世界でも有数の登山者数を誇る、東京都に位置する山、高尾山。高尾山までは観光客やハイカーなど、様々な目的を持って登られていますが、高尾山以降の稜線は登山を嗜好する人達のフィールドとなり、穏やかなハイキングが楽しめます。今回は稜線の中でも適度な歩きごたえと眺望が魅力の山、景信山をご紹介します。
景信山登山が人気の理由
人気①:初めての方におすすめの低山縦走
山から山を移動する山岳縦走は、山を登る人にとってご褒美とも言える登り方です。森林限界を越えた圧倒的な眺望が醍醐味である高所での縦走も魅力ですが、低山の縦走も山の楽しみに溢れています。景信山を目指して縦走していると、信仰の歴史深い高尾山、喧騒から離れた城山、奥深さが増してくる景信山と、同じエリアなのに山頂によって全く異なる雰囲気を楽しめます。頂上から見る景色もそれぞれ個性があり、低山縦走の魅力溢れたピークこそが景信山です。
人気②:関東平野・相模湖を望める清々しい眺望
登山を始めた頃、休みを見つけては早朝の横浜線から電車を乗り継ぎ、高尾山口から目指した山が景信山でした。その目的は、人の営みを見守るように望む関東平野の眺望と、霊峰富士山の遠望に、相模湖と自然多いエリアの景色を見ることでした。仕事や街での生活に疲れた時、普段は気がつかないけれど、少し目を離せば豊かな自然があり、その自然の中から街を望んでいると、不思議と愛しく思えてくる瞬間があります。
景信山からの眺望は、有名アルプスから望むような雄大で特別なものではありませんが、疲れがゆっくり癒やされるかのような魅力があり、たまに会う古い友人のように「元気かぁ」と会いに行きたくなります。
人気③:公共交通機関を利用した多彩なルート
景信山は高尾山からの縦走、逆方向である陣馬山からのアプローチを始め、多くの登山口から山頂を目指すことができる飽きの来ない山です。マイカーアクセスでピストン登山も可能ですが、電車・バスなどの公共交通機関を利用して歩くのがおすすめで、景信山周辺の自然を満喫できます。自身の調子や同行者の経験に合わせて計画を立てられるので、グループ登山にもピッタリです。
景信山登山のQ&A
難易度は?
明瞭な登山道と複数の登山口を持ち、標高1,000m以下で低山である景信山は、初心者の方でも登ることが可能です。どのルートも日帰り可能で低山ハイクが楽しめますが、悪天候になると道迷いを起こしやすい場所もあるので、当日の天候を事前に確認しておき、早出で登ると行った対策をするのが良いです。
アクセスと駐車場は?
アクセスは京王高尾線高尾山口駅・中央線高尾駅からバスに乗り小仏バス停下車・中央線相模湖駅からバスに乗り、千木良バス停下車など、複数あります。マイカーの場合は高尾山口駅周辺の駐車場・小仏峠などの各登山口周辺に駐車場があります。
水場とトイレは?
水場は小仏ルートにあり、その他は登山口、または営業していれば各山頂の茶屋で飲料を購入することができます。
景信山山頂にトイレがあり、周辺の高尾山、城山にも利用可能なトイレがあります。公共交通機関でアクセスの際は各駅にトイレがあり、他のエリアと比べて困ることは少ないです。
雪は?
