アフターコロナになり、外出需要が増える中、今年から登山を始める方もいるのではないでしょうか。登山はこれからがハイシーズンです。
まずは、小説家で登山家でもあった深田久弥が実際に登頂し、「品性・歴史・個性」を兼ね備えた山を厳選した「日本百名山」を登頂してみてはいかがでしょう。
初心者でも比較的登頂しやすい、関東にある日本百名山でおすすめの山7選をご紹介します。
初心者でも登れる山とは
①標高差が少ない
標高差とは、登山をする場所から最も標高の高い場所との差のことです。コースの距離が長くても標高差が小さいとなだらかで登りやすいと言えます。反対にコースの距離が短くても標高差が大きいと上昇、下降が多く、体力が消耗しやすいため、登りにくいと言えます。初心者であれば、標高差が少ない山から登ることをおすすめします。
②登山口付近や山頂付近まで交通手段がある
登山をするには、登山口にたどり着くまでの手段も重要です。山の中にある登山口であれば、徒歩で向かわなくてはなりません。しかし、道路沿いなどにある登山口であればバスや電車で登山口付近まで行くことができるので、体力の消耗を抑えることができます。
加えて、山頂付近までロープウェイが通っていたり、車やバスで向かうことができる日本百名山もあります。最初から長いコースを選んでも構いませんが、公共交通機関を有効利用して自分の体力に合ったコースから始めると無理なく登山を楽しむことができます。
③コースが整備されている
日本百名山の中にはコースが整っているところもあれば、自然のままのコースもあります。コースが整っていないと、足場が悪く、滑りやすかったり、やぶの中を進んで行かなければならなかったりします。整備された山道は歩きやすさの他にも、道に迷いにくい、周囲の景色を楽しみながら歩き進むことができるといったメリットがあります。特に初心者であれば、安全面を考慮すると整備されたコースを選んで登山するようにしましょう。
春夏の登山で楽しみたいポイント
①天候が安定しているので絶景を楽しめる
山の天気は急変しやすいですが、春や夏は天気が崩れにくく、比較的晴れに恵まれやすいので、登山を行うには適した季節です。天気がいいと絶景に出会えるタイミングも増えます。山頂まで登頂したご褒美として、山からの絶景をぜひ楽しみましょう。
②春や夏にしか見られない高山植物を楽しめる
春や夏は長い積雪の時期が終わり、多彩な高山植物に出会える季節でもあります。今回の記事で紹介している山々は高山植物が楽しめる遊歩道が整備されているところも多く、この時期しか見ることができない景色でもあります。どんな高山植物が見れるか事前にチェックして登山するのも良いでしょう。
③暑い時期でも快適な気温で楽しめる
夏山は平地に比べ、気温が低いため、暑さをさほど感じずに快適に過ごすことができます。時に天候が悪化すると寒さすら感じることもありますので、装備には体を暖める防寒着も必ず入れるようにしましょう。
【関東×日本百名山】春夏におすすめの山7選
①那須岳(栃木県)
那須岳は栃木県と福島県の県境近くに位置しており、茶臼岳や三本槍ヶ岳、朝日岳を総称して那須岳と呼ばれています。那須ロープウェイを利用すると、那須山頂駅から茶臼岳山頂まで1時間弱で到達できるため、登山初心者のみならず、家族連れや遠足の小学生の姿もみられます。日照の良い砂地土壌のため、高山植物が豊富に咲き広がっています。
那須岳のふもとには那須湯本温泉郷があり、長年湯治場としても評価されています。日帰り温泉も数多くあるため、登山のあとに温泉で疲れを癒してから帰宅するのも良いでしょう。
②日光白根山(群馬県・栃木県)
