鹿児島県の屋久島にある宮之浦岳は九州最高峰で、「日本百名山」にも選出されている人気の山です。全島が世界遺産に指定されており、樹齢千年を超える屋久杉を随所で目にすることができます。山頂からの展望は素晴らしく、屋久島固有の高山植物も数多く見られるのが魅力です。今回は宮之浦岳の3つの難易度別登山ルートとアクセス、駐車場情報を紹介します。
宮之浦岳の基本情報と魅力
宮之浦岳は標高1936mで、鹿児島県の屋久島に位置し、九州の最高峰です。屋久島は2000m近い高峰が連なることから、「洋上のアルプス」と呼称されています。屋久島全島が世界遺産に指定されており、宮之浦岳は海外からも登山客が訪れる人気の山です。
屋久杉と呼ばれる樹齢の長い杉が随所に見られ、中でも最も古い縄文杉は樹齢最大7000年とも推定されており、その姿を目にしようと毎年多くの登山客が訪れます。また屋久島固有の高山植物も見ることができ、5月から6月にかけてはヤクシマシャクナゲが美しい姿を見せてくれます。
山頂からの展望も素晴らしく、九州本土や種子島、沖永良部島も見ることができます。
山の名前 | 宮之浦岳(みやのうらだけ) |
標高 | 1936m |
都道府県 | 鹿児島県 |
エリア | 九州・沖縄 |
詳細情報 | 宮之浦岳の詳細 |
魅力その①山頂からの展望
山頂からの眺めは素晴らしく、360度の眺望を楽しむことができます。屋久島全島が見渡せ、さらに九州本土の開聞岳や種子島、沖永良部島も見ることができます。
魅力その②屋久杉
樹齢千年以上の「屋久杉」と呼ばれるスギを随所で目にすることができます。「ウィルソン株」は大阪城築城のために伐採されたとも言われる巨大な切り株で、中に入ることもできます。スギの中では日本でもっとも太い「縄文杉」は高さ25m、胸高周囲16.4mもあり、推定で最大樹齢7000年と言われています。毎年多くの人が訪れる人気のスポットです。
魅力その③高山植物
ヤクシマシャクナゲなど、屋久島固有の高山植物を数多く目にすることができます。ヤクシマシャクナゲの見頃は5月下旬から6月上旬です。もっとも多くの種類の高山植物を見られる時期が夏で、ヤクシマリンドウやヒメコイワカガミなどが可憐な姿を見せてくれます。
宮之浦岳の難易度別おすすめ登山コース
宮之浦岳を日帰りで楽しむ初心者コース:淀川~宮之浦岳ピストンコース
淀川登山口→45分→淀川小屋→1時間30分→花之江河→25分→黒味分れ→30分→投石平→2時間→宮之浦岳→1時間30分→投石平→20分→黒味分れ→15分→花之江河→1時間15分→淀川小屋→40分→淀川登山口
必要日数 | 日帰り |
総コースタイム | 9時間10分 |
休憩時間目安 | 2時間20分 |
距離 | 13.1㎞ |
累積標高 | 1189m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
初心者向けの日帰りコースです。それでも高山限界を超えるので岩場も多く、鎖場もあるので注意が必要です。
淀川登山口
淀川登山口は標高1360mの地点にあり、無料駐車場が利用できます。登山ポスト、トイレも用意されています。
登山コース紹介
淀川登山口を出て森の中を歩くと淀川小屋に着きます。ここでトイレも使えます。
視界が開けると花之江河(はなのえごう)です。まるで日本庭園のような美しい湿原です。休憩には絶好のポイントです。
ここには携帯トイレブースが用意されています。宮之浦岳では登山者のし尿処理が問題になっており、携帯トイレの使用が奨励されています。そのための携帯トイレブースが登山道の各所に配置されています。
岩場を進みます。鎖場もあるので注意が必要です。
投石平に着くと、巨石が広がっている光景が見られます。ここからは宮之浦岳山頂も見ることができます。ここで休憩するとよいでしょう。
このあたりから森林限界になります。栗生岳を通過しヤクザサの群落の中を抜けると宮之浦岳山頂です。
山頂では360度の素晴らしい眺望を楽しむことができます。屋久島全島のほか、九州本土の開聞岳、種子島、沖永良部島も見ることができます。
一泊二日登山で縄文杉と出会う:淀川~宮之浦岳~荒川縦走コース
1日目
淀川登山口→45分→淀川小屋→1時間30分→花之江河→25分→黒味分れ→30分→投石平→2時間→宮之浦岳→15分→焼野三差路→30分→平石岩屋→40分→第2展望台→1時間10分→新高塚小屋
