僕はカシオのプロトレックのユーザーで、多機能でとにかく丈夫、それでいて山から街まで馴染むデザインが気に入っている。冗談ではなくお風呂に入るとき以外は常に左手に付けている。つまり寝るのも一緒だ。
SNSで見かけたのだが、そのプロトレックにスマートウォッチの新しいモデルが加わったらしい。名前は『CASIO PRO TREK WSD-F20』。これは使ってみたいなと思っていたら、ラッキーなことに、この時計を渓流で使ってみませんか?とのお誘いを受けた。もちろん2つ返事で引き受けた。
おすすめポイント
- 低消費電力GPS搭載
- フルカラー地図表示
- オフライン利用対応
- GPS機能と連動したオリジナルウオッチフェイス
- シーンで選ぶ、気分で選ぶ。多彩なフェイスデザイン
商品概要
ブランド | プロトレックスマート |
商品名 | WSD-F20 |
商品説明 | 低消費電力GPSを搭載しオフラインでもカラー地図で現在地を確認 |
価格 | ¥28,090(税込) |
重量 | 92g |
ケース直径 | 5.8cm |
ケース厚 | 15.3cm |
耐水圧 | 50m |
管理人の評価レビュー
総合評価 | ★★★★☆ |
快適性 | ★★★★☆ |
軽量性 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
釣りをしていて時計に求める機能
この時計が気になっていた理由は、「これを使えばスマホを釣り場で取り出さずに済むんじゃないか?」と考えたからだ。スマホは便利な反面、常に水没のリスクがつきまとう。おそらく釣り人はスマホを買い換える周期がすごく早いんじゃないだろうか。
僕が釣りで欲しい機能はこの3つ。
・GPSで現在地が確認出来る地図の機能
・釣りの記録を取る機能
・タイドグラフ(海釣りの場合のみ)
(ちなみに僕はカメラを別で持ち歩くのでカメラ機能は求めない)
Webを調べるとこの3つの機能はもれなく付いている。新しい道具に期待を膨らませながら当日を迎えた。
今回のテストフィールドは東京から高速を使って車で1時間ほどの川。いわゆる源流と呼ばれるくらいの上流で川幅は狭く、山をかき分けながらの釣り。
林道やトレイルはなく川沿いを歩くか、獣道を通る感じ。この時計のテストにぴったりだ。
午前8時現地に到着。源流域のイワナは朝早くは釣れないイメージ。ゆっくり支度をして山の中に入っていく。
いつもはスマホを常に取り出しやすい場所に携帯し、GPSで地図を確認したり、記録をとったりしている。でも、今回は防水バッグの中にしまった。
いつも渓流釣りに行く時は山奥なので圏外なことが多い。この川も圏外の川なのだが、前の日の晩にこのエリアの地図はダウンロード済みなのでそのデータで、オフラインな環境でも自分の位置を確認しながら進める。
渓流釣りの場合、ほぼ登山しながら釣るようなものなので地図は必携だ。しかも、普通の登山と違ってトレイルを進むわけではない。ときには道無き道を抜け川を目指すときもある。こういうときにGPSがあると非常に安心感がある。今まではそれをスマホでやっていたわけだが、スマホは取り出して、画面ロックを解除し、アプリを起動し…と非常に面倒くさい。その機能が手についていると気になったらすぐに確認できるので非常に楽だ。
車から15分ほど歩く、ここまでくれば釣り人は少ないだろう。ここから釣り始めることにした。
釣れた時に楽しむスマートウォッチ
釣り始めて10分ほど、さっそく一匹目が釣れた。ヤマメだ。時計を確認すると標高は800m。もうかなり川幅も小さくなってきているので本来だとイワナの生息域。ヤマメが釣れるのは珍しい。放流された子だろうか?
