私にとってトレイルランニングシューズINFERNO(インフェルノ)との出会いがTECNICA(テクニカ)との出会いでした。
TECNICAと聞くと、スキーブーツの印象が強かったので、最初は半信半疑でした。しかし、足入れをした瞬間「これだ。」と感じるものがありました。私がシューズに一番に求めるのは、足さばきの良さです。ランニングシューズに近い軽さと適度なグリップ力が印象的でした。
適度なグリップ力というのが大事なところで、私はトレイルの下りでは、シューズを滑らせるようなイメージで走るのですが、グリップが効きすぎてしまうと逆に足に負荷をかけてしまいます。INFERNOのソールパターンは「くさび」のような形をしているので、登りでは、トレイルをがっちりつかみ、下りでは力を分散させてくれるように走ることができます。
2016年のレースはすべて、INFERNOでのぞみました。Three peaks八ヶ岳トレイルの溶岩帯、Spa trailの走れるトレイル、信越五岳の悪天候でドロドロになったトレイル。もちろん、スローハイクでも使いました。すべてにおいて軽さと適度なグリップ力が抜群の力を発揮してくれました。本当に安定感のあるシューズです。
TECNICAは、オレンジを基調としたド派手なイタリアのブランド特有のカラーイメージがあり、敬遠されている方もいたと思います。ですが、今シーズンからはシックなカラーも登場しているので、派手なカラーは苦手だという人も抵抗感なく履くことができると思います。
僕が所属するBoomerung
ここからは、余談なのですが、私は普段は山梨のBoomerungというチームに所属しています。本来であれば、Boomerangのスペルは最後が「rang」。それを、トレイルランのチームだからということで、「rung」。ブーメランは投げたら必ず戻ってくる。だからBoomerungも山に行ったら必ず戻ってくる。確実に大事な人が待つところへ戻ってこよう。このチーム名には、小山田隆二キャプテンのそんな思いがつまっています。
トレイルランナーはみな強く、優しいです。それは、苦しさや辛さを知っているからだと思います。私の仲間は、どんなに苦しく、辛い時でも、全てを受け入れ、共に走ってくれました。苦しい時や辛い時は、自然と仲間の声援や顔が浮かび、涙がこぼれたことも何度もありました。「大事な仲間が待っていてくれる。」仲間への感謝の思いが原動力となって、一歩一歩進むことができました。まさにBoomerung魂です。
苦しい時間は、これから待ち受けている輝かしい瞬間をより輝かしいものにしてくれます。トップランナーはもちろんですが、最終ランナーは一番多くの時間コース上で苦しい思いをしてきています。たとえDNFになってしまったとしても、ゴールに向かおうとした強い気持ちはみな持ち続けていたはずです。それぞれにドラマがあり感動がある。だからこそ一人一人全員のゴールに、胸が熱くなるのだと思います。トレイルランニングは、山を通して多くの人と人の心をつなぐ魅力的なスポーツです。山梨だけでなく全国の地方から魅力を発信していってもらいたいです。