宮城県女川町『地元民が愛する里山と復興した女川を楽しむ』

宮城県女川町は、旧知の友人が住んでいるところ。以前訪れた時は、山に興味がなく海にばかり目を向けていたけど、今回は山に目を向けて女川町を見てみようと旅に出た。

 

女川町近隣の山を調べてみると、300~400メートルの山に囲まれていることはわかるものの、これらの山に登れるかは不確かだった。女川町から車で約30分、北へと足をのばすと「三陸・雄勝海の幸トレランNEXT」というトレイルランニングイベントのスタート地点に行き着くことができる。このトレイルランニングイベントでは総距離24キロ、累積標高2,000メートルという危険個所は特になく、走れる部分の多いコースを楽しめる。

 

女川町で登山

「三陸・雄勝海の幸トレランNEXT」のコースになっている山へのアクセス情報はウェブ上で入手することができたが、僕が行ってみたかった女川町から程近く、アクセスしやすい山の情報はほとんどない。不安を楽しみに変えて『冒険心をくすぐる面白い旅になれば!』と、行き当たりばったりで、地元で情報収集しようと考えた。

里山と呼ばれる地元の人しかしらない山に登ることは、僕にとって興味のそそられる冒険だ。低山と言えども危険は未知数であり、情報が少ない分、自分の判断が重要になってくる。

復興に向けた女川町の景色

復興に向けた女川町の景色

車で一路女川町へ。到着すると以前とは全く違った町を目にする。災害から人命や財産を守る必要がある住宅地。津波発生時の避難・災害対応の拠点として機能することが求められる公共施設。女川駅や国道からのアクセスに配慮しつつ、津波でも浸水しない高台に、これら住宅地・公共施設を配置するような工事が行われていた。

 

仮設住宅がある女川町

女川町を徘徊していると、球場の中に仮設住宅が建てられており、住居問題の改善はまだまだ途上にある。

早速地元で山の情報収集をしようと、まずは山に全く興味のない友人にダメもとで聞いてみると「以前、女川三十三観音っていう所にいって山に登った思い出があったよ」と言う。アクセスの情報は「女川町総合運動場の裏から入れたと思う」というなんとも漠然とした情報ながらも、いとも簡単に女川町からほど近い場所に登れる山があることを確認できた。

目指すは三十三観音、これが山なのか、なんなのか解らなかったがとにかく向かってみることに。

 

女川町のやすらぎの森

女川町総合運動場の『きっと裏』あたりに【やすらぎの森】という立札を目にする。立札が指す方向は小高い丘に。『ここが三十三観音の入口なんじゃないか?』という直感から、迷わず向かってみることに。

 

三十二番観音という立札

森の中を走っていると程なく【三十二番観音】という立札が。『あれ?三十三観音じゃなかったっけ?』と疑問に思うも、すぐさま友人の思い違いと合点。実は調べてみたら三十三観音は正しく、三十二番観音も正しいという。入口は2つあり、僕が出会ったルートは1~31番観音を通らず直接32番観音に向かう別ルートだった。

女川町を見渡せる山『黒森山』

走っていると思ったより道は明確で、涼しい空気が流れる気持ちの良いトレイルだった。

 

倒木により危険なので立ち入り禁

少し勾配を上げていくと、残念な標識に出くわす。【倒木により危険なので立ち入り禁止】とある。ルートの先には、トレイルは見えるものの、前日の雨に濡れた倒木が散乱していた。

 

黒森山へ

諦めて来た道を戻ると【頂上まで0.4km】と何の頂上か解らないけど『もしかしたら良い景色が楽しめるかも』という思いで向かってみることに。

 

黒森山の頂上

なかなかの勾配を楽しみながら400mを駆け上がると、待っていたのは女川町の街並みを一望できる頂上。高台を人工的に作っている様子を一望すると、あの時の震災における災害のことを思わずにはいられなかった。そうしてしばし体の疲れを感じながらも、震災で亡くなった友人のお母さんの事や、先日みたNHKで放送した女川町を襲った”引き波”の恐怖のことなど、色々な思いを巡らせながら女川町の景色に見入っていた。

 

黒森山 登山口

下山は違うコースがあり、行き着く先は不明だったが降りてみることに、すると先ほど出会った【三十二番観音】という立札がある場所へ降りてきた。この立札の横には【黒森山 登山口】という手書きの立札があり、今登ってきた山の正体がわかった。

女川温泉ゆぽっぽ

女川町の素敵なスポット

下山をして女川駅に併設されている『女川温泉ゆぽっぽ』へ。この温泉は震災前から地元民に愛された温泉施設で、震災後は装いも新たに生まれ変わったという。

 

女川温泉ゆぽっぽ

非常に洗練された作りでギャラリーや休憩室、脱衣所から展望デッキとそれぞれにユニークな作りで今まで出会った温泉の中でも群を抜いた落ち着ける空間だった。写真には収められていないが、日本画家の千住博氏が描かれた「霊峰富士」がお風呂のタイル画として楽しめる。

 

ガル屋beer

お風呂をあがって夕方近く、駅前で美味しいビールを飲みたいなあと徘徊していると『ガル屋beer』という看板が目に入る。

 

ガル屋beerの店内

迷わず店内に入ると、そこには見慣れないビールの銘柄が黒板に書かれている。

 

おすすめには
・女川ホップペール
・ビタービッチ
結局どちらも頂き、濃く華やかな香りで抜群な味わい。女川ホップペールは店長の木村さんが開発にも関わっているようで、こだわりの一杯ということ。女川に来たら是非ともその美味しさに触れてみて欲しい。あまりにも気に入ってしまった僕は「女川ホップペールは買って帰れないんですか?」と聞いてみると、将来そういうことも視野に入れているという事。こういう働きによって地産他消が増え、最終的に女川という町の応援に繋がればいいなあと感じた時間だった。

 

こうして、未知なる山に踏み込み、気持ちの良いお風呂につかり、美味しいビールを堪能した僕は、友人宅でこれまた美味しい仙台牛や、カツオ、殻付きウニといった美味しい食事を楽しんだ。女川町ってこんなに楽しいところなんだと、震災における暗い思いが吹き飛んで『山好きには最高に楽しいフィールドが盛り沢山だ』と、新たな思いが生まれた山旅となった。

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