ここで時計の機能を使って記録を取る。魚が釣れたらフィッシングの画面を立ち上げ、ワンプッシュで場所、標高、気圧、などを記録する。慣れればほんの数秒で済む手間だ。
釣りが上手くなる近道は記録をとることだと思う。記録を取ると自分の中に引き出しが増え、その引き出しの多さが日々変化する状況の中でも魚を釣る対応力になるからだ。
と、偉そうに書いてみたものの、釣りの記録を取るのはものすごく面倒だ。これまでも釣りの日記に書こうと思ったことは1度や2度ではないが、ほぼ三日坊主で続いたことがない。
やはり長続きのポイントは記録を取る手間を極力なくすことだと思う。後から見る見ないは別として、とりあえず記録を取っていてくれるこの時計は非常に心強い。
釣りが上手な人ほどいつどこでどんな状況で釣ったのかをよく覚えている気がする。でも僕の脳はそこまで優秀ではないのでこの時計の簡単さはありがたい。
僕はこの機能を見て、フィッシングガイドの船に付いている魚群探知機を思い出した。フィッシングガイドの魚群探知機は門外不出。なぜならこれまで魚が釣れた場所、水中に沈む魚が集まりやすい地形などがGPSでマーキングしてある。これはフィッシングガイドの生命線だからだ。この時計は同じことを地上でやれる。しかもその動作は簡単で、GPSの座標以外も記録できる。これはすごいことだと思う。
また、気になることがあったら音声データで残せる機能も搭載されている。打ち込むのは面倒でも音声だったら一瞬。とりあえず気づいたことは何でも吹き込んで見ると後で聞き直した時に新しい発見がある。
「こんなこと考えていたんだ・・」僕は、自分で考えている以上に忘れてしまう生き物のようだ。
さらに進むと釣れる魚はイワナだけに。
こうして記録を取ると話を盛りがちな釣り人も、正直者にならざるをえない。
流木好きの僕にとって源流は面白い被写体の宝庫。もちろんお気に入りの流木の場所も記録できる。
お昼過ぎまで釣ると気持ちが満たされた。今日はここ数日暖かい日が続いたこともあり、魚もやる気満々だったようだ。
帰りは川沿いを下ることもできるが、時計の機能を使い最短ルートで帰ることにする。道無き道もGPSで確認しながら進み無事に出発地点まで戻った。この機能はすごく便利だ。
結局この日はスマホを取り出すことはなく、釣りを終えた。
僕がスマホに求めていた機能は全てこの時計に置き換わった。もう水没もさせることもなくなり、買換えの周期もきっと長くなるだろう。
海釣りでも使えるカシオプロトレック
最後に山旅々に海釣りの話を書くのも変な感じがするが、この時計の「タイドグラフ」と「フィッシングタイム」がとても良い機能なので紹介したい。
タイドグラフとは潮の満ち引きのグラフで、これを見れば潮の動きがすぐにわかる。海釣りをやらない方のために解説すると、この釣りは潮の満ち引きの影響をダイレクトに受ける。基本的には潮が動いている(満ちている、引いている)ときは魚が活発に動き、よく釣れる。逆に潮が動かないとき(干潮や満潮のとき)は釣るのは難しくなるので努力が報われないことも多い。
この潮の動きは毎日変わるので、通常は釣りに行く前にチェックする。
と、ここまで潮の動きと海釣りについて紹介したが、人によっては面倒に感じてしまうこの「潮を読む」という作業。そんな方には、この時計の「フィッシングタイム」という機能を試してみていただきたい。これは、月の満ち欠けと時角によって計算される魚の釣れどきの時間を教えてくれるので、何も考えずに海釣りに出かけるよりは釣れる確率が上がると思う。
もし仮に僕がこの時計を海釣りに使うとしたらこんな感じだ。
僕は東京に住んでいる。この日、仕事が終ったのは18:00。時計によると今日は大潮なので魚の活性が高い予感。「フィッシングタイム」を確認すると、一度家に帰って支度をするとちょうど良い時間になりそうだ。この日は近所で東京湾のメジャーなターゲット「シーバス」を狙う。
刻一刻と変わる状況。スマホをいちいち取り出すことなく手元で潮を確認できるのが嬉しい。釣れたらその場所、時刻、潮の状況を記録する。日々通えば自分だけのデータベースが出来上がり、それが次の釣果に繋がる。
23:00、時計を確認すると一番良い時間は終わり。次の魚の釣れ時は、どうやら深夜になってしまうので今日はこれで切り上げることにする。
都会の真ん中でいつでもいける気軽な遊び方。次はいつ行こうか?日々時計をチェックして一番いい時間だけ釣りに行く。こんな遊び方ができる時計だと思う。機会があったらぜひ試してみたい。
今回この時計を使ってみて、自分の釣りを記録する面白さに改めて気づかされた。これまでは、その面倒くささから続けられなかったが、これならとりあえず記録をとって必要な時に見直すことができそうだ。
これからこの時計のユーザーが増えて、データを仲間内で共有することができるようになったらすごく面白いと思う。たくさんのデータが集まると今まで考えもつかなかったことがわかるかもしれない。
もしかしたら、そのうちこの時計で蓄積したデータを売ったりする人も出てくるんじゃないだろうか。この時計で記録をとりながら「釣り大会」なんてのもきっと楽しい。
そういう新しいことが始まる予感をこの時計から感じた。これからの広がりが非常に楽しみだ。