2日目
新高塚小屋→1時間→高塚小屋→10分→縄文杉→1時間30分→ウィルソン株→20分→大株歩道入り口→1時間10分→楠川分れ→40分→小杉谷橋→50分→荒川登山口
必要日数 | 一泊二日 |
総コースタイム | 13時間25分 |
休憩時間目安 | 3時間30分 |
距離 | 21.3㎞ |
累積標高 | 1426m |
難易度 | ★★★☆☆ |
一泊二日のコースです。新高塚小屋に宿泊できますが、無人小屋なので調理用ストーブや鍋、食材は持参する必要があります。宮之浦岳山頂から新高塚小屋までは岩場も多く、注意してください。
淀川登山口
淀川登山口は標高1360mの地点にあり、無料駐車場が利用できます。登山ポスト、トイレも用意されています。
登山コース紹介
1日目
宮之浦岳山頂までは、「淀川~宮之浦岳ピストンコース」と同じです。
登山口を出て森の中を進みます。淀川小屋、花之江河、投石平を過ぎると、宮之浦岳山頂に着きます。
山頂からの眺めは絶景です。遮るもののないパノラマを存分に楽しめます。晴れていれば種子島や沖永良部島も見ることができます。
山頂を出て、平山岩場方面に向かいます。平山岩場周辺には鎖場があるので注意が必要です。このあたりでは5月下旬から6月上旬にかけてはヤクシマシャクナゲの美しい姿を目にすることができます。
やがて宿泊地の新高塚小屋に着きます。無人小屋ですが、トイレ、水場は備わっています。食事は自分で用意する必要があるので、調理用ストーブや鍋、食材は持参しましょう。
2日目
新高塚小屋を出て1時間ほど進むと高塚小屋に到着します。ここにはトイレがあります。
そこから少し進むと縄文杉です。推定樹齢2000年から7000年とも言われる巨大なスギの神秘的な姿を楽しめます。
ウィルソン株は巨大な切り株で、空洞になった内部に入ることができます。内部から上を見ると、ハート形の穴を通して空が見えます。
大株歩道入り口まで来ると、トイレがあります。
そこからトロッコ道を進みます。線路の上を歩きます。滑る場所もあるので気をつけてください。
やがて荒川登山口に到着します。
一泊二日の神秘的な森を楽しむ登山:淀川~宮之浦岳~白谷雲水峡縦走コース
1日目
淀川登山口→45分→淀川小屋→1時間30分→花之江河→25分→黒味分れ→30分→投石平→2時間→宮之浦岳→15分→焼野三差路→30分→平石岩屋→40分→第2展望台→1時間10分→ 新高塚小屋
2日目
新高塚小屋→1時間→高塚小屋→10分→縄文杉→1時間30分→ウィルソン株→20分→大株歩道入り口→1時間10分→楠川分れ→1時間→辻峠→20分→白谷小屋→1時間→白谷雲水峡登山口
必要日数 | 一泊二日 |
総コースタイム | 14時間15分 |
休憩時間目安 | 3時間40分 |
累積標高 | 1654m |
距離 | 1654m |
難易度 | ★★★☆☆ |
縄文杉を見ることのできる、一泊二日のコースです。二日目の楠川分れまでは「淀川~宮之浦岳~荒川周回コース」と同じです。そこから分岐して白谷雲水峡登山口に向かいます。苔むした森の中を通るのが魅力のコースです。
淀川登山口
淀川登山口は標高1360mの地点にあり、無料駐車場が利用できます。登山ポスト、トイレも用意されています。
登山コース紹介
1日目
「淀川~宮之浦岳~荒川周回コース」と同じルートを進みます。
淀川登山口を出発し、宮之浦岳山頂に向かいます。淀川小屋、花之江河、投石平を過ぎると、宮之浦岳山頂に着きます。
山頂からは360度の見事な眺望が楽しめます。種子島や沖永良部島も目にすることができます。
新高塚小屋が宿泊地です。小屋には水場、トイレがあります。無人小屋なので、調理用ストーブや鍋、食材は持参しましょう。
2日目
新高塚小屋を出て、縄文杉方面に向かいます。
縄文杉、ウィルソン株を過ぎて、大株歩道入り口まで来るとトロッコ道です。楠川分れから白谷雲水峡方面に向かいます。
辻峠から太鼓岩に寄り道することができます。10分ほど横道を進むと太鼓岩です。素晴らしい展望を楽しめる、絶好の休憩スポットです。
白谷雲水峡までは苔に覆われた森です。ジブリの映画『もののけ姫』のモデルになった森です。自然との一体感を思い切り味わえます。
白谷小屋から1時間で白谷雲水峡登山口に到着します。
宮之浦岳のQ&A
宮之浦岳の登山シーズンはいつ?
