パタゴニアから10月20日ロング・ルート・ヘイジーIPAが新たに誕生しました。パイナップル、グアバ、柑橘類の鮮やかでトロピカルな風味とホップのほろ苦さ、ドライな後味が特徴です。
表紙画像のクレジット:Amy Kumler ©2022Patagonia, Inc
地球を修復するビール ロング・ルート・ヘイジーIPA
東海岸発祥のヘイジー(濁った)IPAを、環境革新的な多年生穀物「カーンザ」を使用して醸造したクラフトビールです。長い根を持つカーンザは温暖化の原因となる炭素を大気中から地中に取り込んで固定します。
なぜ、ビールなのか?
小麦の仲間で革新的な穀物「カーンザ」により、傷んだ土壌を回復させ、炭素を固定しつつ、世界の食糧を供給しようという気運が高まっています。この変化を加速させるため、パタゴニアでは2016年に、オレゴン州ポートランドの〈ホップワークス・アーバン・ブルワリー〉と共同で、世界初となるカーンザから作られたロング・ルート・ペールエールを発売しました。それからさらに多くの農家と協力して米国内外でカーンザの生産面積を増やし、2019年にロング・ルート・ウィット、2021年にロング・ルートIPAを発売しました。
長い根から生まれたビール
ウェス・ジャクソンが設立した米国カンザス州の〈ランド・インスティテュート〉では、多年生穀物「カーンザ」の開発により、そのような農法を画期的に前進させました。パタゴニア プロビジョンズのビールに独特のスパイシーな風味を与えるカーンザは、一年生小麦の仲間であり1万年以上前から行われているイネ科の植物を穀物へと改良した方法に基づき、ウィートグラスと呼ばれる小麦若葉とかけ合わせて栽培品種化されました。
カーンザは、長い根と多年生という特徴により、耕起や農薬なしに成長します。従来の小麦より水を使わず、表土を回復させ、一年生穀物より多くの炭素を大気中から吸収します。そして収穫後に地中に残った根が分解されるとともに、炭素を土に封じ込めます。
多年生穀物という解決策
カーンザの栽培により、提携農家は温室効果ガスを地中に固定し、痩せた表土の再生に貢献することができます。
空気中の二酸化炭素は地球を温暖化しますが、地中の炭素は表土の微生物を活性化し、より豊かで肥えた畑を作ります。すべての植物は光合成を通じて空気中の炭素を回収し、もとあった場所(つまり足の下)へ戻します。しかし小麦のような一年生穀物(大半の食用作物)は植え付け前に耕起を必要とし、この化石燃料に依存するプロセスが、土壌を破壊し、再び炭素を空中に放出することになります。
カーンザは、ほとんど耕起なしで複数年にわたる穀物栽培が可能なため、地中に固定した炭素を維持することで、この問題を解決します。
カーンザの根は、最大3.6mも地中に伸び、炭素の安定化と土壌有機物の補充を助ける何十億もの微生物に栄養を与えることで、長期的な土壌の健康を維持します。根は年間を通じて生育するため、近くの河川に流入すれば水生生物に悪影響を与える窒素などの栄養素を継続的に吸収します。