弥山という名前の山は他にもありますが、今回紹介するのは奈良県吉野郡天川村にある弥山です。難易度としては、中級者から上級者向けの山となっています。日帰りでも登れますが、合計時間が10時間を超える場合もあるため、泊まりでの計画も考えておいた方が良いでしょう。登山経験が増えてきて、難易度高めの山に挑戦したいという人におすすめ出来る山となっています。
奈良県弥山の基本情報と魅力紹介
弥山の年間平均気温は8度と低めで、年間降水量も3500mmと雨や雪が多い特徴を持っていて、冬には山頂付近で樹氷が見られる場合もあります。平安時代以降、修験道(山岳信仰に仏教や道教などが混ざった日本独自の宗教)の行場として使われてきた歴史がある山です。年間を通して登山されていますが、よく登山されている季節は5月と10月、11月です。
山の名前 | 弥山(みせん) |
都道府県 | 奈良県 |
標高 | 1,895m |
詳細 | 弥山-詳細情報 |
魅力その①天然記念物である大峰のオオヤマレンゲやイワナの棲息地
弥山川上流は、1962年にイワナの棲息地として、奈良県の天然記念物に指定されています。オオヤマレンゲは、純白の花がちょこんと咲いていて、見頃は7月上旬です。ニホンシカに食べられてしまわないよう、周囲に防護柵が設置されています。オオヤマレンゲには「変わらぬ愛・永遠の愛」という花言葉がつけられていて、可憐に咲いている様子は花言葉にぴったりです。
魅力その②ニホンカモシカとの出会い
弥山にはニホンカモシカが生息しており、登山中に出会える可能性があります。奈良県ではシカと出会える場所は多いですが、観光地で人に慣れているシカよりも、野生本来の姿が見られるのではないでしょうか。しかし、野生ですのでむやみに近づかず、遠くから眺めたり写真を撮るくらいにしておきましょう。
魅力その③山頂には天河大辨財天社の奥宮が祭られている
天河大辨財天社は、芸能の神として知られる市杵島姫命が主祭神で、現在でも芸能関係の参拝が多いと言われています。弥山の山頂に祭られているのは奥宮ですが、堂々とした鳥居もあり、側には錫杖もあります。本記事のおすすめスポットでも天河大辨財天社の紹介をしていますので、そちらもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
弥山の難易度別おすすめ登山コース
今回紹介する弥山は全体的に難易度高めです。その中で難易度を分けて紹介していきます。
中級者向け!弥山登山口-弥山-八経ヶ岳往復コース
弥山登山口からスタートして聖宝ノ宿跡を通り、弥山と八経ヶ岳を進んで、弥山登山口へ戻ってくる比較的短時間で登れる中級者向けコースです。最初はそこまで厳しい道ではないですが、橋を渡ってから出合までは急登が続きます。そのまま登って行くと、聖宝ノ宿跡では修験道の歴史からか修行僧のような像が置かれています。弥山山頂へ着くと天河大辨財天社の奥宮がありますので、拝観するのもおすすめです。
合計時間 | 5時間1分 |
休憩時間 | 28分 |
距離 | 9.5km |
登り | 1108m |
下り | 1106m |
上級者向け!川合登山口-頂仙岳-八経ヶ岳-弥山往復コース
こちらは最初のコースとは違う川合登山口からスタートします。スタートしてから頂仙岳まで、早くても3時間以上かかりますので、水分補給を忘れないようにしましょう。そしてそのまま、八経ヶ岳を経由して弥山へ登頂します。帰りは周回とまではいきませんが、狼平避難小屋の方を通り頂仙岳まで戻ります。頂仙岳からは来た道を下山していきましょう。こちらのコースは、最初に紹介したコースと比べて合計時間も距離も倍以上かかりますので、泊まりでの計画も考えておきましょう。
合計時間 | 10時間45分 |
休憩時間 | 1時間51分 |
距離 | 24.2km |
上り | 1845m |
下り | 1843m |
中級者向け!大川口-鉄山-弥山周回コース
このコースは大川口の水位観測所近くの鉄山登山口からスタートします。最初に急登が続き所々で木々が倒れていたりと、なかなかに歩きごたえのある道です。拓けた場所へ出ると良い景色が見られる場所もあります。季節によっては鉄山の近くでシャクナゲが見られるでしょう。そのまま進んでいき、弥山に登頂した後は聖宝ノ宿跡から弁天ノ森を通り登山口へと戻ってきます。
合計時間 | 7時間53分 |
休憩時間 | 1時間32分 |
距離 | 13.2km |
登り | 1346m |
下り | 1342m |
弥山付近の駐車場は?