日光白根山は栃木県と群馬県の県境にある標高2,578mの活火山です。丸沼高原から標高2,000mまでロープウェイで登ることができます。山頂にたどり着くと中禅寺湖や男体山などが一望でき、夏にはシャクナゲやリンドウなどの花を楽しめます。白根山山頂からさらに足を伸ばせば五色沼や弥陀ヶ池から間近に日光白根山を拝むことができます。
ロープウェイの山頂駅には天空テラスがあり、雄大な景色を楽しみながら足湯に浸かったり、カフェで食事ができたりします。
③赤城山(群馬県)
赤城山は群馬県のほぼ中央部に位置する山で、カルデラ湖の周囲を囲うように山々が連なっています。大沼の横には貴重な湿原があり、遊歩道を歩いて行くと珍しい高山植物が姿を現します。赤城山ビジターセンターを起点に初心者向けのコースがいくつもあり、どのコースを選ぶか悩んでしまうほどです。どのコースも眺望は素晴らしく、景色を楽しみながら登山できます。
赤城山がある前橋には群馬名物の「焼きまんじゅう」や「上州御用鳥めし」などグルメがたくさんあります。登山後の空腹を群馬グルメで満たすのはいかがでしょうか。
④谷川岳(群馬県)
谷川岳は群馬県と新潟県の県境にあり、標高1,900mを超えるトマノ耳とオキノ耳の二つの耳のことを指します。初心者から上級者まで楽しめる変化に富んだコースがあります。谷川岳ロープウェイを利用して谷川岳の山頂登山コースで谷川岳から眼下の景色を楽しめます。
最寄りの土合駅は日本一のもぐら駅と呼ばれており、駅舎からホームまでの標高差は約70mもあります。谷川岳ロープウェイからもほど近い谷川温泉で、登頂した谷川岳を望みながら登山の疲れを癒しましょう。
⑤筑波山(茨城県)
筑波山は茨城県つくば市の北端にあり、筑波山神社の境内地で男体山と女体山からなっています。「西の富士、東の筑波」と称されるほど眺めが美しい山です。日本百名山の中では最も標高が低いことや、ケーブルカーやロープウェイも利用できることから比較的気軽に登山ができる山としても親しまれています。
ケーブルカー乗り場近くにある筑波山神社は奈良時代の万葉集にも登場するほど長い歴史があり、縁結びや家内安全、子授けにご利益のある神社です。登山前に安全をお祈りしてから登頂してみてはいかがでしょうか。
⑥大菩薩嶺(山梨県)
大菩薩嶺は山梨県甲州市を代表する嶺で、緩やかな山稜が続くため、初心者向きの山です。大菩薩の尾根から富士山を始め、南アルプスや八ヶ岳、奥秩父など数多くの山々を一望できます。分岐点には標が立っているため迷いにくく、登山口となる上日川峠から山頂まで2時間程度で到着できるため、無理のない登山ができます。また、山の中に山小屋が複数あり、トイレや休憩所も整備されています。
大菩薩嶺の周辺はワイナリーやフルーツ園がたくさんあり、登山の翌日に楽しむのも良いでしょう。
⑦天城山(静岡県)
天城山は静岡県の伊豆半島に位置し、万三郎岳や万次郎岳などの総称です。植生が豊かで自然のまま残っているところも多いのが特徴です。天城シャクナゲは例年5月下旬から6月初旬に見頃を迎え、ここでしか楽しめない貴重な花です。この天城シャクナゲを楽しめるシャクナゲコースは初心者でも無理なく楽しめるコースになっています。
天城山の周辺には滝が多く、日本の滝100選にも選ばれている浄蓮の滝や天城峠から流れる河津川にかかる7つの滝である河津七滝にも足を運んでみてはいかがでしょう。
優美な景色と心地よい疲労感で非日常を楽しもう
初心者でも登れる、関東の日本百名山で春夏におすすめの山について7つご紹介しました。登頂した時に眼下に広がる優美な景色を見れば、日常感じているストレスから解放されます。また、登山中にも高山植物や木々の鮮やかな姿に心が癒されます。
始めは体力的にも無理のない範囲で登れる山を選ぶことをおすすめします。今回後紹介した山は登山口までのアクセスが良く、日帰りできるコースも兼ね備えています。
登山のハイシーズンに、関東にある日本百名山の品性・歴史・個性を直に感じてみてはいかがでしょうか。