「ご当地アルプス」というものがある。その土地その土地の山々をアルプスに見立てて、「〇〇アルプス」と呼んでいる。「小京都」みたいなものだ。ただ、「小京都」は協会が取り締まっているので自由に名乗れない(自称しているところもあるらしい)けれど、アルプスはそんなことはない。そのためか、今では50以上のアルプスが日本各地にあるのだとか。アルプス大国である。なんなら「日本アルプス」もグローバルでみれば「ご当地アルプス」になるわけで。
僕の生まれ育った兵庫県南部にもいくつかアルプスがある。阪神ファンとしては甲子園球場のアルプスをまずは紹介したいところだが、それはまた別の機会に。
今回は「須磨アルプス」「加西アルプス」「小野アルプス」「播磨アルプス」の4つのアルプスを紹介したい。いずれも300mに満たない低山だが、岩がちで見晴らしがよく気持ちの良い山歩きを楽しめるのでおすすめだ。さらにどの山も駅to駅で歩けるので、お得だ。
須磨アルプス
西の須磨浦公園駅から東の宝塚駅まで。この間にある山地が六甲おろしでお馴染み(?)の六甲山だ。全長約55km。この六甲山地を東西に貫く縦走路を「六甲全山縦走路」と呼んでいる。
「須磨アルプス」はこの縦走路の一部で、須磨浦公園駅から妙法寺駅の区間を指す。距離にして約6.5km。コースタイムは3時間ほどだ。
須磨側の旗振山、高倉山などと、妙法寺側の横尾山、栂尾山などの間に団地があり、そこを抜けることになる。
ハイライトは横尾山と東山の間にある名勝・馬の背。花崗岩の荒々しい岩肌剥き出しの稜線だ。六甲全山縦走路の中でもこれほど眺望の良い場所はないのではなかろうか。
個人的におすすめの山行は、朝の早い時間に妙法寺駅を出発し、須磨浦公園に向かうというもの。
朝日が馬の背の岩稜を照らして綺麗だ。徐々に海が近付いてくるというのも良い。
僕が歩いた須磨アルプスのルート
加西アルプス
加古川線と神戸電鉄の駅に粟生(あお)という駅がある。この粟生駅から北条町駅を結んでいる全長13.6kmのローカル線が北条鉄道だ。のどかな田園風景の中を一両編成の列車がコロコロと走っている。
このローカル線の播磨下里駅の南西側にある丘のような森のような山が加西アルプスだ。播磨下里駅の隣の法華口駅からも登山口に向かうことができる。
最高峰は善坊山で標高251m。そこから笠松山(244m)まで稜線が伸びている。
こちらも岩山で見晴らしがよい。この2山に登り、駅に引き返すのがメインのコースになる。総距離はスタートとゴールの駅にもよるが、概ね10km前後。
ハイライトは善坊山と笠松山の岩の稜線。見晴らしがよく、のどかな田園風景が見渡せる。手軽に気持ちの良い山歩きが楽しめる。
僕が歩いた加西アルプスのルート
小野アルプス
日本一低いアルプスこと小野アルプス(諸説あり)。福旬峠から白雲谷温泉すぴかの間に連なる山々をそう呼ぶ。
最高峰は惣山で199mほど。全長は約8kmだが、福旬峠まで最寄りの小野町駅から3.5kmほど歩かないといけないので、トータルは11〜12kmの行程になる。この間、いくつものピークを過ぎるため、常にアップダウンを繰り返す。累積標高は600〜700mほどになり、標高の割に案外大変。
ハイライトは紅山の南斜面。岩肌が剥き出しになっており、気分はまるでロッククライミング。福旬峠方面からだと下りになる。
「白雲谷温泉すぴか」もこの山行には欠かせない。なかなか大きな温泉施設で、サウナもある。サウナーの方は是非押さえておきたい。
僕の場合は小野町駅を出発して福旬峠まで歩き、そこから全山縦走し、温泉とサウナをキメて市場駅から帰るという行程だった。小野アルプスのアップダウンで疲れていたので、「整い」も一入だった。
僕が歩いた小野アルプスのルート
福旬峠まで最寄りの小野町駅から3.5kmほど歩くルートは以下には記載されていない。
播磨アルプス
高砂にある鹿嶋神社、「かしまさん」と言えば兵庫の方にはお馴染みかもしれない。この近くに県下で初めて交通安全祈願所を開いた高砂成田山があるので、親が車を乗り換える度にお祓いを受けに来たものだ。この鹿嶋神社の裏にある岩山を指して「播磨アルプス」と呼ぶ。
最高峰は高御位山で標高304m。その他にもいくつかの山々が扇状に連なっており、なるほどアルプスというのも分かる。
登山口はいくつかあるのだが、僕の場合は西側、曽根駅すぐのところから登り始めた。扇でいうと左側から登り始め、稜線を歩き東側から下山。その後、住宅街を抜け宝殿駅から帰るというルートだ。
距離9.5km、累積標高差740mほどのコースになる。コースタイムは4〜5時間ほどだろう。
こちらも岩山で見晴らしがよく、稜線がとても綺麗で、東京タワーよりも低い山々とは思えない景色だ。是非歩いてみてもらいたい。
僕が歩いた播磨アルプスのルート
以上、ここまで僕の故郷近くの4つのご当地アルプスを紹介してきた。いずれの山も低山なのに見晴らしが良く、登山を始めてみたいという方にもピッタリかもしれない。兵庫県を訪れた際には、登ってみてはいかがだろうか。