、植物を見、花を見、木を見る。
落ち葉があり、岩や石があり、池がある。
このいづれか1つでもなくなれば、感動させてもらった自然を楽しむことは出来ないだろう。長い年月をかけて出来た自然は、人間が計り知れないバランスで成り立っている。そのバランスを壊すような行為は、決してやってはいけないと改めて強く感じた山旅だった。