弥山登山口駐車場(行者還トンネル西口)
駐車台数 | 100台(有料) |
売店 | あり |
トイレ | あり(有料) |
標高 | 標高1,104m |
天川村役場駐車場
駐車台数 | 60台 |
トイレ | あり |
弥山に関するQ&A
弥山に関しての疑問に答えていきますので、参考にしてみてください。
- アイゼンやピッケルは必要?
- 山小屋はあるの?
- 役場の駐車場なのに勝手に使って大丈夫?
アイゼンやピッケルは必要?
冬に弥山に登る場合、雪がかなり積もると想定されます。そのため、アイゼンやピッケルは用意しておいた方が良いでしょう。
山小屋はあるの?
弥山小屋という小屋があるのですが、事前予約が必要となっています。弥山小屋はいつでも使えるわけではなく、予約が入っている時だけ利用が可能ですので、使いたい場合は事前に連絡をしておきましょう。
役場の駐車場なのに勝手に使って大丈夫?
職員さんに聞いたところ、開庁していない時でも駐車場は無料開放しているそうなので、他の方の迷惑にならないように使っていただければ大丈夫です。
弥山の登山口へのアクセス方法
弥山は山奥の方にあるので、基本的には車で行くのがおすすめです。本記事ではルート紹介で使っている、3つの登山口へのアクセスを紹介していきます。
- 行者還トンネル西口(弥山登山口)
- 川合登山口
- 鉄山登山口
行者還トンネル西口(弥山登山口)
公共交通機関の場合
- 近鉄下市口駅から奈良交通バスで洞川温泉行きか、中庵住行きに乗車し、「天川川合」で下車しタクシー利用
車の場合
- 天理ICから約72km(1時間40分ほど)
- 御所ICから約50km(1時間10分ほど)
川合登山口
公共交通機関の場合
- 近鉄下市口駅から奈良交通バスで洞川温泉行きか、中庵住行きに乗車し、「天川川合」で下車しタクシー利用
車の場合
- 天理ICから約58km(1時間20分ほど)
- 御所ICから約35km(50分ほど)
鉄山登山口
公共交通機関の場合
- 近鉄下市口駅から奈良交通バスで洞川温泉行きか、中庵住行きに乗車し、「天川川合」で下車しタクシー利用
車の場合
- 天理ICから約58km(1時間20分ほど)
- 御所ICから約35km(50分ほど)
弥山周辺の観光スポット
弥山がある天川村は豊かな自然や、神社などのスポットが有名です。今回は登山で疲れた身体を癒せるスポットと、自然や神社などにまつわるスポットを紹介していきます。
- 天河大辨財天社
- 天川薬湯センターみずはの湯
- 面不動鍾乳洞
天河大辨財天社
天河大辨財天社は天川村の有名なスポットとして、多くの観光客の方が訪れます。天河大辨財天社には村指定文化財の鉄湯釜と十薬師如来坐像が保管されています。年間で行われている行事も多く、珍しい神事も多数ありますので是非訪れてみてはいかがでしょうか。
天川薬湯センターみずはの湯
天川薬湯センターみずほの湯は、薬草を使った露天風呂や、ハーブサウナで疲れた身体を癒せる施設です。露天風呂からは清流が見られるようになっており、静かなひとときを過ごせます。自然に囲まれた天川村ならではの景色を、ぜひ楽しんでください。
面不動鍾乳洞
面不動鍾乳洞では、貴重なストロー鍾乳管が見られます。また、鍾乳石が作られるまでには気の遠くなるような年月がかかります。そんな長い年月をかけて、大自然から作られた鍾乳洞はまさに圧巻の光景です。鍾乳洞へ向かうための乗り物で、「ドロッコ」という愛称のモノレールに乗れるのも楽しみの一つです。