北岳は3192mの標高で日本で2番目に高い山です。北岳へ登山をする際は広河原を登山口とするのが一般的です。今回は広河原までのアクセスを踏まえて、北岳までの登山ルートの注意ポイント、難易度、日帰り登山の可否、利用できる山小屋の情報について紹介します。
登山口となる広河原までのアクセス方法
広河原は6月下旬から11月上旬の間はマイカー規制が行われます。この規制期間中は、マイカー、観光バス、2輪車、自転車等の乗り入れができなくなります。通行することができるのは許可車両、緊急車両、路線バス、タクシーとなるため、期間中に広河原に行く際は、以下のスポットまでアクセスをし、路線バスか乗合タクシーに乗り換える必要があります。
※横スクロールで表がスクロールできます。スポット | 手段 | 駐車台数 | 料金 | バス始発※ | 広河原着 | 大人片道/1人の運賃(以下に追加で300円の協力金が発生します) |
---|---|---|---|---|---|---|
甲府駅 | 電車 | -- | -- | 9:05(4:35) | 10:58(6:28) | 1,990円 |
竜王 | マイカー | 121台 | 平日 900円 土・日・祝日 1,260円 | 9:20(4:50) | 10:58(6:28) | 1,820円 |
市営芦安駐車場 | マイカー | 約366台(第1~8駐車場)/147台(臨時駐車場) | 無料 | 5:15 | 6:13 | 1,160円 |
夜叉神峠登山口 | マイカー | 約90~100台 | 無料 | 5:32 | 6:13 | 860円 |
奈良田駐車場 | マイカー | 約350台(第一、第二、温泉駐車場の合計) | 無料 | 8:40(5:30) | 9:25(6:15) | 1,100円 |
※バス始発の()内は7月中旬~8月下旬までの毎日、8月下旬から11月上旬の土休日運行
乗合タクシーは芦安駐車場から広河原直通で1,200円+協力金300円で利用できます。
広河原は北岳以外にも間ノ岳・鳳凰三山の登山口としても活用されています。
広河原登山口について
広河原には広河原山荘があり6月下旬から11月上旬まで営業しています。収容人数は101人で、大部屋と個室が2種類で宿泊が可能です。広河原山荘はバス停の正面にあります。
山荘の中には食堂、お風呂、更衣室、洗濯室、乾燥室、炊事場、シャワールームがあり充実した設備で快適に過ごすことができます。
シャワーは10分800円、食事は弁当800円、朝食1100円、夕食2200円で提供してくれます。
テント場もあり2022年時点ではテント泊に関しても予約が必要になっています。(テント場は橋を渡った河原にあります。
広河原は北岳を日帰り登山で計画している人や野呂川で釣りを楽しむ人たちに利用されています。
北岳登山の特徴と魅力
北岳は標高3192mで日本で2番目に高い山です。日本百名山、山梨百名山、花の百名山、日本百高山、甲信越百名山などに登録されている様々な顔を持つ山です。
紹介した山 | 北岳(きただけ) |
都道府県 | 山梨県 |
標高 | 3,193m |
天気・アクセスなど | 北岳の詳細情報 |
北岳にしか見ることができないキタダケソウ
キタダケソウは北岳の高山帯にだけ植生する高山植物で見た目はハクサンイチゲに似ています。キタダケソウは花弁の先端が丸まっており、花びらの先端もハクサンイチゲとは異なり尖っておらず、6月下旬から7月上旬の雪どき時期に見ることができます。また北岳は植物学上の貴重な高山植物の育成場所となっており、高山植物の宝庫として知られています。
クライミングで人気の北岳バットレス
北岳のすぐ東側に位置する北岳マットレスはクライマーに人気のスポットです。広河原から二俣までアクセスしバットレスの取り付きへ向かうことができます。北岳に登頂した後は登山道を歩き俣に戻るルートを取ることができます。この北岳バットレスは約600mの標高差がある大岩壁で、北から東北、第一、第二、第三尾根、中央稜、第四、第五尾根の岩尾根と、間にヒドゥンガリー、aガリー、バットレス沢、bガリー、c下沢といった岩溝があります。北岳に登攀中のウォルター・ウェストンが明治35年8月に、この大岩壁を見て「偉大な扶壁 (バットレス)と呼んだ」と言われたというお話が残っています。
北岳にアクセスしやすい北岳肩の小屋
