関東でも有数の山岳地域、丹沢。丹沢の中でも山深く豊かな自然を有する西丹沢は、落差のある名瀑や原生林など、丹沢のありのままの姿を目の前にして歩けるところが魅力で、登山初心者から中級者など、多くの登山者が訪れています。今回は丹沢の中でも標高が高く、丹沢の魅力を堪能できる大室山をご紹介します。
大室山登山が人気の理由
人気①:丹沢のありのままの自然を楽しめるルート
大室山へのアプローチは西丹沢ビジターセンターをスタートし、用木沢出合から沢沿いを通り稜線に出るのが一般的です。丹沢の名前の由来でもある個性ある沢と、稜線に出ると出会える原生林、丹沢の山深さを象徴する眺望など、昔の人も見たであろう丹沢のありのままの自然を体験しながら歩くことができるのが、大室山登山の大きな魅力であり、人気のひとつです。
私は西丹沢の自然が好きで登山や沢登りでよく訪れるのですが、1日しっかり歩きたい時は大室山をよく選びます。周回ルートとなり歩きごたえ抜群。疲労感よりも山の一部となったように歩ける充実感で病みつきになってしまいます。
人気②:道中にある避難小屋でゆっくり登山
大室山に登るルート上には犬越路避難小屋と加入道山避難小屋があります。ちょうど一息つきたい時にある避難小屋で、木造で木の温もりを感じながら足を伸ばして休める避難小屋の存在は、緊急時だけでなく、休息を取るときには仲間とお茶をして少しの時間語らったり、山での時間を豊かにしてくれるとてもありがたい存在です。
避難小屋には利用した方の記録が残ったノートがあり訪れるたびに追加される登山者の山に来た喜びを表した記録を拝見するのも、大室山に来た時の楽しみであります。
人気③:静かな山歩きが楽しめる
丹沢は東西南北に広がる山岳地域で、それぞれのエリアで個性があります。丹沢の中でもアクセスが良く、登山者が多く眺望に優れた表丹沢と比較して、西丹沢はアクセスが表丹沢と比較して時間を要し、眺望も表丹沢を代表する塔ノ岳と比べると見劣りしてしまいますが、そのぶん静かな山歩きが楽しめ、眺望だけではない山の素敵な魅力を時間をかけて感じることができ、西丹沢にする大室山が選ばれる理由の一つです。
大室山登山のQ&A
難易度は?
大室山は技術的な難所は少ないですが、一部登山道が整備されていない場所もあるので1日を歩ける十分な体力と登山経験が必要です。道が若干不明瞭なところもあるので、基本的な装備を持っておくのはもちろんのこと、地図やコンパスの使い方を学んでおくのが良いです。
アクセスと駐車場は?
登山口は西丹沢登山の玄関口西丹沢ビジターセンターとなります。アクセスは小田急線新松田駅からバスに乗り終点西丹沢ビジターセンターで下車します。
マイカーの場合は西丹沢ビジターセンターに駐車場がありますが台数が限られているため、付近のキャンプ場に駐車する方法もあります。紅葉の時期や土日など、特定日は非常に混み合うことがあるので早めに到着するのがおすすめです。
水場とトイレは?
水場は下山路である白石の滝付近にあります。加入道山方面から登る際は利用する可能性がありますが、煮沸、もしくは浄水器で濾過するのが良いです。
トイレは西丹沢ビジターセンターと犬越路避難小屋にあります。
雪は?
11月頃より降雪があり、4月頃まで雪が残ります。ピッケルやスノーシューなどの本格的な冬山装備は必要ありませんが、序盤の沢沿いは積雪時は凍結で滑りやすくなり、勾配が急な場所もあるので、軽アイゼンを持っておくと安心です。
畦ヶ丸登山のおすすめルート紹介
紹介した山 | 大室山 |
都道府県 | 神奈川県・山梨県 |
標高 | 1,587m |
天気・アクセスなど | 大室山の詳細情報 |
西丹沢ビジターセンターからの周回ルートで山頂へ−丹沢の自然をのんびり堪能
西丹沢ビジターセンターから用木沢出合に進み、出合から右手に進んで大室山を目指し、登頂後は加入道山への稜線を歩きます。加入道山を登頂して以降は、再び沢沿いに降りて西丹沢ビジターセンターに戻ります。終始静かな山歩きと丹沢らしい緑豊かな自然に癒やされる、眺望だけではない山の魅力に出会えるおすすめルートです。
西丹沢ビジターセンターからスタート。用木沢出合を目指します。
数年前に一部崩落して通行止めとなっていた用木沢出合手前の橋は補修が完了し、通行可能になりました。
用木沢出合を犬越路方面へ向かいます。
始めは沢沿いを行き、ゆっくり標高を上げていきます。
徐々に沢筋を離れ、谷沿いを登ります。
急傾斜を登りきれば、犬越路避難小屋です。ここで少し長めの休憩を取って、避難小屋の快適さを味わうのも良いです。
犬越路。大室山方面と逆方向に行けば、檜洞丸へ向かいます。
谷間から見る眺望。見事です。
犬越路以降は、大室山までの稜線を歩きます。
天気が良ければ、西丹沢の奥深い自然を独り占めです。
加入道山との分岐を一度、大室山方面へと向かいます。大室山へはここの分岐から5分前後です。
大室山は加入道山への進路から少し逸れたところに位置し、静かな山頂です。
登山道を引き返し、加入道山へ向かいます。
アップダウンのある稜線で、滑りやすいところもあるので気をつけて歩きます。
原生林が良い感じです。癒やされます。
加入道山も静かな山頂。
生まれ変わった避難小屋が山頂のそばにあります。
休憩を取った後は、西丹沢ビジターセンターを目指して下山を始めます。
途中にある白石大滝。はっきりは見えませんが、それでも美瀑であることが十分に分かります。
沢筋に降り、用木沢出合へ
おすすめ温泉情報
山北町立 中川温泉ぶなの湯
登山口である西丹沢ビジターセンターに向かうルート上にある温泉で、マイカーでも路線バスでも立ち寄れるので、西丹沢方面を登る登山者に親しまれています。目の前には沢が流れ、今回の登山同様、静かな環境でのんびり浸かれます。大室山登山を振り返りながら、丹沢の清流と共に入る温泉は格別です。公共施設ならではの良心的な価格設定も嬉しいポイント。
大室山登山で格別の登山経験を
大室山は丹沢の山深い場所に位置し、原生林に囲まれた山頂と、山頂に至るまでの稜線からの眺望は、他の丹沢エリアとは異なる趣のある登山が楽しめます。ルート上には2件の避難小屋があり、登山への思いが残され、避難小屋に立ち寄ると大室山登山がより味わい深いものへとなります。