パタゴニアの製品を見るとシンチラ、シンチラフリース、フリースとあり、それぞれどのような違いがあるのか、僕なりの考えを述べたいと思います。
1985年に登場したフリース素材のジャケット
1985年にフリース素材のジャケットをパタゴニアが初めて発表し『シンチラ』という名前で呼称されました。
当時のパタゴニアのカタログにはシンチラを以下のように紹介しています。
『2年前、私たちは新しいファブリックの必要性を認識しました。仕様をノースカロライナ州の工場に提出し、1 年後に Synchilla と呼ばれるまったく新しいパイル生地を提供してもらい、1 年かけてテストしました。南アメリカへの 40 日間のカヤック旅行に持って行き、ワイオミングとモンタナで秋のフライ フィッシングで使用し、その後ネパールへの旅行に持っていきました。私たちは時にシンチラを枕として使用しました。(略)洗濯と乾燥を繰り返しましたが、最終的には素材がまだきれいに見えました。縮んだり、毛羽立ったり、形が崩れたりすることはありません。この新しい素材の感触、外観、実用性に誰もが納得しています。』
シンチラの素材については以下のように紹介されています。
『ハイブリッド両面パイルで、生地の中で最も軽量で、1平方ヤードあたり 9 オンスで、最高の保温性と重量比を備えています。生地は、Du Pont のファイン デニールのダクロンポリエステルで、非常に柔らかい手触りで毛玉ができません。比類のない伸縮性がありますが、常にミリ単位で形状を復元します。水をほとんど吸収しないため、乾きが速く、優れた用途があります。その軽さ、伸縮性のある暖かさ、そして見た目の良さから、当社のパイル生地の中で最も用途の広い生地です。シンチラの開発にはかなりの時間を要しましたが、少なくとも数年間はパタゴニアからのみ入手可能です。』
このフリース素材のシンチラは1985年当時、メンズジャケットが69.5ドルで重さは510g、ウィメンズジャケットが同じ価格で重さが448gです。
『お手入れは裏返しにして、洗濯機で洗ってください。自然乾燥または低温で乾燥。』とあり、これは現在でも変わりありません。
ファッションアイテムとしてのシンチラ
チンチラは当時ポパイで特集され、入手困難なアイテムでした。白金にオープンしたパタゴニア直営店に足を運んで予約をするなどで何とか手に入れた高校生の頃を思い出します。
シンチラという製品名はパタゴニアの商標登録なので他のブランドでは使用ができないという制限がありました。
そこで他社が同じ素材でウェアを作ると、それをポーラープラスと呼称し、ヘリーハンセンやL . L . Bean、ノースフェイスなどが同じフリース素材で製品をリリースし人気を博しました。
シンチラからフリースへ
ポーラテックでお馴染みのモルデンミルズ社が製造したこのポーラプラスは、その後ポーラフリースからフリースと呼ばれ、今では一般的にはフリースと呼ばれています。この名前はユニクロが出したフリースジャケットでさらに定着したように思います。
このような歴史の流れからシンチラもシンチラフリースもフリースも同じものであることがわかると思います。
パタゴニアのシンチラ
現在パタゴニアのオフィシャルサイトを見るとフリースというカテゴリーの中にジャケット、スナップT、パンツ、ベスト、カーディガンがシンチラという名前を付けて販売され続けています。