夏山登山のシーズンは4月から11月です。春と秋が気候もよく、おすすめのシーズンです。高山植物を楽しみたい方は、夏が見頃です。
宮之浦岳の天気、気温は?
屋久島は通年、雨が非常に多いのが特徴です。山頂付近は夏でも朝晩は寒くなります。春、秋は天候が変わりやすいので注意が必要です。
4月から11月にかけての宮之浦岳山頂付近の気温は以下のとおりです。
月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 |
最高気温(℃) | 20.5 | 23.7 | 24.1 | 27.0 | 27.3 | 25.0 | 21.6 | 19.2 |
最低気温(℃) | 2.7 | 5.4 | 11.8 | 19.2 | 18.1 | 16.4 | 8.0 | 3.8 |
登山に必要な装備は?
岩場を歩く場所もあるので、登山靴が必要です。雨が特に多いので、雨具を忘れないようにしてください。ゴアテックス製の製品など、しっかりしたものがおすすめです。山頂付近は気温が下がるので、防寒着も必要です。
登山口へのアクセス・各種情報
各登山口とも、駐車場が備わっており、車でアクセスできます。また、各登山口へ宮之浦港からバスでもアクセスできます。
淀川登山口
登山口情報
無料駐車場が利用できます。登山ポスト、トイレも利用できます。
登山口までのアクセス
バス:宮之浦港から合庁前バス停下車。乗り換えて紀元杉バス停下車。紀元杉バス停から登山口までは徒歩30分。
車:宮之浦港から43㎞で淀川口駐車場へ。
荒川登山口
登山口情報
マイカー規制があるので、車で来る場合は屋久杉自然館駐車場に停め、シャトルバスに乗り換えて荒川登山口にアクセスします。登山口には登山ポスト、トイレがあります。屋久杉自然館駐車場でもトイレが利用できます。
登山口までのアクセス
バス:宮之浦港からバスで屋久島自然館へ。荒川登山バスに乗り換えて荒川登山口へ。
車:宮之浦港から約24㎞で屋久島自然館駐車場へ。荒川登山バスに乗り換えて荒川登山口へ。
白谷雲水峡登山口
登山口情報
数台分のスペースの駐車場があります。トイレが利用できます。
登山口までのアクセス
バス:宮之浦港から白谷雲水峡登山口で下車。
車:宮之浦港から12㎞で白谷雲水峡駐車場へ。
宮之浦岳周辺のおすすめ山旅スポット
ヤクスギランド
標高1000m~1300mに広がる自然保養林で、「仏陀杉」「母子杉」「小田杉」など、さまざまな屋久杉を見ることができます。5つの散策路があり、自由に楽しむことができます。無料の駐車場が利用できます。
湯泊温泉
浜辺にある露天風呂で、24時間入浴可能です。簡単なしきりで男湯と女湯に分かれています。バスタオルや湯浴み着での入浴も可能です。泉質はアルカリ性単純温泉で、温度はぬるめです。無料の駐車場が利用できます。協力金200円。
平内海中温泉
一日に二度の干潮時前後約2時間のみ入れる海中露天風呂です。男女混浴で、バスタオルや湯のみ着で入ることもできます。すぐ近くに海が広がっており、美しい景色を楽しむことができます。干潮の時刻を確認してから行きましょう。無料の駐車場が利用できます。協力金200円。
大川の滝
「日本の滝100選」に選ばれている屋久島最大の滝です。88mの高さから落ちてくる様子は圧巻です。滝つぼの真下で見ることができます。夏は最高の涼み場所です。無料の駐車場が利用できます。