北岳肩の小屋は北岳山頂まで上り約50分、下り約40分でアクセスすることができる好立地にある山小屋です。北岳の頂上から夕日やご来光を楽しみ易く、北岳の景色を思う存分楽しむことができます。6月には高山植物を、7月から8月には新緑を、9月から10月初旬には紅葉を、9月上旬のわずかな期間には稜線でウラシマツツジの紅葉を楽しむことができます。
また10月中旬頃から北岳周辺は雪景色に染まり四季折々の景色を楽しむのに便利な山小屋として肩の小屋は人気があります。
北岳登山をする上での注意点
北岳への登山は標高差約2,000mあるために高山病にかかる可能性が非常に高いです。軽度の高山病でも、眠気、頭痛を伴いながら、足元がふらつきやすくなるので、険しい登山道を歩く際、あやまって落石を起こしたり、滑落を招く可能性が高くなります。北岳への登山を行う際は高山病にならないように、以下のことを心がけましょう。
- 休憩は頻度を多く、いつもより長い時間使う
- 高度に慣れるために白根御池小屋で宿泊を検討する
- 酸素缶を使用する
広河原から北岳への登山ルート
総距離 | 約10.9km |
累積標高差 | 約1,922m |
コースタイム | 11時間10分 |
難易度 | ★★★☆☆ |
日数 | 1泊2日登山 |
宿泊する山小屋 | 北岳肩ノ小屋 |
広河原から北岳は上り1,782mの標高差があり、アルプスの登山としては標高差だけみると難易度は高く高山病などにも気を付けなくてはいけません。しかし北岳に向かう途中には白根御池小屋、北岳肩の小屋があり、日帰りではなく山小屋泊を計画するのならば北アルプス初心者でも楽しめる登山ルートです。
広河原から白根御池小屋を経由し、大樺沢二俣、八本歯のコルを経由して北岳の登頂を目指します。帰りは北岳から北岳肩の小屋に向かい、小太郎尾根分岐を経由し草すべりを歩いて白根御池小屋に向かいます。
広河原登山口からスタートしたら分岐点まで比較的緩やかな登山道を歩いて行きます。
分岐点に到着した後左手に向かうと大樺沢沿いを歩いて大樺沢二俣にアクセスすることができます。このルートは北岳に向かう場合の最短ルートですが、2022年現在通行止めとなっています。
白根御池小屋までは分岐点から樹林帯の急坂を上ることになります。ここは一番最初の辛い登りとなります。急坂を上り切ると、登り基調のアップダウンを繰り替えずトラバース道で白根御池小屋に向かいます。
白根御池小屋には水場、トイレがあり、売店やソフトクリーム(期間限定)も販売されているので休憩スポットとして最適です。
白根御池小屋の正面はテント場も併設されている白根御池があり、広々とした空間が気持ち良いです。
白根御池小屋を後に二股に向かいます。上の写真にある左に向かいます。この道は約30分間のトラバース道で緩やかな下り基調のアップダウンのある登山道です。多くの人が右の草すべりを登山をしていますが、これから案内する登山道は北岳バットレスを間近で見ることができるので、肩の小屋まで40分追加でかかりますが、景色がおすすめのルートです。
大樺沢二俣に到着したら八本歯のコルに向かいます。途中落石に気をつけるポイントなどがあるので注意しましょう。またここからの登山は勾配もきつくハードです。上空を遮るものもないので、晴れていると季節によっては非常に暑いです。
右手に北岳バットレスを見ながら登山をします。徐々に北岳バットレスが近づいてきて、最後は感動の景色が待っています。
八本歯のコルからは木の梯子がありますが、高度感も少なく無理せず通過することができます。間ノ岳・北岳山荘方面の分岐点を右に折れ北岳頂上までは八本歯のコルから約1時間です。
北岳の頂上までの道のりからは北岳山荘、間ノ岳を見渡すことができます。この場所は風が強くなるので、注意して歩きましょう。またおおよそ2,800~3,000の標高を歩くことになるので高山病の症状にも注意をはらいましょう。
今回のプランでは北岳肩の小屋に宿泊するプランとなっていますが、北岳から南側にある北岳山荘に宿泊をし、間ノ岳へ足をのばすこともできます。北岳山荘は北岳から約1時間でアクセスすることができ、テント泊も可能です。吊尾根分岐点を右に行くと間ノ岳方面です。
北岳からは天気が良ければ富士山、南アルプスの山々を見渡すことができます。北岳から北岳肩の小屋までは約30分で到着します。北岳肩の小屋は山小屋泊以外にテント泊をすることもできます。
北岳肩の小屋を後にし1日目の休憩で利用した白根御池小屋に向かいます。白根御池小屋に下山するときに利用する草すべりと呼ばれる登山道は、地面が砂利道で滑りやすいため、下山時は転倒に気をつけましょう。
北岳への日帰り登山は可能か?