11月頃より雪が降り、3月頃まで残ります。年に何度か大きな降雪があると、軽アイゼンが必要になる雪山に変わるので、低山といえども冬山装備が無い場合は入山しないのが良いです。登山道上の雪が解ければ冬でも特殊な技術は必要なく、前述の軽アイゼンやチェーンスパイク(事前に使い方を覚えること)があれば通年登ることができます。
景信山登山のおすすめルート紹介
紹介した山 | 景信山 |
都道府県 | 東京都・神奈川県 |
標高 | 727m |
天気・アクセスなど | 景信山の詳細情報 |
高尾山から景信山へ−魅力の低山縦走
スタート地点 | 高尾山口駅 |
ゴール地点 | 小仏バス停 |
地点間の距離 | 10.5km |
コースタイム | 4時間30分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
京王高尾線高尾山口駅をスタートし、高尾山、城山、景信山を登る縦走ルートです。それぞれの山頂で魅せる眺望を楽しみながら高尾エリアの自然を満喫できる、景信山登山で最もおすすめしたいルートです。
登山口は高尾山口駅をスタートし、間もなく至るケーブルカー・リフトの左側にある稲荷山ルート登山口です。
幾つかある高尾山までのコースの内、人工物が少なくハイキング道として整備されています。
始めは階段と手すりが多くあります。
途中の稲荷山から見る眺望。街から離れ「山に来たんだ」と実感します。
稲荷山を過ぎて1時間ほどで高尾山山頂に到着します。山頂からは丹沢方面が良く見えます。
高尾山を過ぎて城山へ向かいます。アップダウンがある区間ですが、焦らずゆっくり歩きます。
このルートの良いところは、休みたいポイントで眺望と整った休憩スポットがあるところ。一丁平からも好展望です。
一丁平を過ぎ、登りを経ると城山に到着です。天狗の木彫りが目印の山頂は広く、ここでトイレ休憩や行動食を補給するのが良いです。
茶屋の横を通って景信山へ。
城山と景信山の中間点の小仏峠まで下ります。
小仏峠着。ここから底沢や小仏峠バス停方面、景信山方面に分かれます。
景信山へ向かうと、視界が少し開けて気持ちの良い登山道を歩きます。
景信山に到着です。眺望に優れ、ここでのんびり休憩して、小仏バス停に下山します。
小仏峠までは樹林帯を通り、バス停まで1時間ほどです。
気軽に景信山へ−負担の少ないショートコース
スタート地点 | 小仏バス停 |
ゴール地点 | 千木良バス停 |
地点間の距離 | 7km |
コースタイム | 2時間50分 |
難易度 | ★★☆☆☆ |
小仏バス停をスタートし、1時間弱で景信山に登頂、その後城山へ縦走して相模湖方面へ下山するルートです。短時間で歩けるので負担が少なく、余裕があれば下山後相模湖駅まで歩けるので、柔軟な計画を立てることができます。
景信山から見た城山方面。
眼下には相模湖方面も見えます。市街地と自然の多いエリア、両方の眺望を楽しめるのが景信山の特徴です。
小仏バス停から城山までのルートは前述のとおりで、城山から相模湖方面までは樹林帯を下ります。城山も景信山に負けず展望に優れています。時間は余裕があるので、城山で足を伸ばして昼寝というのもおすすめで最高の山時間です。
樹林帯も明瞭な道で迷うことは少ないですが、ガスが多いと迷いやすいので要注意です。
千木良バス停までは城山山頂から1時間ほどです。樹林帯を抜け、里に着けば千木良バス停まで間もなくです。
時間があれば周辺を歩いて相模湖駅まで至るのもおすすめです。相模湖周辺は街の喧騒から離れた里の風景が残り、落ち着いた道を歩けます。相模湖駅までは画像にある弁天橋を通っていくルートで、千木良バス停から1時間ほどで到着します。
景信山の温泉情報
京王高尾山温泉 極楽湯
高尾山口駅のそばにある温泉です。温泉はアルカリ性単純温泉で、筋肉痛を始めとした登山にはありがたい効能があります。露天風呂から季節によって替わるお湯など、登山の疲れをゆっくり癒やし、館内でお食事をすれば、最高の気分で帰路につくことができます。
小仏バス停からスタートし、高尾山口駅下山に設定すると、スムーズに極楽湯を利用できます。
景信山登山で低山の魅力を堪能しよう
景信山は高尾エリアにある山で、日帰りで縦走や気軽なショートコースなどが楽しめるおすすめの山頂です。関東平野の眺望に優れ、人の営みを見守るかのような景色に、山の懐の深さと美しさを感じられます。メンバーや力量に合わせて多彩な計画が立てられるので、1年を通して歩けるのも魅力です。
景信山に登って、低山の魅力をぜひ体験してください。