2023年1月、山仲間と車で日光白根山へ行きました。昨年(2022年)の年明けは登山を始めたばかりだったにもかかわらず、どうしても雪山に登ってみたく、なんとか道具を揃えて1回だけ雪山登山ツアーに参加しました。今回は、昨年準備した道具の紹介を交えながら、日光白根山への登山レポートをお送りします。
準備しながら感じたのは、やはり「雪山道具の価格の高さ」です。雪山には、雪山用の靴とアイゼンは必ず必要です。私の場合ですが、ウェアやその他は必ずしも本格的な道具を買わなくても工夫次第でなんとかなっています。雪山はもうすでにシーズンオフに向かいつつありますが、来シーズンに備えて必要な知識や道具について解説します。
雪山登山で準備しておくこと
まず、雪山ときくと皆さんどんなイメージを持つでしょうか。登山用語として、冬の山は「冬山」と「雪山」の2つに大きく分類されます。
冬山は、登山道の一部に積雪があるような状態の山のことで、雪山はしっかりと積雪があり、10~12本爪のアイゼンが必ず必要となる山です。ここでは、主に「雪山」に登る際に準備しておきたいことを紹介します。
①可能であれば事前にちゃんと講習を受けよう
雪山登山に必要な道具や、気をつけなければならないことを知りたい場合は、可能な限りお金を払って講習を受けることをおすすめします。私自身、北海道出身で小さな頃からアルペン競技をしていて、雪山に行くことは多かったのですが登山とスキーでは準備すべきこと、知っておくべきことが全く違いました。山を甘く見てはいけないとよく言われますので、安全第一で登山を楽しみたい方は、シーズン前に雪山登山の講習をネットで探してみてください。
②アイゼンが付けられる登山靴とアイゼンは必須
雪山を登っていくときは、オールシーズン用の靴だと傾斜で滑ってしまい上手く登ることができません。そのため、雪山専用の靴、そしてその靴にフィットする10~12本爪のアイゼンが必要です。
参考までに、私が購入した雪山用の靴はAKUのもので、定価は69800円くらいでした。5万円前後のものもあると思いますが、雪山用の靴はこのくらいの価格が相場です。アイゼンは安価なもので1万7000円~2万円台が多い印象です。
登山途中に壊れてしまうと山行自体に影響が出てしまうので、靴とアイゼンは信頼のあるメーカーのものを店舗で試着して購入することをおすすめします。価格も、ネットで購入するよりも型落ちで値下げされている商品が販売されているケースもあります。私は店舗でセール品を購入できたのと、店員さんにアイゼンの付け方やひもの長さまで調整してもらえたのでとてもラッキーでした。
靴を購入するときは、実際に登山で履く予定の厚手の靴下を持っていくと良いです。試着後はそのまま歩かせてくれますので、サイズが合っているか、スネや足の指で当たって痛いところはないか確認しましょう。また、雪山登山は、汗冷えなどを防ぐ観点から登頂しても夏ほどゆっくり休憩できる時間がなく、立っている時間も自然と長くなります。そのため、履き心地が良いものを選ぶと良いと思います。
③山によっては、ウェアはレインウェアと重ね着で代用可能
準備をしていく中で感じたことは、「雪山の装備を揃えるにはお金がかかる」ということです。靴は必ず雪山用のを揃えたとしても、登山初心者にとって雪山用のウェア(ハードシェルと呼ばれる、防風・防湿性が高い素材でできたもの)の購入はハードルが高いと感じます。上着だけでも7~8万円、それにボトムスも…となると、一般的な会社員からすると、かなり大きな出費となります。
2022年に道具を揃えようとしたとき、私は冬のボーナスをすべて使う心構えでした。しかし講習に参加した際に講師の方から、登る山によってはGORE-TEXのレインウェアと、インナーに着るもので代用できるよ、とアドバイスを受けました。
雪山を登っている間は真冬でも暑くなり汗をかくこともあります。そのため、冬用のインナーや登山用の薄手フリースやダウンなどを購入して中に着ることで代用することも可能です。まずは靴とアイゼンを最優先、その次に、余裕があればハードシェルの購入を健闘する、という方法でも良いと思います。
④まずはレンタルという方法もある
雪山には登ってみたいけれど、1回でイヤになるかもしれない。続けられるかどうかわからない…と不安な方は、レンタルを利用するのも一つの方法です。今回紹介する日光白根山では使用しませんでしたが、他の山でピッケルを利用したことがあります。登山道具のレンタルができるお店では「やまどうぐレンタル屋」さんが有名です。登山日の2~3日前までに申し込めば自宅まで郵送で送ってくれる上に、返却も近くのコンビニからできるのでとても便利です。
日光白根山へ
準備を万端にして、日光白根山に登ってきました。群馬県にある丸沼高原スキー場の駐車場に車を止め、スキー場のロープウェイを利用して登山口まで向かいます。
日曜日だったので人が多く、ロープウェイに乗るまでに50~60分くらいは並びました。平日だとそこまで待たずに登れるかもしれません。土日に行く場合は、高速道路の渋滞に加え、ロープウェイなどで並ぶ時間を考慮して出発したほうが良いです。
ロープウェイの最終時間(15:45くらいでした)を確認して、登山口に向かいます。
この鳥居をくぐって、登山開始です!この時すでに11時をまわっていました。
当日は天気がよく、森林限界地までは特に強い風を感じることなく、楽しく登りました。樹氷もとてもキレイでした。
途中、急な傾斜や崖のようになっている場所があり、雪庇を踏むと落ちてしまいそうなところがありました。時たま足も雪の中に深く沈み込むので注意が必要です。
さらに、ここで私は大変なことに気づきました。ゲイターをつけ忘れていました。ボトムスを二枚履きしていたので靴に雪は入ってきませんでしたが、アイゼンの刃を引っ掛けてボトムスのスネ内側部分に穴を開けてしまいました。ゲイター、大事です。穴を開けたくない人はつけることをおすすめします。
2時間半程度、休憩をしながら登り続け、ついに森林限界地に到達。
この時点で、時間は13時半。登頂まではあと1時間といったところでしょうか。目の前に頂上が見えています。
白根山では最終のロープウェイに乗れなかった場合、スキー場内を通って自分たちで下山しなければなりません。気温もマイナス10℃とかなり低く、一緒に登っていた人たちも途中で引き返していました。このときは1月で日が落ちる時間も早く、私達のチームも安全面を考慮して頂上を目指さずに引き返すことにしました。
本当に悔しかったです。加えて気温の低さと風の強さもあり、チームのみんなと十分に会話もできませんでした。
ロープウェイに乗れなくてもそのまま自分たちの足で下山するだけですので、ヘッドライト等があれば無事下山できたかもしれません。ただ、日が落ちていく時間帯に森の中を、雪をかき分けて下山するのもとても危険だと思います。「100%安全である」というスケジュールで登山することがとても大事だと感じました。
次回は違う山で、安全に必ず登頂する、そうチーム全員で誓って帰路につきました。