北岳日帰り登山をする場合は、大樺沢沿いの登山ルートを歩くのがベストで、2022年現在は通行止めとなっているので上で紹介した登山ルートを歩く事になります。
このルートはコースタイム1.0で約11時間要するため、装備を軽くしコースタイムを0.7で歩くことができれば約7時間30分の登山となるため、スタート時間を早めれば日帰り登山も可能です。
日帰り登山をする場合を考えて、登山可能時間を定めると以下のようになります。
登山開始時刻は6時半
奈良田、もしくは夜叉神峠から最も早いバスを利用して広河原に6時15分頃に到着することができます。到着して身支度を整えるのに15分要すると考えて、登山開始時刻は6時半と設定します。乗合タクシーでも広河原着は最短で6時です。
広河原からの最終バス時刻は16時40分
広河原から奈良田に向かうバスは7月16日~8月21日の毎日と8月22日~11月3日の土休日 運行という期間限定で16時40分。広河原から夜叉神峠に向かうバスは期間限定なく16時40分と定められています。乗合タクシーでも広河原発は16時30分です。
6時半からの登山開始、バスに乗る時刻を16時40分と定めた場合、登山時間は約10時間と考えることができます。
北岳登山で利用ができる山小屋
広河原からの北岳登山で利用できる山小屋は3つあります。そのどれもが設備が行き届いており、過ごしやすく山小屋で食事や水を得ることができるので、登山で持ち歩く行動食や食料、水の量の計画をするのに切り離せない存在です。
※横スクロールで表がスクロールできます。山小屋 | 売店 | お昼 | 水場 | トイレ | テント場 | 乾燥室 | 収容人数 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広河原山荘 | あり | カレー、魚定食、牛丼、生ビール | 有/無料、お湯・お茶有料 | 水洗(外にもトイレあり) | あり(100張、河原の砂利) | あり | 101名 | シャワーあり |
白根御池小屋 | あり | 牛丼、御池カレー、生ビール、ソフトクリーム | 有/無料、お湯・お茶有料 | 水洗きれい | あり(40張、砂地) | あり | 150名 | -- |
北岳肩の小屋 | あり | 肩ノ小屋特製うどん・ラーメン・おでん・カレーライス・おしるこ・コーヒー・紅茶など | 有/有料1ℓ200円(小屋内)、下り15分の場所にあり | 簡易水洗 | あり(40張、砂地) | あり | 150名 | -- |
北岳山荘 | あり | カップメン、生ビール、缶ビール | 有/無料(小屋内) | 簡易水洗 | あり(40張、砂地) | あり | 150名 | -- |
北岳登山終わりにおすすめの山旅スポット
北岳登山の終わりにおすすめの山旅スポットを紹介します。
日帰り温泉:夜叉神ヒュッテ(旧夜叉神の森)
夜叉神登山口にある宿泊も可能な売店施設です。日帰り入浴も可能で料金は600円で利用できます。登山終わりにすぐにお風呂に入りたい方におすすめです。
〒400-0241 山梨県南アルプス市芦安芦倉1616(Google map)
日帰り温泉:金山沢温泉
金沢沢温泉は南アルプスの玄関口にあるため登山終わりに活用しやすい日帰り温泉施設です。内風呂と露天風呂を備えており、料金は850円です。
〒400-0241 山梨県南アルプス市芦安芦倉1525(Google Map)
日帰り温泉:芦安温泉 岩園館
日帰り温泉は10時から15時半の時間限定で大岩露天風呂を楽しむことができます。100% 源泉かけ流しで歴史のある温泉宿です。料金は2時間で1000円です。
芦安温泉 岩園館農産物直売所たべるじゃん やまなし
全農山梨が運営する唯一の直売所で休日には山梨の新鮮なフルーツを求めるお客さんで混雑するスポットです。とうもろこしや桃、シャインマスカットなど価格も安く地元の食材を手に入れたい方は是非立ち寄ってもらいたいスポットです。
〒400-0828 山梨県甲府市青葉町1421−1(Google map)
ぶどう直売所 山果園
ご夫婦で切り盛りをしているブドウの直売所です。100g 単位でブドウを販売しており、シャインマスカット以外にも巨峰など香り高い品質の良いブドウを購入することができます。